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点眼剤の基本

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点眼剤で、「2種類以上の点眼剤のさす順番やさす間隔」、「コンタクトレンズ装着時の可否」など質問が患者さんから多いと感じたので、基本情報をまとめて記事にしました。

【目薬をさした後に目をパチパチさせない】

患者さんで、あまり目薬を使ったことがないという多くの方で、誤解しがちです。
点眼後は、鼻や口に流れないようにするには、「しばらく(1分程度)目を閉じ、目頭を軽く押さえるようにする」のが効果的です。
特に成分レバミピドを含むムコスタ点眼液UD2%では、副作用として苦味の件数が多く、苦味を避けるためにも、この説明は重要かと思われます。

【1回でさす量は1滴が基本】

1回の点眼量は、確実に点眼できれば片目1滴ずつで十分であり、それ以上点眼しても目の外に排出されたりします。
結膜嚢に保持できる液量は成人で20~30μLですが、既に約7μLの涙液が結膜嚢に常在しています。点眼剤の1滴は30~50μLですから、 その一部が目の外にあふれます。

医療用点眼剤では、1回1滴となっているものが一般的です。
そこで以下に1回1滴もしくは1回1~2滴以外の点眼剤を上げています。
(調査方法は、PMDA医薬品情報検索にて「薬効分類:眼科用剤、用法及び用量:●滴、※ただし1~2滴を含まない」で2018年8月4日に検索)

<2滴>※1~2滴は省いています。
・アミノグリコシド系抗生物質:ジベカシン硫酸塩の点眼(商:パニマイシン点眼液0.3%)
<2~3滴>
・抗生物質:クロラムフェニコール+コリスチン(商:後発:オフサロン点眼液)
・調整機能改善薬:ネオスチグミン(商:ミオピン点眼液
<1~4滴>
・局所麻酔:オキシブプロカイン(商:ベキシノール点眼液0.4%)

【どのくらいで目薬を使い切るか?】

患者さんの服薬コンプライアンスを考えるために、どのくらいで目薬がなくなるかを検討したいと思います。
点眼剤は1本2.5mLと1本5mLが多いです。
特に1本2.5mLのお薬は1日1回1滴の用法が多いため、まず「2.5mL点眼剤を1日1回1滴」使用した場合で検討します。

1本2.5mL点眼剤を1日1回1滴使用した場合

1滴0.03~0.05mL(30~50μL)であるため、片目で2.5mLを使い切るのは83~50日となります。(両目なら41.5~25日ですね。)
医療用点眼剤の使用期間目安は開封後1カ月以内であるため、2.5mL製剤であれば、1本あたり1カ月間隔で受診していればコンプライアンスは良い可能性が高いですかね。

1本5mL点眼剤を1回1滴、1日2回、4回、6回使用した場合

1滴0.03~0.05mL(30~50μL)であるため、
1日2回:(片目で)83~50日、 (両目で)41.5~25日
・1日4回(片目で)41.5~25日(両目で)20.75~12.5日
・1日6回:(片目で)20.75~12.5日、(両目で)10.375~6.25日
こう考えると、1本5mL点眼剤は、1日4回以上だと1本1カ月より短い期間で使い切る可能性が高いので、受診間隔に少し注意するとコンプライアンスの目安になるかと思います。
また、1ヶ月で使い切れない用法の場合は、開封後の使用期間は1カ月であることを説明すると良いかもしれません。

【2種類以上をさす間隔および順番】
どちらも医師から指示がある場合は、医師の指示に従っていただきます。
医師の指示がない場合は、
点眼間隔は、「少なくとも5分」と言われています。
ただし、ゲル化点眼の場合は「10分以上」と言われています。
順番は、「水溶性点眼⇒懸濁性点眼⇒油性点眼⇒ゲル化点眼⇒眼軟膏」と言われています。
※油性点眼は2021年3月16日現在では存在しません。
眼軟膏やゲル化点眼は水をはじきやすく、それらの後に水性点眼剤を点眼した場合、その効果が発現しない恐れがあります。

【ソフトコンタクトレンズの可否】

コンタクトレンズの可否は患者さんから聞かれることの多い内容です。
基本的にソフトコンタクトレンズ不可の薬は、添付文書で「コンタクトレンズ」と検索すると、使用上の注意などでソフトコンタクトレンズを外すよう記載があります。

コンタクトレンズを外す旨の注意で目に付くのが
添加物で含まれるベンザルコニウムが吸着すること、点眼後15分程度あけて装着すること」の記載です。
(※間隔は10分と記載があるものや間隔に関する記載がないものもあります。)

では、なぜベンザルコニウムがコンタクトレンズに吸着するのがダメなのか?
ベンザルコニウムは、角膜障害を引き起こすと言われています。通常は、まばたきしていれば涙で流れると言われていますが、コンタクトレンズに吸着することで接触時間が長くなると角膜への影響が懸念されるために、この注意書きがあると思われます。

[追記2019年2月28日]ーーーーー
ベンザルコニウムが含まれる点眼剤の添付文書には、ソフトコンタクトレンズに対する注意書きがあるものだと思っておりました。しかし、インタール点眼液2%(一般名:クロモグリク酸)には添加物としてベンザルコニウム塩化物が含まれていますが、ソフトコンタクトレンズの注意書きはありません
点眼剤でソフトコンタクトレンズの可否を判断する場合には「使用上の注意」や「適応上の注意」を確認するよりも「添加物にベンザルコニウムを含むか否か」を確認する方が重要になるかと思います。
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参考

点眼剤の適正使用ハンドブック-Q&A- 社団法人 日本眼科医会 監修
https://www.rad-ar.or.jp/use/basis/pdf/megusuri02.pdf

新百合ヶ丘総合病院 薬剤科コラム 点眼薬(目薬)について
http://www.shinyuri-hospital.com/column/pharmacist/column_pharm_04.html#:~:text=%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E3%81%AF%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E3%81%AE%E6%8C%87%E7%A4%BA,%E3%81%AB%E3%81%8A%E7%A4%BA%E3%81%97%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

パタノール点眼液0.1% 添付文書(ベンザルコニウムを含有)
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/300242_1319752Q1024_2_01

キサラタン点眼液0.005% 添付文書(ベンザルコニウムを含有)
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/671450_1319739Q1037_2_07