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αグルコシダーゼ阻害薬 特徴まとめ

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糖尿病治療薬を詳しく勉強したい薬剤師・薬学部生向けに
糖尿病標準診療マニュアル2022(以下マニュアル)
糖尿病診療ガイドライン(以下ガイドライン)
を参考に糖尿病治療薬の情報をまとめています。

今回はαグルコシダーゼ阻害薬になります。

αグルコシダーゼ阻害薬

成分として
・アカルボース(商:グルコバイ):αアミラーゼ阻害作用もある
・ボグリボース(商:ベイスン):糖尿病発症予防目的での使用が保険上認められている(錠0.2のみ)
・ミグリトール(商:セイブル)
などがある。

●αグルコシダーゼ阻害薬は小腸内でαグルコシダーゼの活性を阻害し、二糖類の分解を阻害して糖質の吸収を遅延させることで、食後の高血糖・高インスリン血症を抑える効果がある。

アカルボースは、αアミラーゼ(唾液・膵液中に存在)阻害作用も有している

●単独投与でのHbA1cや空腹時血糖の改善効果は他の経口血糖降下薬やインスリンに比べて弱いが、ユニークな作用機序を有しているため他の薬物との併用に適している

1型糖尿病患者でも使用できる血糖降下薬であり、インスリンとの併用で食後高血糖が抑制されることが示されている

●大血管症発症リスクの低下を示唆する報告があるが十分なエビデンスはない。

低血糖時にはブドウ糖などの単糖類で対処する。

毎食直前の投与が必要であり、服薬コンプライアンスの不良に注意する。
服用忘れに気付いた場合には、食事開始15分後くらいまでなら血糖上昇抑制効果は期待できるとされている(参考:今日の治療薬2018)

副作用として腹部膨満感、放屁や下痢がしばしばみられるが、その場合は薬を一度減量し再度漸増することで改善をみることが多い

●まれに重篤な肝障害が起こることがある。腹部手術歴のある場合に腸閉塞を、肝硬変がある場合に高アンモニア血症などを誘発する可能性があり、いずれも慎重投与となっている。

ボグリボース(商:ベイスン)は、耐糖能異常における糖尿病への進行抑制が示されており、耐糖能異常(空腹時血糖が126mg/dL未満かつ75g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値が140~199mg/dL)と判断され、糖尿病発症抑制の基本である食事療法・運動療法を3~6ヵ月間行っても改善されず、かつ高血圧症、脂質異常症(高TG血症、低HDL-C血症など)、肥満(BMI25以上)、2親等以内の糖尿病家族歴のいずれかを有する場合、糖尿病発症予防目的での使用が保険上認められている

ボグリボース(商:ベイスン) 添付文書抜粋

効能又は効果

〈ベイスン錠0.2、0.3〉
糖尿病の食後過血糖の改善
(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)
〈ベイスン錠0.2〉
耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(錠0.2のみ)
(ただし、食事療法・運動療法を十分に行っても改善されない場合に限る)

効能又は効果に関連する注意

〈効能共通〉
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療及び糖尿病発症抑制の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。
〈糖尿病の食後過血糖の改善〉
5.2 糖尿病治療の基本である食事療法・運動療法のみを行っている患者では、投与の際の食後血糖2時間値は200mg/dL以上を示す場合に限る。
5.3 食事療法、運動療法に加えて経口血糖降下剤又はインスリン製剤を使用している患者では、投与の際の空腹時血糖値は140mg/dL以上を目安とする。

〈耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(錠0.2のみ)〉
5.4 本剤の適用は、耐糖能異常(空腹時血糖が126mg/dL未満かつ75g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値が140~199mg/dL)と判断され、糖尿病発症抑制の基本である食事療法・運動療法を3~6ヵ月間行っても改善されず、かつ高血圧症、脂質異常症(高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症等)、肥満(Body Mass Index:BMI 25kg/m2以上)、2親等以内の糖尿病家族歴のいずれかを有する場合に限定すること。

用法・用量

〈糖尿病の食後過血糖の改善〉
通常、成人にはボグリボースとして1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を0.3mgまで増量することができる。

〈耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(錠0.2のみ)〉
通常、成人にはボグリボースとして1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。

参考資料

糖尿病診療ガイドライン2019(http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-05.pdf

糖尿病標準診療マニュアル2022 一般診療所・クリニック向け
https://human-data.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/DMmanual_18.pdf

ベイスン錠 添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3969004F1020_2_04/