薬局実務中疑問 PR

アムロジピンと納豆の飲み合わせは問題ありません

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

まず一番初めに結論になりますが、
アムロジピン(商品名:アムロジン、ノルバスク)と納豆の飲み合わせは問題ありません

ネットでの検索数を見ていたら「アムロジピン 納豆」で検索している数が多いので、疑問に持たれている方が多いのかもと思って今回この記事を書きました。

結論は上に記載した通りですが、おそらく
・アムロジピンは飲み合わせの悪い食品がある
・納豆と飲み合わせの悪い薬がある
という情報が混在して、「アムロジピン 納豆」で検索されているのかなと思われます。

実はこの2つは正しいので、せっかくこの記事を開いた方には少し「アムロジピンと飲み合わせの悪い食品」と「納豆と飲み合わせの悪い薬」について少し詳しくなってもらえたらと思います。

アムロジピンと飲み合わせが悪いのはグレープフルーツ

アムロジピンのようなジヒドロピリジン系Ca拮抗剤(~ジピンという成分名)はグレープフルーツと飲み合わせが悪いです。

アムロジンの添付文書(お薬の説明書)にも、「グレープフルーツジュースは薬の作用を増強するおそれがある」旨が記載されています。(参考:アムロジンの添付文書)
ただし、添付文書には、グレープフルーツジュースと記載されていますが、ジュースに制限した考えは古く、今では果皮・果肉(赤色の品種も白色の品種とも)も薬に影響を与えると考えられています。

アムロジピンとグレープフルーツの間隔をあけてもダメか?

また、グレープフルーツによる薬の影響は長い時間継続するため、「3日間は注意したほうがいい」と言われています。
患者さんから、「薬は朝なので、間隔をあけて夜とかにグレープフルーツを食べられないか?」との質問を受けることもありますが、薬とグレープフルーツの間隔をあけてもグレープフルーツによる薬への影響は受けると思われます。

他に薬に影響を与える柑橘類はあるか?

ちなみに、最近ではグレープフルーツ以外にもグレープフルーツのように薬に影響を与える可能性がある柑橘類が報告されています
グレープフルーツ以外にも薬に影響を与える可能性がある柑橘類については別記事にまとめていますので、そちらをご確認ください。↓

薬と飲み合わせの悪い柑橘類って何があるの?グレープフルーツが薬に影響を与えることは有名ですが、「その他の柑橘類は?」と言われると不明な人も多いのではないでしょうか。 今回は...

ただし、アムロジピンについては、ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤の中では、グレープフルーツの影響を受けにくい薬ではあります。(参考:グレープフルーツジュースによる薬物相互作用)

しかし、先述したようにアムロジンの添付文書には併用に注意するものとしてグレープフルーツジュースの記載があるため、薬剤師としては、説明する際にはアムロジピンとグレープフルーツとの併用を避けた方が無難であることを説明します。

納豆と飲み合わせの悪い薬はワルファリン(商品名:ワーファリン)

続いて、納豆と飲み合わせの悪い薬は、ワルファリン(商品名:ワーファリン)です。
ワーファリンの添付文書にも、「納豆、クロレラ食品、青汁はワルファリンの作用を減弱するため避ける」と記載されています。
作用を減弱する機序としては、「これらの食品に含まれるビタミンKが本剤のビタミンK依存性凝固因子生合成阻害作用と拮抗する」ためです。

ワルファリンと納豆の間隔をあけてもダメか?

納豆の影響は数日間続くとされていますので、ワルファリンを服用中の場合には、間隔をあけても、納豆を食べることはできません。(参考:PMDAのHP:食品とくすりQ3&A3)

納豆の影響が数日続くのは、納豆菌がしばらく体内で生き続けてビタミンKを次々とつくるからと考えられています。1回納豆を食べると3日間くらい影響が残ると言われています。

ワルファリン服用中は1日どのくらいのビタミンKを摂取しても問題ないのか?

安定した抗凝固状態を得るためには、約80μg/日のビタミンKの摂取が理想的と言われている。
また、日常的なビタミンK摂取が50μg/日未満になると抗凝固状態が不安定になり、250μg/日を超えるとワルファリン感受性が低下する可能性があると言われている。
なお、高用量(約1,000μg)のビタミンK摂取は一度であっても避けるべきであると言われている。
(参考:WarfarinとビタミンKの相互作用に関する文献的研究)

ちなみに、「WarfarinとビタミンKの相互作用に関する文献的研究」では、納豆、青汁、クロレラ食品のほかにモロヘイヤもビタミンKの含有量が多いため、一度であっても摂取を控えるべきとされている。

納豆、青汁、クロレラ100gあたりのビタミンK含有量は、
納豆100g(約2パック分):ビタミンK 925μg
青汁100g(約1回分):ビタミンK 1970μg
クロレラ食品100g:ビタミンK 3600μg
である。(参考:ワルファリンを正しく 飲んでいただくために)

参考

アムロジンの添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2171022F1045_3_18/

グレープフルーツジュースによる薬物相互作用
https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo1958/42/4/42_4_430/_pdf

ワーファリンの添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3332001D1023_1_11/

PMDAのHP:食品とくすりQ3&A3
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0016.html

製薬協のHP:Q27.食べ物が、くすりに影響を与えることはありますか?
https://www.jpma.or.jp/about_medicine/guide/med_qa/q27.html

WarfarinとビタミンKの相互作用に関する文献的研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscpt/41/1/41_1_43/_pdf/-char/ja

ワルファリンを正しく 飲んでいただくために
(名古屋大学医学部附属病院 薬剤部 および ワルファリン地域連携ネットワーク)
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/pharmacy/pdf/warfarin_text_1.pdf