病態・薬物治療 PR

【病態・薬物治療】間質性肺炎 ゴロ・覚え方

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今回は間質性肺炎の病態・薬物治療について、ゴロ・覚え方を交えてまとめます。

耳で聴いて覚えたいという方向けに動画も作りましたので、よければご利用ください。

間質性肺炎の病態

概要

間質性肺炎とは、肺胞隔壁などの間質の炎症が原因で生じる拘束性換気障害である繰り返す肺胞上皮の損傷とそれに伴う修復異常により間質の線維化が生じる(肺線維症)。

分類

間質性肺炎は発生原因や病理組織学的な特徴により特発性と2次性に分類される

分類 特徴 類別
特発性 原因が不明で、膠原病による肺病変などの他疾患を除外したもの ・急性/亜急性:器質化肺炎、びまん性肺胞障害
・慢性線維性:通常型間質性肺炎、非特異性間質性肺炎
・喫煙関連:呼吸細気管支炎、剥離性間質性肺炎
2次性
(続発性)
原因のあきらかなもの ・薬剤誘発性:
抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩
抗リウマチ薬(金製剤、メトトレキサート
抗悪性腫瘍薬(シクロホスファミド、ゲムシタビン、ブレオマイシン、マイトマイシンCなど)
分子標的薬(ゲフィチニブ、ソラフェニブなど)
インターフェロン
漢方薬(小柴胡湯)
・職業・環境曝露性:粉じん(アスベストなど)
・その他:悪性腫瘍に対する放射線療法

症状

乾性咳と労作時呼吸困難が主症状である。一部ばち指を認める場合もある

検査

検査 所見
炎症反応 ・赤血球沈降速度亢進
・白血球数増加
・CRP(C反応性タンパク質)陽性
KL-6(シアル化糖鎖抗原)上昇、SP-A、SP-D上昇
動脈血ガス分析 PaO2低下
呼吸機能検査 ・%肺活量低下:80%未満(拘束性換気障害)
・DLCO一酸化炭素肺拡散機能低下:80%未満
・聴診:捻髪音
胸部X線検査 ・気管支壁の肥厚
すりガラス陰影(間質の浮腫や肥厚のため、X線透過性が低下し、白く描写される)
・線状網状炎

<拘束性換気障害に関するゴロ>
「パパ活で他人の野獣に拘束された」(美女と野獣の話です)

「パパ活」ーセント肺活量(%肺活量)
「他人」基準は予測肺活量という他人基準になる
「野獣」80%未満
「拘束」拘束性換気障害(間質性肺炎とはこれに該当する)

<相対する閉塞性換気障害に関するゴロ>
「一応パックの納豆閉じている」

「一応パック」1秒%→1秒率
「納豆」7と10で70%未満
「閉じている」塞性換気障害、慢性塞性肺疾患(COPD)

病態まとめゴロ

切子ガラスにロックで乾杯!

「切子~ロック」KL-6上昇
「ガラス」すりガラス陰影
「乾杯」質性
「乾」乾性咳

間質性肺炎の治療

根本的な治療は確立しておらず、対症療法が中心となる。特発性間質性肺炎に対しては以下の治療薬が用いられる。

副腎皮質ステロイド性製薬

プレドニゾロン(商:プレドニン)

単独療法もしくは免疫抑制薬と併用して投与する。
急性増悪に対してパルス(大量)療法が行われる。

免疫抑制薬

・シクロスポリン(商:サンディミュン、ネオーラル)
・アザチオプリン(商:イムラン、アザニン)

副腎皮質ステロイド性薬抵抗性に対して併用して投与する。

アルキル化薬

・シクロホスファミド(商:エンドキサン)

副腎皮質ステロイド性薬抵抗性に対して併用又は大量療法が行われる。

抗線維化薬

ピルフェニドン(商:ピレスパ)
・ニンテダニブエタンスルホン酸(商:オフェブ)

特発性肺線維症のうち、重症例や6ヶ月で5~10%以上の努力性肺活量低下が認められた症例に用いられる。

練習問題

練習問題は第107回薬剤師国家試験の問57です。

答えはシアル化糖鎖抗原(KL-6)になります。

せっかくですので、その他の選択肢の検査値も簡単にまとめます。

●アミラーゼ(AMY)
デンプンなどの糖類を分解する消化酵素で、主に唾液腺(唾液腺型アミラーゼ)膵臓(膵型アミラーゼ)から分泌される。
<基準値>
血清:50~200U/L(Blue-Starch法)、尿:120~1200U/L以下
※測定法により基準値は大きく異なり、施設間差が大きい
<異常値の原因疾患>
・高値:急性膵炎、慢性膵炎(早期および急性期)、膵臓がん、胆管結石、腎不全、化膿性耳下腺炎
・低値:慢性膵炎(末期)、末期膵臓がん

アミラーゼの産生臓器の障害やアミラーゼを排泄する腎臓が障害されると値が高くなる。逆に産生臓器の荒廃がすすむと低下する。

脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
・基準値は18.4pg/mL以下で、心室筋から分泌され、左室拡張末気圧を反映する。
100pg/mL以上で心不全が強く疑われる。
・負荷の増大により、BNPや心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の分泌が亢進する。
・病態の診断、重症度評価のみならず、治療効果の判定、予後予測に有用である。

クレアチキンキナーゼ(CK)
・CKは骨格筋>心筋>脳、その他平滑筋に存在し、筋肉細胞などのエネルギー代謝に大切な酵素である。
・血中CKの検査をすることによって骨格筋・心筋などの破壊の程度を調べる(筋疾患、心疾患で高値)
<基準値>
・男性:59~248U/L、女性:41~153U/L(UV法)
<異常値の原因疾患>
高値:急性心筋梗塞、横紋筋融解症、悪性症候群など

グリコヘモグロビン(HbA1C)
ブドウ糖が結合したヘモグロビンをHb1Acといい半減期は赤血球寿命(約120日)に依存し、約1~2カ月前の平均的な血糖の状態を示す。
<基準値>
4.9~6.0%以下(正常値)
<異常値の原因疾患>
・高値:糖尿病、糖尿病ケトアシドーシス、腎不全、慢性アルコール中毒
・低値:低血糖、異常ヘモグロビン血症、赤血球寿命の短縮(溶血性貧血、肝硬変、腎性貧血)