病態・薬物治療 PR

【病態・薬物治療】甲状腺機能低下症(主に橋本病) ゴロ・覚え方

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今回は甲状腺機能低下症と主な甲状腺機能低下症である橋本病の病態・薬物治療をゴロ・覚え方交えてまとめます。
最後には練習問題も載せていますので解いてみてください。

甲状腺機能低下症の病態

概要

甲状腺ホルモンの分泌低下によって甲状腺機能が関わる代謝が低下した病態をいう。

分類

甲状腺性(一次性)>
先天的欠損(クレチン病)
慢性甲状腺炎(橋本病)
甲状腺の摘出、放射線治療 (131I)
抗甲状腺薬の投与

<中枢性>
下垂体の機能低下
視床下部の機能低下

症状

クレチン病 先天性甲状腺機能低下症であり、低身長(四肢が短い体型)、知能・精神 発達の遅れを伴う
知能・精神発達の遅れ
低身長 (四肢が短い体型)
慢性甲状腺炎 甲状腺ホルモン分泌低下による症状が現れるが、 症状が数年~数十年か けて極めてゆっくり進行するため、自覚症状に乏しい
①成人型甲状腺機能低下症で、 皮下組織にグリコサミノグリカンが蓄 積沈着し、圧痕を残さない浮腫(顔面、 四肢) を生じる。 これを粘液水腫という
②声帯の浮腫による嗄声
③グリコサミノグリカンが心臓血管系へ沈着し 低血圧、徐脈の原因 となる
④ β受容体の感受性低下により、 徐脈などを発症する
寒がり、冷え性、 皮膚乾燥、体重増加 (基礎代謝低下による)
血中コレステロール値上昇(脂質代謝低下が原因)
⑦ うつ症状などの精神症状、認知機能の低下
⑧ 高プロラクチン血症

 

(ゴロ・覚え方
甲状腺ホルモンは、成長や代謝に関わる。よって甲状腺ホルモンが減ると
「低身長・知能の遅れ」、代謝がおちて非運動状態「体温上がらない」「血圧上がらない」「脂肪を燃焼できない」「脈がゆっくり」とざっくり覚える。

すこし楽しく覚えたい人は「クレヨンチ(し)ンちゃん」と覚える。
クレヨンチンちゃん」は少し知能が遅れて、異様に手足が短いデザイン
よってクレチン病の症状は、知能・精神発達の遅れ、低身長 (四肢が短い体型)と覚えよう。

甲状腺機能低下症治療薬の薬理

甲状腺機能低下症治療薬の薬理は、別ページに甲状腺ホルモン製剤としてゴロと一緒にまとめていますのでそちらを参考にしてください。

[薬理ゴロ]甲状腺疾患治療薬今回は甲状腺疾患の薬について、ゴロを中心に記事にしたいと思います。 なお、一般名の後ろに「商:」で記載しているのは商品名です。 ...

慢性甲状腺炎(橋本病)の病態

概要

甲状腺機能低下症の中で、最も多い慢性甲状腺炎(橋本病) は、 自己免疫性甲状腺炎の 一種で、甲状腺に対する自己抗体が産生され、 甲状腺を破壊する疾患である。 先天的な甲状腺形成不全により甲状腺ホルモンの分泌が欠乏するものはクレチン病と よばれ、中枢神経系をはじめとする体の成長と発達の遅延を招く。 慢性甲状腺炎や粘液水は女性に多く見られる。 クレチン病は先天性疾患で性差は少ない。

検査

血中T3、T4低下
血中TSH上昇 (ネガティブフィードバック機構が低下することにより起きる)

自己免疫性慢性甲状腺炎で陽性となる自己抗体

自己抗体 特徵
抗チログロブリン抗体
(抗TG 抗体)
甲状腺ろ胞内コロイド成分であるチログロブリンと反応 する自己抗体である
抗甲状腺ペルオキシダーゼ
抗体(抗TPO抗体)
・甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO) に対する抗体の1つである
・in vitro で甲状腺ペルオキシダーゼ活性を阻害することから、特に甲状腺機能低下症の発症に関与していると 考えられている
・甲状腺ペルオキシダーゼは、主としてろ胞上皮細胞のミクロゾーム分画に存在するヘムタンパク質で、甲状腺に摂取された無機ヨードイオンの酸化反応を触媒する作用をもつ

慢性甲状腺炎(橋本病)の治療

(1) 補充療法を開始する際の注意

副腎の機能低下がないことを確認する。 副腎機能低下など複合した機能低下がある場合の補充は、甲状腺ホルモンによる副腎皮質ホルモンの代謝が進み、副腎皮質ホルモンのさらなる欠乏のため、急性副腎不全を引き起こすことがある。そのため、①副腎皮質ホルモン→② 甲状腺ホルモンの順で行う。

(2) 慢性甲状腺炎(橋本病)に用いられる薬

補充療法には、T4製剤(レポチロキシン)を投与する。力価が安定していて、肝臓で徐々に T3に変換されるため、半減期が1週間と長い。 また、T3は心筋梗塞などを引き起こしやすいなどの理由から、積極的な使用は控える。

(3) 薬物の使用方法

レボチロキシンナトリウムとして、 通常成人25~400μgを1日1回経口投与する。 一般に、投与開始量としては25~100μg、 維持量としては100~400μgを投与する
ことが多い。
少量投与から開始し漸増する (急激な代謝亢進による虚血性心疾患などを避けるため)。 なお、年齢、症状により適宜増減する。 特に、高齢者や虚血性心疾患のある患者では少 量から開始するなど注意が必要である。

練習問題

今回の練習問題は第107回薬剤師国家試験の問188です。

橋本病は、甲状腺が少なくなっている。代謝おちて運動していない状態!
1は、体重増加で誤り
2は、徐脈で誤り
3は、正しい
4は、正しい
5は、すいません意図が分からないです。副甲状腺ホルモンへの影響は筆者には不明。甲状腺ホルモンの分泌低下としたいのかな?
とりあえずは、3と4が正しいです。