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[薬理ゴロ]下垂体ホルモンと関連薬 覚え方

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今回は脳下垂体ホルモンとその関連薬について、ゴロや覚え方を交えて簡単にまとめていきます。

下垂体前葉ホルモン ゴロ・覚え方

脳下垂体前葉は、内分泌性組織でペプチドホルモンを分泌する。その大部分は、向腺性ホルモンである。奏効性ホルモンの例としては、プロラクチンや成長ホルモンがある。
名前の特徴は、向腺性ホルモンの場合は和名だと「刺激というワードがあり、放出というワードがないこと」。ただし、黄体形成ホルモンは例外なので注意

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH:コルチコトロピン)

・副腎皮質束上層の細胞膜受容体に結合し、アデニル酸シクラーゼ活性化による細胞内cAMP濃度上昇を介して糖質コルチコイドの生成・分泌を促進する。糖質コルチコイドによりネガティブフィードバックを受け、分泌を抑制される。

副腎皮質刺激ホルモンの関連薬

テトラコサクチド(商:コートロシン)
・副腎皮質を刺激し、内因性の糖質コルチコイド(コルチゾール)産生を促進する。
・副腎皮質の機能検査などで用いる。

甲状腺刺激ホルモン(TSH:チロトロピン)

・甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の刺激で放出は促進し、甲状腺ホルモンによるネガティブフィードバック調整により分泌は抑制される。

性腺刺激ホルモン(Gn:ゴナドトロピン)

・性腺を刺激し、性ホルモンの生成・分泌を促進する。
・FSH、LH、ICSHはゴナドトロピンと総称される。

卵胞刺激ホルモン(FSH)

・GnRHの刺激で分泌される。
・(女性)未熟卵胞をグラーフ卵胞に成熟させる。さらに、グラーフ卵胞(成熟卵胞)で卵胞ホルモンの産生を促進させる。
・(男性)精細管の成長を促進し、精子形成を維持させる。

黄体形成ホルモン(LH)

LHは男性に働く際は間質細胞刺激ホルモン(ICSH)とよばれる。
・(女性)成熟卵胞に働いて、エストロゲン分泌を促進し、排卵を誘発させ、その後黄体形成を促す。黄体からのプロゲステロン分泌を促進させる。
・(男性)精巣の間質細胞(ライディッヒ細胞)に働いてテストステロン生成・分泌を促進させる。

プロラクチン(PRL)

・催乳ホルモン
・卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンと協力して妊娠中に発育させ、分泌後は乳汁を分泌。
D2受容体刺激薬→プロラクチン分泌抑制
D2受容体遮断薬→プロラクチン分泌促進

(ゴロ)ドパドパ激しい(赤ちゃん)母乳(飲むのも)楽ちんではない
「ドパドパ」D2受容体
「激しい」刺激 ※ドパドパで激しい感じが分かる人はこのワード削ってOK
「母乳」催乳ホルモンである
「ラクチンではない」プロラクチンの分泌は抑制

成長ホルモン(GH)

・直接作用:血糖上昇作用(肝臓でのグリコーゲン分解促進作用や糖利用抑制作用)、血中遊離脂肪酸上昇作用(脂肪分解促進作用)
・間接作用:GHが腎臓や肝臓に働きインスリン様成長因子(IGF-1)を生成→タンパク質同化作用、骨形成作用→成長促進

【簡単な言い換え】
成長ホルモンは、成長に必要な筋肉や骨の形成を促す。また、血中にエネルギー源をいっぱい増やすよ!

成長ホルモンの関連薬 ゴロ・覚え方

●ソマトロピン(商:ジェノトロピン、ノルディトロピンなど)
・遺伝子組換えヒト成長ホルモン
・骨端線閉鎖を伴わない成長ホルモン分泌不全性低身長症に用いる

●メカセルミン(商:ソマゾン)
・ヒトIGF-1(ソマトメジンC)製剤
・インスリン様作用(グルコース輸送促進作用、血糖低下作用)及び成長促進作用を示す。

●ペグピソマント(商:ソマバート)
・成長ホルモン(GH)受容体拮抗薬
・GHのサイト1よりもGH受容体に対する親和性が高く、GH受容体でGHに対して競合的に結合する。また、サイト2での結合も阻害し、GH受容体の二量体化を抑制してIGF-1の合成・分泌を抑制する。

(ゴロ)成長してメカいじりに染まっとる
「成長」成長ホルモン関係
「メカいじり」メカセルミン:IGF-1(ソマトメジンC)製剤
「染まっとる」名前にソマ(ト)がある。
※さらに、ソマトの間に否定「ン」が入るペグピソマントは、GH受容体の否定(遮断)です。
(否定「ン」の話は、あくまで筆者が覚えやすいようにこじつけただけです。一般的なルールではありませんのでご了承ください。)
※視床下部ホルモンのソマトスタチン(成長ホルモン放出抑制ホルモン)もソマトがはいっていますね。ソマトスタチンは視床下部ホルモンのページにゴロをつくっています。

以前に成長ホルモン関連薬の作用点をまとめた図をつくったので参考にその図も載せておきます。ちなみに現在、ソマトレリンは薬としての適応はない。

下垂体後葉ホルモン ゴロ・覚え方

下垂体後葉からは、オキシトシンとバソプレシンが分泌される。これらのホルモンは、後葉で産生されるのではなく、視床下部の細胞(視索上核や室傍核)で合成され、神経軸索内を通って後葉の神経末端に至り蓄えられ、神経の興奮により血中分泌される。

オキシトシン(商:アトニン-O)

・子宮筋に直接作用し、律動的収縮作用を示す(卵胞ホルモン存在下に作用が強くなり、黄体ホルモン存在下に作用は弱くなる)
・妊娠末期、分娩期には卵胞ホルモンが黄体ホルモンより優位となるためオキシトシンの作用は強く現れる。
・血管平滑筋に直接働き、弛緩させるため、血圧下降作用を示す。
・乳汁平滑筋収縮作用→乳汁射出作用
<適応>
微弱陣痛、分娩誘発

バソプレシン(商:ピトレシン)

腎集合管のV2受容体を刺激し、水チャネル(アクアポリン2)を介しての再吸収を促進し、抗利尿作用を示す。
・血管平滑筋のV1受容体を刺激し、血管を収縮させ、血圧上昇作用を示す(大量)。

<覚え方ポイント>
バソ(vaso):血管という意味
プレシン:プレッシャーが上がる
なのでバソプレシンは「血圧があがる」方に作用する。
・V1刺激で血管収縮する。
・V2刺激で血管に水を戻すので血管をパンパンにする。
これで覚えておけば、作用を反対にした問題文の対策になると思います。

バソプレシン関連薬 ゴロ・覚え方

●デスモプレシン(商:デスモプレシン、ミニリンメルト)
・バソプレシン誘導体
・V1受容体よりもV2受容体への選択性高い。

(ゴロ)集合場所に激しくプレス。水戻せ!

「集合」腎集合管
「場所に激しく」V2受容体を刺激
「プレス」語尾:~プレシン
「水戻せ」集合管から血管に水を戻す(水の再吸収を促進)

バソプレシン受容体遮断薬

(ゴロ)(麻雀するため)集合して罰符でたんと点数排出、勝利のVにはならない
「集合」腎集合管
「排出」(水の再吸収抑制で)水の排泄を促進 ※電解質は排泄しない
「罰符たんと」語尾:~バプタン
「Vにならない」V2受容体の遮断

・モザバプタン(商:サムスカ)→ループ利尿薬などの他の利尿薬で効果不十分な心不全や肝硬変における体液貯留などに用いる。

・トルバプタン(商:フィズリン)→異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍による抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症の改善に用いる