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ロキソニン錠60mgとボルタレン錠25mgの比較!強さ・速さ・安全性

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代表的な消炎鎮痛剤であるロキソニン錠60mg(成分名:ロキソプロフェンナトリウム水和物)とボルタレン錠25mg(成分名:ジクロフェナクナトリウム)。

薬局で働いていて、よく目にする2つのお薬ですが、なんとなく「効果が強いのがボルタレン」という認識ではないですか。
私もずっとなんとなくそのイメージでいましたが、ふと「本当にこの通説は正しいのか?」と疑問に思いました

そこで今回は、「この2つにどんな違いがあるのか」を考えるべく色んな情報を調べて比較してみました。

もしかしたら認識が変わるかもしれませんので、ぜひ読んでみてください。

時間がない方向けに簡単に調査結果をまとめると
●調査範囲内では、「効果の強さに大きな差はない」と思われる。
●効果発現の速さは、「ロキソニン錠1錠とボルタレン錠1錠では実感できるほどの差はない」と思われる。ただし、ロキソニン錠2錠の効果発現は速い。
●副作用は、「ロキソニンの方が副作用が発現しにくい可能性がある」
効能・効果の種類は「ボルタレン錠の方が多い」

効果の強さ

先に結論から書くと、調査した結果「ロキソニン錠60mgとボルタレン錠25mgの効果の強さにあまり大きな差はない」と思われます。

一般的には「ボルタレンが強い」と言われています。

また、ボルタレン錠25mgのIFにおいて以下の記載があります。
アジュバント関節炎疼痛(ラット)において、ジクロフェナクナトリウムの鎮痛作用は、ロキソプロフェンナトリウムよりも強い

このような情報もあり、ボルタレンはロキソニンより効果が強いと言われているのかもしれません。

しかし、ロキソニン錠60mgの添付文書に記載されている臨床試験においては以下の結果でした。

変形性関節症患者を対象とした二重盲検試験において、ジクロフェナク75mg/日を対照薬として本剤180mg/日を2週間投与した結果、本剤での最終全般改善度の改善以上は61.8%(68/110例)、軽度改善以上は87.3%(96/110例)であった。
なお、この試験におけるロキソプロフェン群とジクロフェナクの改善以上の症例率や軽度改善以上の症例率では、有意な差は確認されていないようです。
ただし、単純な数字としては各症例率はロキソプロフェン群の方が少し高かったです。
(※ジクロフェナクの成績と有意差の有無は、第一三共さんへの問い合わせにて確認)

つまりヒトにおける試験では統計学的な差を確認できていないです(むしろ、有意な差はないが改善の数値は、ロキソプロフェンの方が少し良い

さらに、鎮痛剤の投与量を痛みの指標(DrugPainScore:DPS)とする考え方では、
ロキソプロフェン60mgはジクロフェナク25mgに相当するとされています
そのため、この観点からだと鎮痛効果はほぼ同程度に扱われていると思われます。
(参考:ERCP関連膵炎の重症化予知指標としての膵臓痛の評価とDPS標準化の試み)

以上の情報より、ロキソニン錠60mgとボルタレン錠25mgの効果の強さについては「あまり差がない」と思われます。

ただし、現場では「ロキソニン錠60mgからボルタレン錠25mgに切り替える際に、より強い薬に変更する」と医師から説明を受けている患者さんがいることも事実ですし、私が全てを調査できていると思っておりませんので、多少臨機応変に対応するのが良いと思います。

効果発現の速さ

これもまず結論から記載すると、調査した範囲では「効果発現の速さにあまり差がない」と思われます。

私はあまり聞いたことがなかったのですが、書籍やネットでは「ロキソニンの方が速く効く」と言われているみたいです。
しかし、互いのTmax(薬物を服用した後、血中濃度が一番高くなる時間)を比較して、それを根拠に結論づけているものもあり、少し疑問が残ります。

個人的には、何の情報もなければTmaxを参考にするかもしれませんが、今回は幸いなことにどちらの薬剤も効果発現時間に関する情報があるため、そちらを比較していきたいと思います。

【ボルタレン錠25mgIFより抜粋】
慢性扁桃炎の小児及び成人患者での扁桃摘出術後疼痛へのジクロフェナクナトリウムの投与では、鎮痛効果の発現時間は、15~45分で平均26分であった。
(※なお問い合わせにて、成人患者への投与量は1回25mgであることを確認)

健康成人での歯髄電気刺激法による試験(経口投与)で、ジクロフェナクナトリウム投与群(50mg投与)では、30分値で初期値の平均値に対して疼痛閾値の有意の上昇が、またプラセボ投与群に対しても30分値で有意に高いことが認められている。

【ミナカラ ロキソニンの効果|ロキソプロフェンが効くまでの時間・持続時間より抜粋】
整形外科領域の手術後・外傷後疼痛に対するロキソニン(60mg)の鎮痛効果は15分後に19.8%、30分後に53.4%、60分後に72.4%の症例に認められています。
抜歯後疼痛に対するロキソニン(120mg頓用)の鎮痛効果は15分以内に51.6%、30分以内には83.9%の症例に認められています。

長屋郁郎 ほか:臨床医薬 1985; 1(1): 69-89
内田安信 ほか:歯科薬物療法 1984; 3(1):32-48

疼痛の種類は違うため、単純の比較できるものではないかもしれないが、
末梢性の痛みに対して、
ボルタレンは25mgでも50mgでも30分後くらいから効果を期待できそうです。
ロキソニン錠は60mgだと30分後くらいで効果が期待できそうです。また、120mg服用では15分程度で効果を期待できそうです。

以上の情報より、ボルタレン錠25mgとロキソニン錠60mgを1錠服用した際の効果発現の速さに大きな差はなさそうです。
しかし、ロキソニン錠60mgを2錠服用した場合にはボルタレン錠25mgの1錠や2錠服用するよりは、速やかな効果を期待できる可能性があるかと思われます。

安全性

一般的に「副作用が多いのはボルタレン」と言われています。

先ほども記載したロキソニン錠60mgの添付文書に記載されている臨床試験(ロキソプロフェンとジクロフェナクの比較試験)においては以下の結果でした。

変形性関節症患者を対象とした二重盲検試験において、ジクロフェナク75mg/日を対照薬として本剤180mg/日を2週間投与した結果、副作用は本剤群で17.9%(22/123例)に認められ、主なものは胃・腹部不快感6.5%(8/123例)、胃痛4.1%(5/123例)であった。
なお、ロキソプロフェン群とジクロフェナク群での副作用発現症例率や副作用での中止症例率で優位な差は確認できていないようです。
ただし、各症例率の単純な数字としては、ロキソプロフェン群のほうが少し低かったです。。
(※ジクロフェナクの情報は、第一三共さんへの問い合わせにて確認)

さらに、各薬剤の副作用の発現状況は下の通りです。

ロキソニン錠60mg  ボルタレン錠25mg
承認時ごろ 使用成績調査 承認時まで 承認時以降
調査症例数 1,700 11,511 1,474 35,653
副作用発現症例数 163 232 160 2,749
副作用発現症例率 9.59% 2.02% 10.85% 7.71%
特に消化器系
()内は症例率
87
(5.12)
157
(1.36)
139
(9.43)
2,365
(6.63)

直接比較した試験では有意な差は確認できていません
発現状況は同一条件ではないため単純に比較できるものではないですが、どちらの結果もロキソニン錠60mgの方がボルタレン錠25mgよる副作用の発現率は低かったです。

そのため、症例数が多くなれば差が出てくる可能性もあり、ロキソニン錠60mgの方が安全性が高い可能性はあるかと思います。

効能・効果の範囲

それぞれの薬剤で認められている効能・効果は少し異なります。

ロキソニン錠60mgの効能・効果 ボルタレン錠25mgの効能・効果
〇下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛〇手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎〇下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
〇下記の疾患ならびに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、腱鞘炎、頸肩腕症候群、神経痛、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、歯痛〇手術ならびに抜歯後の鎮痛・消炎〇下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

太字の部分がもう一方の薬と比較して記載の多い部分になります。
効能・効果として認めている種類はボルタレン錠25mgの方がロキソニン錠60mgよりも多いです。

もしかしたら、整形外科ではロキソニンの効能・効果にない疾患ではボルタレンを処方している可能性もあるかもしれないと思いました。
今後は処方箋の内容や服薬指導にて、処方意図を探っていきたいと思いました。

市販薬の有無

この2つの成分のうち、OTC(ドラッグストアなどで購入できる医薬品)として販売されている内服薬はロキソニンになります。

オススメの書籍

医療従事者の方で、今回の記事を読んで面白い・勉強になった方へ

薬を比較して勉強すると面白いですよね。私も記事を書く際のきっかけや参考になっている書籍を紹介します。勉強の仕方に悩んでいる方は、ぜひ一度参考にしてみてください。
※私のブログ内容は書籍と見解が異なる部分もありますが、さまざまな考え方があるというのも事実です。

参考資料

ボルタレン錠25mgIF
https://www.drs-net.novartis.co.jp/siteassets/common/pdf/vol/if/if_vol_tab_202202.pdf

ERCP関連膵炎の重症化予知指標としての膵臓痛の評価とDPS標準化の試み
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2012/123151/201231043A/201231043A0007.pdf

ロキソニン錠60mgIF
https://www.medicalcommunity.jp/filedsp/products$druginfo$loxonin$if/field_file_pdf

ミナカラ ロキソニンの効果|ロキソプロフェンが効くまでの時間・持続時間
https://minacolor.com/blogs/articles/1088

ロキソニン錠審査報告書
https://www.pmda.go.jp/drugs/2005/P200500039/300156000_16100AMZ01098_A100_1.pdf

ロキソニンS申請資料概要
https://www.pmda.go.jp/otc/2009/O200900004/index.html