病態・薬物治療 PR

【病態・薬物治療】うつ病、躁うつ病(双極性障害)

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今回は中枢神経系の疾患であるうつ病、躁うつ病(双極性障害)の病態・薬物治療についてです。

うつ病、躁うつ病(双極性障害)の病態

概要

うつ病性障害や双極性障害は内因性の精神障害で、 躁性気分うつ性気分の感情動揺を中心とした一定の症状を示す疾患である。気分の高揚の極に躁状態があり、気分の落ち込みの極にうつ状態がある。病相以外の時期では正常である。うつ病性障害は女性の有病率が高い。
●うつ病性障害や双極性障害の成因

成因 特徴
遺伝的素因 ・片親が気分障害の場合には子の約30%が発症
・双極性障害の方が遺伝的素因の程度が大きい
病前性格 ・うつ病性障害:執着気質 (几帳面、責任感など)、メランコリー親和性人格 (几帳面、勤勉、良心的など)、 ディスチミア親和性人格(秩序に否定的、規範に対して抵抗するなど)
双極性障害:循環気質(社交的、親切など)
誘因 ・精神的打撃:病気、別離、失敗など
・急激な状況の変化: 転居や昇進など
・負担の軽減 目標達成など
生化学的
要因
・モノアミン仮説::中枢モノアミン神経系の機能低下(セロトニン系、 ノルアドレナリン作動性神経機能低下説)
・受容体仮説:脳内β受容体や 5-HT2受容体数が増加
・視床下部下垂体一副腎皮質系の障害::ストレス時に機能する視床下部-下垂体-副腎皮質系で、負のフィードバック機構が障害され、機能亢進が生じる
薬剤性 インターフェロン、レセルピン、 副腎皮質ステロイド性薬など

注意すべきはモノアミン仮説!
統合失調症の陰性症状はセロトニン仮説(セロトニンの機能亢進)が言われている。しかし、似たような症状のうつ病ではモノアミン仮説(セロトニン系、ノルアドレナリン作動性神経の機能低下)が言われている。

ここはすごく紛らわしいので、あまり理屈で覚えず、暗記の方が楽かも。
<覚え方>
もし、薬理を覚えている人は、
統合失調症に用いるSDA(セロトニン・ドパミンアンタゴニスト)はセロトニンの働き抑える。→逆に病態はセロトニン亢進:セロトニン仮説
うつ病は、SSRI(セロトニン再取り込み阻害)でセロトニン働く→逆に病態はセロトニンの機能低下:モノアミン仮説
と関連づけると覚えやすいです。

分類

分類 特徴
うつ病性障害 ・大うつ病性障害:うつ状態を周期的に繰り返す
・気分変調性障害:軽症のうつ状態を周期的に繰り返
双極性障害 ・双極Ⅰ型障害:躁状態とうつ状態の両方向の気分動揺を交互に繰り返す
・双極Ⅱ型障害:軽症の躁状態を周期的に繰り返す
・気分循環性障害:躁状態とうつ状態を繰り返すが軽症例である

症状

精神症状 身体症状
うつ状態 躁状態 うつ状態 躁状態
抑うつ気分
・意欲減退
・微小妄想(貧困妄想、心気妄想)
思考障害
・不安・焦燥、悲哀感
自殺企図、自殺念慮
・感情の高揚
・多動多弁、浪費
誇大妄想
観念奔逸
・楽天的
気分爽快
睡眠障害 (早朝覚醒、不眠)
・食欲不振
・性欲低下
・疲労感
・睡眠時間短縮
・食欲亢進
・性欲亢進

うつ病性障害や双極性障害では一般に記憶障害が起こることはない。

診断

Hamilton Depression Rating Scale (HDRS)、Self-rating Depression Scale
(SDS)うつ病の重症度尺度として用いる。
また、大うつ病性障害では特徴的なうつ状態の症状が日中、ほぼ毎日2週間以上、気 変調性障害では症状が2年間以上続いているとき診断される。

うつ病、躁うつ病(双極性障害)の治療

うつ病性障害の治療

選択的セロトニン再取込み阻害薬 (SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み
阻害薬 (SNRI) 及びノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) が第一選択薬である。 通常、 投与開始後漸増し、 投与中止に向けて漸減する。 効果不十分であれば、 作用機序の異なる第二、第三選択の薬に変更する。

各種薬剤の薬理作用については、別ページにゴロと一緒にまとめていますので、そちらを参考にしてください。

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双極性障害の状態の治療

躁状態の治療は、気分安定薬(炭酸リチウム、カルバマゼピン、ラモトリギン、バルプロ酸ナトリウム)の単剤投与が基本である。 炭酸リチウムは速効性がないため、不機嫌や易怒性が目立つ場合は効果発現が速いカルバマゼピンやバルプロ酸ナトリウムを用いる。ラモトリギンは気分エピソードの中でもうつ状態を予防する効果が強い。また気分安定は速効性が期待できないため、鎮静作用の強い抗精神病薬を最初から併用することも多い。オランザピンやアリピプラゾールなどの抗精神病薬が用いられる。
双極性障害のうつ状態では躁転を避けるため、気分安定薬と抗うつ薬を併用する。

各種薬剤の薬理作用については、別ページにまとめていますので、そちらを参考にしてください。

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