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フェキソフェナジンの効かない理由は「飲み方がよくない」かも

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アレルギー性鼻炎や花粉症、蕁麻疹などで処方されるアレグラ(成分:フェキソフェナジン塩酸塩)市販でも購入できるアレグラFXやアレルビ(市販品の効能・効果はアレルギー性の鼻炎症状のみ認められている)。

このフェキソフェナジンに対しては、「あまり効かなかったから薬を変えてもらった」という話をよく聞きます。
しかし、実はフェキソフェナジンは飲み方によっては効果が出にくくなる可能性があります。
例えば、食後より空腹時の方が吸収がよいので、食後で飲んでいる方は空腹時の飲むことで効果を実感できるようになる可能性があります(ただし、薬の説明書:添付文書上では、食後でも適切ですので、食後を指示されていても医師や薬剤師が間違っているわけではありません)。

ここでは、主に、フェキソフェナジンの効果が出にくくなる可能性がある飲み方を説明しますので、今服用して効果を感じていない方でも飲み方を改善すれば、効果を実感できる可能性があります。できる方は是非試してみてください。
せっかくのお薬なるべく無駄なく使用しましょう。

動画にもしてるので、記事を読むのが面倒な人は動画をみていただけると嬉しいです。

食後ではなく空腹時に服用してみる

実はフェキソフェナジンは、食後よりも空腹時の方が吸収がよくなる可能性があります。

アレグラの添付文書に載っている試験では、食後服用は空腹時と比較し吸収量が15%ほど落ちたという結果があります(正確には、AUC0→∞:15%減少、Cmax:14%減少)。
(参考:医療用アレグラの添付文書

また、フェキソフェナジン+プソイドエフェドリン配合剤であるディレグラ配合錠の添付文書でも、絶食時と比較して食後服用でフェキソフェナジンの吸収が減少した記載があり、ディレグラ配合錠に関しては空腹時に服用することとなっています。
(参考:ディレグラ配合錠の添付文書

フェキソフェナジンは食後の服用も認められているため、食後服用でも間違いではありませんが、し食後で服用して効果を感じていない方は、空腹時:食事の1時間前か食後2時間経過してから服用してみてください。
※ただし、医師から食後服用で指示されている方は、自己判断での変更は推奨できませんので電話でもよいので医師に相談して変更してください。

ミネラル成分と一緒に飲むことを避ける

一部のミネラルと一緒に服用するとフェキソフェナジンの吸収が悪くなる可能性があります
下記のようなミネラル成分(を含むもの)を服用している方は、2時間以上間隔をあけて服用することをオススメします。

アルミニウムやマグネシウムは吸収を悪くする

水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤と服用した際には、フェキソフェナジンの吸収が約40%も減少したというデータがあります。
(参考:アレグラの添付文書)

アルミニウムやマグネシウムを含む可能性があるものとしては、
●便秘薬[マグミット(成分:酸化マグネシウム)など]
●胃薬[マルファ懸濁用配合顆粒、アルサルミン(成分:スクラルファートがアルミニウム含む)など ※市販の胃薬などに含まれることもある]
●サプリメント
などがありますので注意してください。

鉄、カルシウム、亜鉛は吸収を悪くする可能性がある

鉄やカルシウム、亜鉛に関してはデータがあるわけではありませんが、アルミニウムやマグネシウムで吸収が落ちるその他の薬で、これらのミネラル成分でも吸収が落ちています。
(参考:静岡県立病院 薬剤部資料 抗菌薬と相互作用~吸収 キレート形成を中心に~
可能であれば2時間以上間隔をあけて服用しましょう。

鉄、カルシウム、亜鉛を含む可能性があるものとしては、
●貧血治療薬[フェロミア(成分:クエン酸第一鉄ナトリウム)など]
●カルシウム補給薬[アスパラ-Ca(成分:L-アスパラギン酸カルシウム水和物)など]
●亜鉛欠乏症の治療薬[ノベルジン(成分:酢酸亜鉛水和物)]
●胃薬[プロマックD(成分:ポラプレジンク):構造式の中に亜鉛が含まれており、保険適応外で亜鉛欠乏に使われたりする]
●サプリメント
●牛乳(高齢者の方で、たまに胃への負担を気にして、薬飲む前に牛乳を飲まれる方がいます)
などがあります。

継続して服用する

アレグラを反復投与した場合に、投与2日までに定常状態に達するとされています。
(参考:アレグラ インタビューフォーム

リッチェル理論的には、
投与間隔12時間/半減期9.5~16時間=0.75~1.26<3
よって定常状態はありと判断。
定常状態に達するのは、(9.5~16)×5=47.5~80時間後

血中の薬物濃度が安定するまでに約2~3日かかる計算になります。
安定するまでは、徐々に薬物の血中濃度は高くなっていくため、1日で効果を感じなくとも、継続すれば2日目や3日目で効果を感じるようになる可能性はあります。

基本的にアレグラのような第二世代の抗ヒスタミン薬は頓服的な服用は用法用量として認められていないが、特にアレグラは反復投与が重要な薬剤と考えられます。

もし、1回2回の服用で効果を感じなくとも、3日継続すれば効果を感じられるようになるかもしれませんので、よければ試してみてください。

自己判断で1回2錠は飲まない

まず市販のアレグラFXやアレルビは1回2錠の服用は認められておりませんので、1回2錠の服用はしないでください。

病院やクリニックで処方されたアレグラについては、症状により1回2錠で服用することもあります。しかし、それは医師の判断のもとの用法用量ですので、自己判断では行わないでください。
ただし、手元に薬はあるので、病院・クリニックに電話して「1回2錠で試して問題ないか?」と相談すれば医師が判断してくれると思います(薬を変更したいから受診してほしいと言われる可能性はあります)。

それでダメなら薬を変更する

上記の服用方法に改善しても、効果がない場合は以下の対応がいいかと思います。

●病院やクリニックで処方されている場合:
→医師に別の薬剤への変更を相談する。

●市販薬を購入している場合:
→病院を受診するかドラッグストアなどで薬剤師に別の薬がないか相談する(なお、受診される場合に市販のアレグラで効果がない旨を伝えると別の成分を選択してくれると思います)。