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ヤーズ配合錠 重大な副作用:血栓症と服薬指導案

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最近、ヤーズ配合錠が処方されて症例にて服薬指導をしました。ヤーズ配合錠は説明書きが付いており、死亡例も出ている薬であることを知ったので記事にしました。

【ヤーズ配合錠の簡単な情報】

<効能・効果>
月経困難症

<用法・用量>
1日1錠を毎日一定の時刻に定められた順に従って(淡赤色錠から開始する)28日間連続経口投与する.
以上28日間を投与1周期とし,出血が終わっているか続いているかにかかわらず,29日目から次の周期の錠剤を投与し,以後同様に繰り返す.

<組成:1錠中>
合成黄体ホルモンであるドロスピレノン3mg
合成卵胞ホルモンであるエチニルエストラジオール0.02mg

【ヤーズ配合錠による血栓症】

ヤーズ配合錠の販売が開始された平成22年11月~平成26年1月17日までに、死亡例3例を含む140例の重篤な血栓症関連の副作用症例が報告されています。
メーカーの推定では年間約187,000人の患者に使用されているとのことなので、
この期間では、187,000×(3+2/12)=約592,000人の患者が使用したと推定すると、
約0.024%の割合で重篤な血栓症が出たようです。

添付文書の警告には、以下の記載があります。(一部抜粋)
———————————————————-
次のような症状があらわれた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと
<緊急対応を要する血栓症の主な症状>
下肢の急激な疼痛・腫脹、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、四肢の脱力・麻痺、構語障害、急性視力障害等
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さらに「重要な基本的注意」には、
血栓症が疑われる症状があらわれた場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<血栓症が疑われる症状>
下肢の疼痛・腫脹・しびれ・発赤・熱感、頭痛、嘔気・嘔吐等

また、「血栓症のリスクが高まる状態(体を動かせない状態、顕著な血圧上昇、脱水等)が認められた場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと」との記載もあります。

【まとめ】

以上より、ヤーズ配合錠の服薬指導では、血栓症が疑われる症状があらわれた場合や、血栓症のリスクが高まる状態になった場合は、症状・状態が軽度であっても直ちに服用を中止し、医師等に相談する旨の説明が重要です。
さらには、「夏や運動時などは脱水しないように、しっかりと水分補給を行うこと」や「デスクワークや出張移動などで、座りっぱなしになる場合は、足をこまめに動かす事やたまに立ち上がる事が予防に良いこと」を説明すると患者さんは対策が分かりやすいかもしれません。

なお、上記の血栓症予防対策は、エコノミークラス症候群と通ずるものがあると判断し、エコノミークラス症候群の対策を参考に記載しています。

参考:
月経困難症治療薬ヤーズ配合錠による血栓症について(厚生労働省)
http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/310_1.pdf
ヤーズ配合錠 添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/630004_2482011F1020_1_13.pdf
エコノミークラス症候群の予防のために
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170807.html
エコノミ―クラス症候群ってなに?(一般社団法人 日本旅行業協会)
https://www.jata-net.or.jp/travel/info/safety/health/brochure/igaku/economyclass.html