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2型糖尿病の運動療法【糖尿病予備軍や糖尿病境界型の人必見】

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今回は、糖尿病における運動療法について、なるべく簡単に対応方法をまとめたいと思います。
私は薬剤師をしていて、糖尿病の薬を1種類しか飲んでいない人の処方をよく見かけます。
そして、食事療法と運動療法は薬1種類分の効果を期待できることを知りました。
しかし、運動療法に関する指導では、「無理せず、やれそうな改善をやってみて」と具体的な内容はなく運動習慣の改善を促されている方をよく見ます。
運動療法は個別の病状や習慣などに合わせて提案されるべきであることは理解しています。
しかし、まだ糖尿病疑い・糖尿病初期段階の人が、食習慣や運動習慣を改善できれば、薬物治療を遅らせたり、通院を減らせたりして、生活の質を保てるのではないかと考え、この記事を作成しました。

この記事を見てほしい人は。こんな人です。
・他に疾患がなく、糖尿病の薬を1つしか飲んでいない人。
・健康診断で血糖値に関して指摘は受けたが、まだ薬による治療を開始していない人です。
・さらに年齢は30代〜50代で、肥満(BMIが25以上)を指摘されている人

病院・クリニック・薬局に通うのは、面倒ではないですか?
筆者は、予約をいれ、実際に通って病院や薬局で待たされるのは、めちゃくちゃ面倒と思うタイプです。
もちろん糖尿病の治療は大切なので、必要があればしっかり通います。
しかし、糖尿病の予防に関しては、食事と運動である程度改善でき、食事療法・運動療法は薬1種類ぶんの効果があると言われています。

そこで、将来的な病院通いを少しでも減らしたい人はぜひ記事を最後まで見て行ってください。

ちなみに、糖尿病は合併症が多く、血糖値が高い状態を放置すると、様々な組織にダメージを与えます。
そのため、食事療法・運動療法で改善しない場合は、しっかり病院に通って医師の治療を受けてください。

なお運動療法は、各個人に合わせるべきと考えられています。しかし、なかなか相談できる場所もなく、自身の生活を考える機会も無いのではないでしょうか?
そこで、調査した運動療法の内容をなるべく具体的な行動にまで落とし込み、皆さんの運動療法の改善のヒントになれば幸いです。

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有酸素運動

まず運動療法を開始する前、「運動でエネルギー消費を増やせば、食事量を増やせる」とは思わないでください。運動で消費するエネルギーはそれほど多くなく、運動の目的は、「インスリン感受性の改善(体内でインスリンを効きやすくして、血糖値を下がりやすくすること)」です。

推奨される有酸素運動の量

推奨されている有酸素運動の具体的な量は、
強度が中等度の運動量を20~60分間、週に3~5回、合計150分/週以上の運動が勧められる。
(参考:糖尿病治療ガイド2018-2019)

いやぁ、これだけだと何をすればいいか明確にならないなぁ・・

もう少し調べます。
強度中等度というのは、「楽と感じる程度」らしい。
一般的に運動例として挙げられるのが「歩行」「自転車」「プール内歩行」
そして、話ながらできる程度の運動とのこと。
しかも大切なことが、運動によるインスリン感受性増大は運動後24~48時間程度持続するとのこと。
そのため、運動しない日が2日以上続かないようにすることが重要である。このことより、週3日以上の有酸素運動が推奨されている。
(参考:糖尿病診療ガイドライン2024 第4章 運動療法)

ちなみに、強度中等度の運動は最大心拍数の50~60%、最大心拍数は簡易的に「220-年齢」で推定できるため、40歳なら心拍数90~108程度の運動となる。心拍数を測る機会がある方は参考にしてください。※ただし、不整脈などを指摘されたことがあるひとは脈拍での評価が難しい場合があるので注意してください。

なお運動強度が強いほど、HbA1cの低下を期待できるため、なれてきたら「楽」から「ややきつい」と感じる程度にすることも重要です。

具体的な有酸素運動の提案

情報が収集できたので、より具体的な運動内容を考えていきます。
週150分の運動、
・毎日にするとなると約22分/日
・週5回で、約30分/日
・週3回で、約50分/日
ちなみに最もポピュラーな運動例「歩行」は10分=1000歩と換算されることが多い。
なお、歩行での最終目標は1日トータルで8000歩と言われています。歩行で運動療法に取り組まれる方は目標として知っておくとモチベーションアップにつながります。

これを生活内に組み込むとなると、
・通勤時に歩行がある場合、片道15分の歩行を心掛ける。(週5通勤で150分)
もし今の通勤歩行時間が少し短い場合は、帰りの分だけでも遠回りすることで達成できるので改善しやすい。
・エスカレーターやエレベーターではなく、階段を使う。
通勤での歩行が片道10分(往復20分)だと、週100分。そこに、階段での昇降運動を1日6~7分加える。運動時間は短いが、昇降運動は歩行よりも運動強度が1.5倍と言われている。
・スーパーへの買い物を担当する。
スーパー内での歩行数、すこし遠回りの帰路を考えると、1回20分くらいの運動になりそう(あくまで自分の体感ですが)。週3回で足りないものを買い足せば、週60分、後は通勤時往復15分歩行でも週150分となる。
・車社会であれば、可能な場所は自転車を利用する。もし通勤片道自転車で15分ならば、それだけで150分/日。また、通勤を自転車への変更のハードルが高い場合には、コンビニや私的な用事に対しては置き換えを考える。
・犬の散歩を担当する。
犬の散歩では20分は歩くと思われますし、頻度も多い。

このように自分の生活で、運動を取り入れられる部分を考えてみてください。
もちろん帰宅後のウォーキングや休日のプールなどもとても良いことだと思います。ただし、運動習慣のない人が、自分のスケジュールに運動習慣を作るのは大きな変化であり労力・気合が必要と思われたため、上記では生活の一部に組み込むことを提案しています。

ちなみに、1週間で150分の有酸素運動が推奨されていますが、30分/週から100分/週の運動でも時間依存的に血糖改善効果が示されています。「150分なんて無理だ」と諦めて何もしないよりは、できる限り運動した方が良いと言えます。
糖尿病の初期には症状はほぼありませんが、高血糖は確実に血管や臓器にダメージを与えます。
せっかく健康診断などで早期に気が付けたらなら、今が生活習慣のメンテナンス時期と思ってください。

レジスタンス運動

レジスタンス運動とはいわゆる筋トレです。
レジスタンス運動でいきむ動作を行ってしまうと、血圧を上昇させ、心血管疾患や網膜症が悪化する可能性があるため、医師から止められた場合には行わないでください。
ただし毎年健康診断を受けていて、去年まで正常で今年から糖尿病疑い・糖尿病予備軍と指摘された人は運動を制限されることはほぼないと思います。

推奨される運動量

週に2~3回、連続しない日程で、上半身・下半身の主要な筋肉群を満遍なく含んだ5種類以上のレジスタンス運動を行う。
負荷としては、10~15回繰り返すことができる程度の負荷、もしくはごく軽い負荷から開始する。その後、負荷を徐々に増加し8~12回で限界に達する繰り返す負荷で1~3回セット行うことを目標とする。
高強度な負荷の方が血糖コントロールに有益であることが示されているものの、個人の体力やケガのリスクを考慮し、適切な負荷量で実施する。
全身を満遍なく鍛えることが望ましいが、特に下半身の筋肉は全身の約7割を占めており、時間がない場合などは、下半身中心に鍛えることが勧められる。
(参考:糖尿病診療ガイドライン2024 第4章 運動療法)

具体的なレジスタンス運動の提案

個人的に一番参考にしたいのは公的な資料です。
厚生労働省の「2型糖尿病の人を対象にした運動プログラム」では、
【胸】ダンベルフライ、チェストプレス
【背中】ダンベルロウイング、ラットプルダウン
【下肢】ダンベルスクワット、レッグプレス
などが例として挙げられています。
具体的な内容が記載されているので、ジムに通っている人やダンベルを持っている人は参考になると思います。

しかし、まだジム通いしていない人や器具を持っていない人にはハードルが高いと思われます。
そこで、個人的参考となった例にはなりますが、
なかやまきんに君さんの「【自宅で筋トレ】世界で一番楽な筋トレ9種目」(タイトル長いので以下省略)です。
これは、自分で体験してみて以下のことが良かったです。
・まず下半身3種目から始まるため、途中で切り上げても下半身中心で鍛えられる。
・自重のみで行うため、準備するものがない。
・スクワットも浅いことを勧めており、関節への負担などを考慮していると思われる。
・運動慣れしていない人は10回だけ、できる人はその後10秒追加という段階で構成されているので、自分の体力に合わせやすい
など、運動プログラムとして凄く実行しやすいと感じたため、よければ参考にしてください。

ちなみに「レジスタンス運動の週2~3回」の根拠としては、調査した研究で採用されている運動プログラムがその頻度が多かったからのようです。
さらに、実施する時間はどのくらいがいいのか調べてみました。
筋トレと総死亡および心血管疾患発症の関連性では、
・総死亡は40分/週で最も低い
・心血管疾患発症は60分/週で最も低い
・糖尿病のリスクは60分/週までは急激に低下する、60分を超えると低下は緩やかになる
(参考:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023)

以上のことより健康増進を目的とするなら、週60分程度、1回20~30分程度の筋トレが目安になります。
ただし、筋トレを週10分増やすごとに糖尿病リスクが減少することが報告されており、わずかな時間でも行うことは意味があります。そのため運動に慣れていない人は初めから無理はせず、段階的に時間を延ばしましょう。

座位を減らす

1日1時間座っている時間が増えると、2型糖尿病の有病率が22%増加し、メタボリックシンドロームの有病率が39%増加すると言われている。
2型糖尿病の成人では、食後8時間の間に30分ごとに3分間の低強度のウォーキングや簡単なレジスタンス運動などの活動で長時間の座位を中断すると、食後の血糖値や翌朝までの高血糖が改善することや約14時間座っている時間を、4日間、30分毎に10分程度の立位や軽強度の歩行に置き換えインスリン感受性を改善することが示されている。そのため、座位時間が30分を超えたら一度座位を中断し、軽い運動を行うことが勧められる。
(参考:糖尿病診療ガイドライン2024 4章 運動療法)

また、座位が1時間増加毎に5%、テレビの視聴が1時間増加毎に8%、それぞれ2型糖尿病発症リスクが増加する。しかも、これらの関連は身体活動量と独立しており、余暇時の運動では打ち消せない。
(参考:糖尿病診療ガイドライン2024 21章 2型糖尿病の発症予防)

正直にいうとデスクワークで、30分毎に立ち上がって、10分の運動をするのは厳しい・・
しかし、座位時間を少しでも減らすことは2型糖尿病の発症や血糖コントロールに役立つ可能性がある。
そこで、次は少しでも座位時間を減らす工夫を考えていきたい。

具体的な座位時間を減らす工夫

・家事の分担を増やす。
食器洗いをすれば1回15分程度、洗濯物を干せば1回15分程度、料理は1時間程度、トイレ掃除は10分、風呂掃除は15分、買い物は30分しかも歩行運動ありとかなり座位時間が減ります。
・飲み物をデスクに置かない、コップにいれる量を少なくする。
・テレビのCM中や番組終了後に、レジスタス運動を行う。
・トイレにこまめに行く。
・たまに立ち上がってストレッチを行う。
・電車では座らない。(長い時間乗る場合は、一駅前から立ち上がるなど)

どのくらいの期間で効果がでるか

運動療法に関する報告では、8週~12週以上の運動を行ってからの評価例が多い。そのため、運動療法もまずは3ヶ月程度継続して、血糖値やHbA1cの経過を見てみてください

逆にいうと長い期間実施できる必要があるため、無理なく運動できる方法を考えることは重要です。