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血圧の基準値、日内変動、季節性について

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今回は、血圧の基準値、日内変動、季節性について記事を書きました。
患者さんは自分の病気に詳しく知りたいために質問されることもあれば、服薬指導での話の幅を広げるのに役に立つと思います。

<基準値>

まずは、高血圧治療ガイドラインでの「成人における血圧値の分類」と「降圧目標」を記載します。患者さんから血圧値を教えてもらった時に、正常値にあればその旨を伝え、油断せず継続を促すのが重要になると思います。また、高い値であれば、食事療法や運動療法をできる範囲でやんわり伝える必要があると思います。

【成人における血圧値の分類】

高値血圧といえども、高リスク群(脳心血管病既往有など)においては、必要に応じて薬物治療を開始します。
また、人により降圧目標が異なります。高血圧と判断される基準よりも、75歳未満の成人などの降圧目標は低く設定されています。

【降圧目標】

※1 未治療で診察室血圧130-139/80-89mmHgの場合は、低・中等リスク患者では生活習慣の修正を開始または強化し、高リスク患者では降圧薬治療の開始を含めて、最終的に130/80mmHg未満を目指す。すでに降圧薬治療中の場合は、低・中等リスク患者では生活習慣の修正を強化し、高リスク患者では降圧薬治療の強化を含めて、最終的に130/80mmHg未満を目指す。
※2 随時尿で0.15g/gCr以上を蛋白尿陽性とする。(CKD:慢性腎臓病のこと)
※3 併存疾患などによって一般に降圧目標が130/80mmHg未満とされる場合、75歳以上でも忍容性があれば個別に判断して130/80mmHg未満を目指す。

参考:
『よくわかる高血圧と循環器病の予防と管理
-高血圧・循環器病予防療養指導士認定試験ガイドブック-』
【『高血圧治療ガイドライン 2019』に関する解説冊子】
http://www.shaho.co.jp/shaho/download/docs/68660_011010.pdf

以前は2014年の「血圧値の分類」と「降圧目標」を載せていました。2019年版に切り替える際に削除しようかと考えたのですが、変更の経緯が分かることも大切と思ったので、2014年版ガイドラインの情報もメモとして残しました。

【成人における血圧値の分類(mmHg)】

【降圧目標】

参考:高血圧治療ガイドライン2014
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014v1_1.pdf

<日内変動>

血圧は、1日のなかでも変動しています。
基本的には、睡眠中は低く、起床すると高くなり、日中は睡眠中と比較して血圧は高いと言われています。
では、変動する血圧を家庭で測定する場合は、どのタイミングで測定するのが良いのでしょうか?
高血圧治療ガイドラインでは、家庭血圧の測定必須条件として
a.朝 起床後1時間以内 排尿後 朝の服用前 朝食前 座位1~2分安静後
b.晩(就寝前) 座位1~2分後
と記載されています。
患者さんから、測定タイミングの相談をされた時は、参考になると思います。

<季節性>

血圧には、季節による変動もあります。
気温が高くなる夏は、熱を逃がそうと血管が拡張し、血圧は低くなります。その逆に、冬は血圧が高くなると言われています。
注意として、夏は血圧が低くなるので、季節の変わり目に降圧によるふらつきに注意を促すのが良いと思います。
冬は血圧が高めです。さらに寒い部屋(脱衣所など)から熱いお風呂に入ると、血圧が上昇した状態から急に体が温まり血圧が下降します。血圧が低下している状態で、お風呂から急に立ち上がると、脳まで血液を運べず、めまい・失神を起こしてしまうことがあるので、ゆっくりと立ち上がるよう指導するのは大切です。

参考:
国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/hypertension.html
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/003108.html
NHK生活情報ブログ
https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/300/204800.html
社会福祉法人 恩賜財団済生会「ヒートショックとは」
https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/heatshock/