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グレープフルーツジュースのCYP阻害作用時間は長い

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以前、患者さんから「薬は夕食後に飲んでいるが、朝にグレープフルーツジュースを飲むのもダメですか?」という質問をいただきました。
調べてみると、自分が思っていなかった結果だったので記事にしました。

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<グレープフルーツジュースに注意する薬>

グレープフルーツジュースと飲み合わせを注意する薬には、
[降圧薬のCa拮抗薬]※ジヒドロピリジン系(~ジピン)は現状全て
[免疫抑制薬]
シクロスポリン(商:サンディミュン、ネオーラル)、タクロリムス(プログラフ)
[脂質異常症治療薬のスタチン系]
アトルバスタチン(商:リピトール)、シンバスタチン(リポバス)
[抗てんかん薬・気分安定薬]
カルバマゼピン(商:テグレトール)
などがあります。

参考:
お薬とグレープフルーツジュース.東邦大学医療センター 大橋病院(2015年3月)
http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/yakuzai/patient/tjoimi000000161m-att/tjoimi00000019hr.pdf
※現在リンク元が無くなっていたためリンクは切っております。

<グレープフルーツジュースのCYP阻害期間>

まずは基本情報で、グレープフルーツジュースが阻害するのは、小腸のCYP3A4です。肝臓ではありません。
正直、阻害期間はそんなに長くないだろうと思っていました。3時間くらいあければいいのではないかと思っていました。
調べてみると、なんと「3日間は注意した方がよい(250mL飲んだ場合)」とのことでした。
グレープフルーツのCYP阻害メカニズムは不可逆的であり、持続的に阻害作用が起こるようです。

ちなみに、量を少なくすると、CYP阻害作用も少なくなるようです。また、果肉が白よりも赤のグレープフルーツの方が、CYP阻害作用の物質は少ないとの話もありますが、少なければ大丈夫というわけではないようです。

<ジュースだけ?果肉はどうか>

CYP阻害作用を有する物質は主に果肉に入っているため、ジュースだけでなく果肉にも注意が必要です。

参考:
グレープフルーツと薬の飲み合わせ ドクターサロン57巻7月号(6.2013)
http://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/130757-1-24.pdf

グレープフルーツ果肉部分摂取時によるジヒドロピリジン系Ca拮抗薬ニフェジピン及びニゾルジピンの薬物動態への影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/122/5/122_5_323/_pdf