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抗不安薬の基本が詰まった処方

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働いていて、抗不安薬の基本が詰まったと思われる処方に出会えたので記事にします。

(以下の処方で、今回より治療開始)
レクサプロ10mg 0.5錠/日 14日分
ナウゼリンOD10mg 1錠/1回 頓服:吐き気 10回分
ソラナックス0.4 1錠/1回 頓服:不安時 10回分

まずは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)であるエスシタロプラムシュウ酸塩(商:レクサプロ)についてです。
SSRIは、抗うつ作用だけでなく、抗不安効果があることから、社会不安障害などの適応を有しています。
しかし、効果発現に時間がかかる(約4~6週間)ため、頓服使用には相応しくありません
また、副作用としてセロトニン5-HT3受容体を刺激することから消化器系副作用(悪心・嘔吐・下痢など)が多いと言われています。なお、副作用は一過性であることが多いとも言われています。

そこで、その副作用を防止するために、ドンペリドン(商:ナウゼリン)が処方されていると思われます。
ちなみに、今日の治療薬(2018年版)には、胃腸機能改善薬であるモサプリド(商:ガスモチン)を処方することもあるとの記載があります。
【簡単な薬理説明】
ドンペリドン(商:ナウゼリン):ドパミン(D2)受容体拮抗薬
モサプリド(商;ガスモチン):セロトニン(5-HT4)受容体作動薬

また、SSRIが効果発現に時間がかかるため、落ち着くまではベンゾジアゼピン受容体作動薬であるアルプラゾラム(商:ソラナックス、中間型)を頓服で併用しています。
なお、短時間型や中間型のベンゾジアゼピン系抗不安薬の頓服を繁用すると、離脱症状や精神依存の出現の可能性が高くなるため、服用回数・錠数を確認し、適正使用を促す必要があると言われています。
【「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」の記載】
ベンゾジアゼピン受容体作動薬には、承認用量の範囲内でも長期間服用するうちに身体依存が形成されることで、減量や中止時に様々な離脱症状があらわれる特徴があります。
<主な離脱症状>
不眠、不安、焦燥感、頭痛、嘔気・嘔吐、せん妄、振戦、痙攣発作など

参考:
今日の治療薬(2018年版)

医薬品医療機構総合機構PMDAからの医薬品適正使用のお願い「ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について」
https://www.pmda.go.jp/files/000217046.pdf

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