薬局実務中疑問

【ステロイドの点鼻薬】アラミストとナゾネックスの比較

今回は、アレルギー性鼻炎に対して、よく使用されるステロイドの点鼻液剤であるアラミスト(成分名:フルチカゾン)ナゾネックス(成分名:モメタゾン)について比較しながらまとめていきたいと思います。

また、最後にはその2つと比較してステロイドの点鼻粉末剤であるエリザス(成分名:デキサメタゾン)の特徴をまとめたいと思います

有効性の違い

2剤のアレルギー性鼻炎に対する有効性に大きな差はないと考えられています。1)
ただし、アラミストは受容体への結合力が高く、鼻・眼反射を介して眼のかゆみや赤みなどの眼症状に対して有効性を発揮することが報告されています。1)2)

効果が発現するまでの時間について

アラミストのスイッチOTC化を検討した厚生労働省の資料では、
同種同効薬を含めて、本剤(アラミスト)は効果発現が早く、約1~2日で効果がみられる。」3)
また、ナゾネックス点鼻液第1部申請書等行政情報及び添付文書に関する情報では、
「季節性アレルギー性鼻炎患者においては、本剤を初回投与後12時間以内に鼻症状が著明に改善することが明らかになっている。しかし、投与後48時間を過ぎてからが、本剤の効果が最大となるため継続して使用することが望ましい。」4)
「季節性アレルギー性鼻炎患者の28%において、本剤は初回投与12時間以内に著明な効果を示し、その効果発現時間の中央値(50%)は35.9時間であった。」4)
と記載されている。

アラミストの資料には、効果発現時間は同種同効薬を含めて約1~2日とあり、ナゾネックスの効果発現時間の中央値が約36時間であったなら、感覚的な結論付けになるが、どちらも効果発現は約1~2日程度で大きな差はないと思われる

安全性の違い

どちらも局所効果が高く、全身への吸収が少なく吸収後もすぐに分解されるため全身性副作用は少ないと言われています。1)
その中でも、バイオアベイラビリティ(投与された薬剤のうち全身の血液循環に到達して作用する割合)を比較すると、アラミスト:0.5%、ナゾネックスは0.2%未満であり、ナゾネックスは、全身曝露の割合がより低いです。1)
そのため、ナゾネックスは長期使用でも全身性の副作用の心配が少ないと考えられます。2)

長期使用の安全性について

グラクソ・スミスクラインさんのアラミストのQ&Aでは、
「国内外では1年の試験報告があり、安全性と持続的な有効性が報告されています」
と記載があるので、1年間長期使用しても安全性は高く効果も得られると思われます。

ナゾネックスについては具体的な情報は発見できませんでしたが、バイオアベイラビリティが低いことを考えると、長期で使用しても全身性副作用の心配は少ないと推測されます。

使用方法の違い

ここでは基本的な使用方法を挙げていき、その中で異なる点についてチェックしていきたいと思います。

①初めての容器はよく振った後に空打ちを行う(最初は薬がでないため)
目安はアラミストが6回ナゾネックスが10回です

②使用前によく鼻をかむ
製剤の特性上鼻が通っている方がよい。そのため、使用タイミングについても特段の指定はないが、可能ならば鼻の通っている時間帯を勧める方が、効果を期待できる可能性がある。1)

③使用前によく振る

1日1回、年齢に合わせて1回で両鼻に1噴霧ずつ若しくは2噴霧ずつ点鼻する。
2つの製剤で1噴霧・2噴霧が切り替わる年齢が違います。
アラミスト:2~15歳未満は1回1噴霧、15歳以上1回2噴霧
ナゾネックス:3~12歳未満は1回1噴霧、12歳以上は1回2噴霧

⑤保管については、アラミストのみ「立てて保管」と記載されている。
その理由は、
「横にすると、ノズル中に充填された次回分の懸濁液が中から漏れる可能性があります。そうなると、ノズル中に懸濁液が満たされず隙間ができてしまい、次回の投与時に一定量が噴霧できなくなってしまうため」。とのこと。5)

点鼻粉末剤との比較

ここまでは、アラミストとナゾネックスという液剤の点鼻薬2つを比較してきました。
ここでは、おまけで1日1回のステロイド点鼻粉末剤:エリザス(成分名:デキサメタゾン)と少し比較したいと思います。

エリザスの長所

エリザスは、添加物が乳糖水和物のみであり、点鼻液剤と比較すると鼻への刺激が少ないと考えられています。
また、粉末のため、点鼻した後の鼻からの液だれがありません。1)

エリザスの短所

バイオアベイラビリティは14%であり、2つの液剤と比較すると全身曝露の割合が高い
小児の適応がない。1)
1日1回、1回各鼻腔に1噴霧でよいが、手技が液剤2つと比較すると手間

オススメの書籍

今回の記事を読んで面白いと思った方は、薬を比較して勉強するのが向いているのだと思います。(比較すると、同時に複数の薬が勉強できるのもメリット

また、今回は私も自分では気が付けなかったことに対して、書籍から情報を得ることができました。自分だけではできない発見をさせれくれるのも本の良いところだと感じました。

ここでは、薬を比較して紹介してくれる書籍2冊を紹介しますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

参考

1)患者に合わせた処方意図がわかる!同効薬・類似薬のトリセツ「監修:稲森正彦、日下部明彦」

2)薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100[著:児島悠史]

3)スイッチOTC医薬品の候補成分の成分情報等資料6-1
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000879792.pdf

4)ナゾネックス点鼻液第1部申請書等行政情報及び添付文書に関する情報
https://www.pmda.go.jp/drugs/2008/P200800030/170050000_22000AMX01710000_B103_2.pdf

5)アラミストのQ&A
https://kusurigsk.jp/al/qa/index.html?agree=Y