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カンデサルタンからイルベサルタンへの変更症例

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最近、カンデサルタン(商:ブロプレス)からイルベサルタン(商:イルベタン、アバプロ)に変更となった症例がありました。患者さんも変更意図が分からず、私も恥ずかしながら詳細が不明だったので、情報を引き出すために何を話せばいいのかすら分からなかったので、どういう違いがあるのか勉強したので記事にしました。

[カンデサルタンとイルベサルタンの違い]

【効能・効果と用法・用量】

<カンデサルタン>
高血圧症:1日1回4~8mg、必要に応じて12mgまで増量。
腎実性高血圧症:1日1回2mgから、必要に応じて8mgまで増量。
ACE阻害薬の投与が適切でない慢性心不全:1日1回4mgから、必要に応じて8mgまで増量。

<イルベサルタン>
高血圧症:1日1回50~100mg、年齢、症状で適宜増減、1日最大投与量は200mgまで。

【インバースアゴニスト作用】

カンデサルタン:作用なし
イルベサルタン:作用あり
→インバースアゴニスト作用があると、臓器の線維化を起こさないことから臓器保護作用を示す。

【尿酸低下作用】

カンデサルタン:作用なし
イルベサルタン:作用あり

【PPARγ刺激作用】

カンデサルタン:作用なし
イルベサルタン:作用あり
→PPARγ活性化作用があると、メタボリックシンドロームの改善効果が期待できる。

【それぞれの特徴】
カンデサルタン:慢性心不全に対する保険適応あり
イルベサルタン:欧米において糖尿病性腎症への適応あり。ロサルタンに匹敵する腎保護作用あり。抗酸化・抗炎症作用あり。

[まとめ]

インベサルタンに変更することで、「臓器保護作用」「尿酸低下作用」「メタボリックシンドローム改善効果」などを期待できる。今回は、血液検査で、糖・脂質・尿酸の値が上限を超えるもしくは上限ギリギリではなかったかを確認し、当てはまれば、医師がそれらの改善を期待している可能性が予想されます。

しかし、処方の意図は、医師にしか分からないため、本当は医師と薬剤師の距離が近く、相談・確認を簡単にできる環境がいかに大切かを感じました

また、他のARBの特徴を知りたい方は、以下の参考資料「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬.日大医雑誌.2014」に記載がありますので、ご確認ください。

参考資料:
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬.日大医雑誌.2014
https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/73/1/73_8/_pdf
高の原中央病院 DIニュース(2016年9月号) ARBの違いについて
http://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/10/di201609.pdf
配合剤「S-474474」の製造販売承認の申請実施について(シオノギ製薬。2012年7月30日)
http://www.shionogi.co.jp/company/news/2012/g0l2sg00000017bm-att/120730-1.pdf

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