病態・薬物治療 PR

【病態・薬物治療】全身性エリテマトーデス(SLE) ゴロ・覚え方

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今回は全身性エリテマトーデスの病態・薬物治療についてゴロ・覚え方を交えてまとめたいと思います。

耳で聴いて覚えたいという方向けに動画も作りましたので、よければご利用ください。

全身性エリテマトーデス(SLE)の病態

概要

SLEは若年から中年女性に好発する臓器非特異的な自己免疫疾患で、抗核抗体をはじめとした各種自己抗体と免疫複合体が形成される(Ⅲ型アレルギー)。形成された免疫複合体が、全身の組織に沈着し、補体が活性化されて皮膚、中枢神経、腎臓など全身の臓器に障害を及ぼす。全身性の非感染性慢性炎症疾患であり、完全治癒は困難であるが、十分寛解へ導きうる疾患である。
原因は不明であるが、遺伝的要因、環境要因などが影響する。

症状

初発症状は発熱、関節痛、紅斑などがあるが、個人差が大きく特異的なものは少ない、非特異的症状の原因究明の検査の中で自己抗体が認められ、SLEを疑うこともある。

症状 特徴
全身症状 発熱(39~40℃の持続)、溶血性貧血、全身性血管炎
皮膚粘膜症
(約90%)
蝶形紅斑、円盤状皮疹(ディスコイド疹)、光線過敏症、口腔潰瘍
レイノー症状
関節症状
(約95%)
変形を伴わない関節炎:関節口腔への免疫複合体沈着によって生じ、関節腫脹を伴うが、関節リウマチと異なり関節破壊や変形には至らない
腎障害 ループス腎炎:免疫複合体沈着による糸球体腎炎
精神神経症状 中枢神経ループス:うつ、認知障害などの精神症状、痙攣
心症状 心膜炎、心筋梗塞など
肺症状 胸膜炎、まれに肺高血圧や間質性肺炎もみられる

検査

<末梢血>
自己抗体陽性:抗核抗体(抗二本鎖DNA抗体、抗ヒストン抗体、抗Sm抗体など)、抗リン脂質抗体など
汎血球減少
血清補体値低下:CH50、C3、C4など
・LE細胞:変形した抗核抗体を好中球が貪食してできたもの
<尿検査>
・尿タンパク陽性
・尿沈査:赤血球、白血球、円柱が多数出現する。

ちなみに抗核抗体とは、
真核細胞の核に含まれるさまざまな抗原(いわうるDNAやヒストンと思われます)に対する抗体群の総称。抗核抗体のひとつとして抗DNA抗体群や抗ヒストン群がある。

抗核抗体は膠原病(全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、関節リウマチ、混合性結合組織病やシェーグレン症候群など)の患者の多くが陽性になる。(ただし、健康な人でも20%くらいは陽性になる)
と覚えておきましょう。
【参考】
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q01.html
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s2_q04.html

病態まとめゴロ

襟ただすため、例の町長の降格の判決に参加

「襟ただす」エリテマトーデス
「例の」レイノー症状
「町長」蝶形紅斑
「降格」抗核抗体陽性
「判決」汎血球減少
「参加」Ⅲ型アレルギー

ちなみに全身性エリテマトーデス(SLE)のLはループスです。
なのでループス腎炎はSLEの症状と覚えると忘れにくいです。

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療

副腎皮質ステロイド性薬

プレドニゾロン(商:プレドニン)
SLEの第一選択薬である。
・プレドニゾロンの初期量は、軽症例で20mg/日、中等症~重症例では0.5~1.0mg/kg/日、分割内服で2~4週として、以後1~2週間ごとに漸減しつつ朝1回移行して、10mg/日以下で維持する。
・全身血管炎、糸球体腎炎、溶血性貧血などの重症合併症やステロイド大量長期投与による副作用が問題となる症例に対してはステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン500~1000mg/日を3日間連続して点滴静注)を用いる。

免疫抑制薬

難治性病態、ステロイド抵抗性例、重篤な副作用のためステロイドが増量できない場合に併用する。
アザチオプリン(商:イムラン、アザニン)
シクロホスファミド(商:エンドキサン)
タクロリムス(商:プログラフ)
ミコフェノール酸モチフェル(商:セルセプト):ミコフェノール酸モフェチルはループス腎炎に対して適応がある。
ヒドロキシクロロキン(商:プラケニル):ヒドロキシクロロキンは限定的な皮膚症状のみを有する場合、倦怠感等の全身症状や筋骨格系症状を伴う場合に投与を検討する。本剤使用時には網膜症などの重篤な眼症状の発現に注意する。
ベリムマブ(商:ベンリスタ)

ヒドロキシクロロキンの投与量は身長(正確には身長から算出される理想体重)で決まる
これは、ヒドロキシクロロキンは脂肪組織中濃度は低いことから、実体重に基づき本剤を投与した場合、特に肥満患者では過量投与となり、網膜障害等の副作用発現リスクが高まる可能性があるためである。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

・関節の痛みのみ微熱など軽微で活動性が低い場合はエヌセイズだけを使用することもある。

血漿交換療法

・SLE の最重症病態である急速進行性糸球体腎炎中枢神経ループス 血栓性血小板減少性紫斑病に対して実施する。
・効果は一過性でありリバウンド現象も見られることから効果の維持には副腎皮質ステロイド性薬や免疫抑制薬の併用が必要不可欠である

練習問題

今回の練習問題は第107回薬剤師国家試験の問56です。

上記にまとめたことを参考にすると、答えは抗二本鎖DNA抗体になります。

せっかくですので、選択肢にでた他の検査値についてです。
抗チログロブリン(TG)抗体(抗サイログロブリン抗体)は、自己免疫性慢性甲状腺炎(例としては橋本病)で陽性となる自己抗体である。
抗CCP抗体(抗環状シトルリン化ペプチド抗体)は、関節リウマチで陽性となり、リウマチに高感受性、高特異性を示す。
(ゴロ)竜町娘に「CCuP交代!」
・抗Jo-1抗体は、皮膚筋炎などの診断で用いられます。
抗GAD抗体(抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体)は、1型糖尿病などで高値を示す。