鉄欠乏性貧血に用いられる鉄剤。
その鉄剤を勉強すると、各種薬剤に特徴があったので記事にまとめました。
なお。ここでは経口の固形剤のみまとめます。
小児によく処方される、唯一のシロップ鉄剤である溶性ピロリン酸第二鉄(商:インクレミン)はまとめておりませんのでご了承ください。
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各鉄剤の用法・用量
クエン酸第一鉄ナトリウム(商:フェロミア)
【用法・用量】
通常成人は、鉄として 1 日 100~200mg(2~4 錠)を 1~2 回に分けて食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。
基本的に鉄剤は、胃内pHが高い状態では、高分子鉄重合体が形成され吸収可能な低分子量の鉄溶存率が低下することが要因で、吸収が悪くなると言われている。
<参考:鉄剤と各種制酸剤の相互作用の検討>
しかし、クエン酸第一鉄ナトリウムはpHが高い状態でも溶解するため、食後(食後は胃内pHは高い)での投与である。
<参考:フェロミア IF>
pHの影響を受けないため、高齢者や胃の切除を受けた人など、胃酸の分泌が少ない人でも使用できるというメリットがあります。
<参考:愛知県薬剤師会 7.貧血(鉄欠乏性貧血)>
どこでも溶解するなら、食後の制限は必要ないのでは?と思いました。
ネットで調べると、食後の方が胃への負担が少ないから、食後に制限しているのではないかとの見解を見つけましたが、公的文書・書籍・文献ではなかったです。
乾燥硫酸鉄(商:フェロ・グラデュメット)
【用法用量】
鉄として,通常成人 1日105~210mg(1~2 錠)を1~2回に分けて、空腹時に、または副作用が強い場合には食事直後に、経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
やはり溶解性が低下するのを懸念してか、基本は空腹時となっています。
フマル酸第一鉄(商:フェルム)
【用法用量】
通常成人は1日1回1カプセルを経口投与する。
なんと添付文書では、食後などの制限もなくいつでも飲めることとなっています。
徐放性を有するので、いつでもいいのかな?
それならフェロ・グラデュメットもそうだと思いますが・・・
ちなみに、「鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂第2版」では、特徴として「空腹時~食直後」と記載されている。
各鉄剤の副作用の発生割合
各製剤の副作用を抑えるための特徴と、添付文書にて割合の多かった副作用をまとめます。
フェロミア
非イオン型鉄剤であるので、胃腸粘膜を刺激する鉄イオンを遊離しにくい。従って胃腸粘膜に対する刺激が少ないことが、ラットの実験により認められている
多い副作用は、
5%以上:嘔吐・悪心
フェロ・グラデュメット
徐放錠で、急激に高濃度の鉄を胃腸粘膜に接触させないため、鉄の胃腸に対する負担が少ない。
多い副作用は
0.5%~5%未満:悪心・嘔吐,腹痛,食欲不振,胃部不快感
フェルム
徐放性効果による胃障害の軽減が認められている。
主な副作用は嘔気・悪心29件(1.33%),腹痛(上腹部痛,胃痛,胃不快感,胃重感を含む)18件(0.82%),嘔吐10件(0.46%),食欲不振9件(0.41%)などである。
これらの情報をみると、徐放性製剤の方が、非イオン型鉄剤よりも胃腸障害が出にくいのかなと印象を受けました。
その他の比較
ビタミンCは鉄剤の吸収を促進すると言われているため、一緒に処方されることがあります。
ただし、フェロミア(成分:クエン酸第一鉄ナトリウム)は、鉄と鉄吸収促進物質であるクエン酸との化合物であるため、特にビタミンCと併用する必要はなく、フェロミアを単独およびビタミンCと併用した比較試験では貧血改善効果に影響がない報告がされています。
<参考:Eisai HP 【フェロミア】フェロミアとビタミンCを併用する意義は?>
また、医師に経口鉄剤のうち最も処方頻度の高いものを聞いたところ、7割近くの医師がクエン酸第一鉄ナトリウム(商品名フェロミア他)、第2位の硫酸鉄徐放剤(フェロ・グラデュメット)は18.6%、第3位のフマル酸第一鉄(フェルム)は7.6%の医師が、最も処方頻度の多い薬剤として選んだとの結果があるようです。
<参考:日経メディカル 経口鉄剤:フェロミアに圧倒的支持>
現場で働いていても、上記の順番で処方が多いと感じています。
参考
鉄剤と各種制酸剤の相互作用の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs2001/28/6/28_6_559/_pdf
フェロミア IF
https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1&yjcode=3222013D1059
愛知県薬剤師会 7.貧血(鉄欠乏性貧血)
https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3544.html
鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂第2版
https://jbis.bio/all/pdf/tetu-ketubou.pdf
日経メディカル ビタミンC製剤の解説
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf82ef.html
Eisai HP 【フェロミア】フェロミアとビタミンCを併用する意義は?
https://faq-medical.eisai.jp/faq/show/1552?category_id=56&site_domain=faq
日経メディカル 経口鉄剤:フェロミアに圧倒的支持
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/survey/201602/545682.html
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