急性上気道炎の解熱・鎮痛などで頓服的に用いられるロキソプロフェン(商:ロキソニン)ですが、頓服の用法・用量だけでも説明することや患者さんが求める情報が多いと思い、記事にしました。
【ロキソニン錠60mgの用法・用量(急性上気道炎のみ抜粋)】
通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大180mgを限度とする。また、空腹時の投与を避けさせることが望ましい。
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メルカリへのリンクはコチラ効果は何分くらいで出てくる?
ロキソニン錠60mgのインタビューフォームには以下の記載があります。
手術後・外傷後疼痛に対するロキソプロフェンナトリウム(180mg/日、3日間)の鎮痛効果は、15分以内に20%、30分以内には54%の症例に認められた 。
また、抜歯後疼痛に対するロキソプロフェンナトリウム(120mg 頓用)の鎮痛効果は、15分以内に52%、30分以内には84%の症例にみられ、速効性にすぐれている。
これを見ると、ロキソニン錠60mg1錠を頓用した場合には、20%の人は15分以内で、
半分以上の人は30分以内で効果が出てくると思われます。
(ちなみに、ミナカラさんのHPの情報では、更に60分以内に効果が得られた症例は72.4%であったと情報があります。
効果はどのくらい続く?
「口腔外科小手術の術後疼痛に対する非ステロイド系鎮痛消炎剤 (Loxoprofen sodium, ロキソニン®) の臨床評価」という文献では以下の結果でした。
1回1錠(60mg)を1日3回服用した症例において、痛みが再発しなかったのは28例(全体の56%)でした。
痛みが再燃した症例のうち、一番多かったのは5~6時間(再発例の50%)。
ただし、次いで3~4時間で痛みが再発した症例が多かった。
このことより、効果は5~6時間まで続くことが多い。
しかし、人によっては3~4時間程度で効果が切れる可能性があるようです。
服用間隔ってどのくらいあける?
次に服用間隔はどれくらいあければいいのでしょうか?
医療用のロキソニン錠60mgの添付文書には記載がありません。
はじめに言いますが、これは説明内容に個人差があると思います。
アセトアミノフェン(商;カロナール)においては、急性上気道炎に対しては、服用間隔の記載はありませんが、それ以外に対しては「服用間隔は4~6時間」との記載があります。
まあ、ロキソニンもそれくらい間隔があればいいのかな?と思いますが、意外なところにヒントがありました。スイッチOTCのロキソニンSの添付文書です。
2回まで。
症状があらわれた時、なるべく空腹時をさけて服用してください。ただし、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。服用間隔は4時間以上おいて下さい。
OTCの方では、「服用間隔は4時間以上」と添付文書に明記しています。
添付文書は国も承認している内容であるため、個人的には4時間以上あけることを患者さんに勧めています。
ただし、ロキソニン(医療用)は関節リウマチなどに対する用法・用量として、1回60~120mgで投与することもあります。そこから考えると短い間隔で60mgを2回飲んでも問題は少ないと思います。
先ほど「効果は人によっては3~4時間で切れる可能性がある」と記載しました。
そのため、個人的には早めに効果が切れてしまった人には、「痛みを抑えることを優先し、4時間より早めに飲んでも問題ない。ただし、1日3錠までは守ってください」と説明しています。
説明内容に個人差が出ると思われるので、薬局実習に行かれる際には、ぜひ各薬剤師さんの説明を聞いてみてください。
どうしても空腹時に服用する場合には
添付文書には、空腹時の投与避けることが望ましいとあります。これは、胃への負担を考慮した記載と思われます。
しかし、頓服での使用であれば、どうしても空腹時に飲みたい時もあると思います。その場合は、「胃酸を緩和させるために、多めの水と一緒に服用してください」と説明されることがあります。
ただし、この「空腹時は多めの水で飲む」という内容は、ネットで検索すると、記載しているブログは多いですが、文献・書籍・クリニックや大学病院など記載元が明記された資料などは見つけられませんでした。
【2024年3月6日追記】
「多めの水での服用」については、他のNSAIDsであるボルタレン錠25mgの添付文書に記載がありました。
記載の理由は、
「薬剤性食道潰瘍は、食道内に停滞した薬剤が崩壊し、潰瘍を呈するもので、その殆どが服用方法に問題があった症例である。従って、服用にあたっては十分な水をとり、就寝直前の服用等には十分な注意が必要である」ためのとのこと。
もし、このボルタレン錠25mgの注意の流れで、ロキソプロフェン錠60mgでも同様の説明内容が広がったなら、「空腹時の服用では、胃の負担を軽くするため多めの水で服用してください」というのは根拠のない通説的な説明ということになるのかもしれません。
ただし、第一三共ヘルスケア株式会社さんのHPを含め、様々なサイトでも「空腹時での服用では、水を多めに飲むことがすすめられている」ため、現状では、当ブログでも「空腹時の服用では多めの水で服用すること」を推奨します。
眠気はでるか?
これに関しては、インターネットでの検索数が多いので記載しておきます。
薬剤師として、眠気が出やすい薬として注意を促す薬としては、添付文書に「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」の旨が記載されている薬がひとつ挙げれます(例としては、花粉症などで使用する抗ヒスタミン薬の多くですね)。
ロキソプロフェン錠60mgにはそのような眠気の注意はありません。
ちなみに、ロキソニン錠60mgのインタビューフォームにある記載として、
承認時迄の調査+使用成績の調査の累計+「急性上気道炎」効能追加承認時
の調査の合計13,486例に対して、眠気の報告は14例であり約0.1%です。
参考
ロキソニン錠60mg 添付文書
https://www.medicalcommunity.jp/filedsp/products$druginfo$loxonin$pi/field_file_pdf
ロキソニン錠60mg インタビューフォーム
https://www.medicalcommunity.jp/filedsp/products$druginfo$loxonin$if/field_file_pdf
ミナカラHP ロキソニンの効果|ロキソプロフェンが効くまでの時間・持続時間
口腔外科小手術の術後疼痛に対する非ステロイド系鎮痛消炎剤 (Loxoprofen sodium, ロキソニン®) の臨床評価
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms1967/35/2/35_2_524/_pdf/-char/ja
ロキソニンS 添付文書
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/package_insert/pdf/loxonin-s_1.pdf
第一三共ヘルスケア株式会社 しっておきたい鎮痛薬のウソ・ホント
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_loxonin-s/special/project/chintsuyaku/