薬局実務中疑問 PR

膀胱炎治療薬の服薬指導を考える

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

最近、膀胱炎の患者さんに対しては服薬指導をしました。
処方はレボフロキサシン(朝食後、500mg/日)のみであり、以下のような服薬指導をしました。
「除菌をしっかりとすることが治療では大切ですので、抗生物質は可能な限り飲み切るようにしてください。ただし、副作用で下痢になることがありますので、薬を飲んでいて辛いと思う体調変化があれば飲むのをやめ、医師に相談してください。」

この他にも、もっと患者さんに有益な情報を伝えるために勉強したことを記事にしました。

【調査内容】

膀胱炎には、あきらかな基礎疾患が認められない単純性基礎疾患を有する複雑性とに分類されます。(今回は単純性膀胱炎に絞って記事にしていきます。)
症状は、頻尿、排尿痛、残尿感、膀胱部不快感など。通常、発熱は伴わない。
原因となる微生物の多くは、グラム陰性桿菌である大腸菌(Escherichia coli)。高齢女性の場合は、大腸菌はキノロン耐性率が高い
閉経後女性における膀胱炎は、若年女性のそれに比し治癒率が低く再発率が高い。そのため高齢女性においては3日間では不十分と考えられているが、シプロフロキサシン3日間投与と1週間投与を比較しても有効率、再発率に優位な差がなかったと報告されている。

<第一選択薬>
[閉経前]
レボフロキサシン水和物(商:クラビット):1日1回・3日間
シプロフロキサシン(商:シプロキサン):1日2回・3日間
トスフロキサシン酸塩水和物(商:オゼックス):1日2回・3日間

[高齢女性(閉経後)]
セファクロル(商:ケフラール):経口1回250mg・1日3回・7日間
クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物(商:オーグメンチン):経口1回125mg/250mg・1日3回・7日間
セフジニル(商:セフゾン):経口1回100mg・1日3回・5~7日間
セフカペンピボキシル塩酸塩水和物(商:フロモックス):経口1回100mg・1日3回・5~7日間
セフポドキシムプロキセチル(商:バナン):経口1回100mg・1日2回・5~7日間

膀胱炎で、抗菌薬を服用すると、3~4日間で症状が良くなることが多いようです。しかし、症状が良くなっても、細菌が残っていることがあるので飲み切るように指導することが大切なようです。

また、尿量が少なく、膀胱にたまっている時間が長いと膀胱内で菌が繁殖しやすくなるので、水分を多めに摂取して尿量を増やし、こまめに排尿することを指導するのも重要なポイントです。

参考:
JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015 -尿路感染症-:http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/jaidjsc-kansenshochiryo_nyouro.pdf
高知医療センターHP:
http://www2.khsc.or.jp/info/dtl.php?ID=1125
eo健康 膀胱炎の症状と原因って?泌尿器科医に教わる正しい「治し方」:
https://eonet.jp/health/article/_4101668.html#anchor04

【反省】

まず、ただ「飲み切る」と指導するよりも「症状が改善しても菌が残っている可能性があるため、飲み切る」という説明の方が、飲み切る理由を明確にでき、患者さんが飲み切ろうと意識が高まる気がします。
さらに、追加するなら、「菌の繁殖を抑えるために、水分を多めに摂取して尿量を増やし、こまめに排尿を心がけてください」という情報も患者さんに有益な情報のように思います。