今回は重篤な副作用であるアカシジアについて、調べて記事を書きました。
この記事を書こうと思ったのは、アカシジアって初期症状として手足のムズムズ感があるが、どうして危険なのか全然知らず服薬指導を行っていました。もし患者さんに「手足のムズムズすることの何が危険なの?」と聞かれたときに回答できないと思ったからです。
記事は「重篤副作用疾患別対応マニュアル アカシジア(平成22年3月 厚生労働省)」を参考に作成しました。
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メルカリへのリンクはコチラ【アカシジアの症状】
症状としては、以下のようなものがあります
・「体や足がソワソワしたりイライラして、動きたくなる」
・「足がムズムズする感じ」
・「じっと立ってもおれず、足踏みしたくなる」
ではこれの何が危険なのだろうか?
これらの症状が悪化すると、自制が困難になり、苦痛に耐えられなくなると時に自傷行為や自殺企図に至ることがあるようです。
症状を感じたときに注意するのが、副作用症状が出たからといって、患者さん判断で急に薬を中止しないこと(薬剤師も中止を指導しないこと)。
急な中止で、症状の悪化もありうるので相談を受けたら必ず「医師への報告を促す」もしくは「薬剤師から医師に報告する」必要があると思います。
【アカシジアの分類】
●急性アカシジア:原因薬剤の投与開始か増量後(時にアカシジア予防目的の薬剤の減量ないし中止後)6週間以内で発現
●遅発性アカシジア:原因薬剤を投与開始後3ヶ月以上して発現
●離脱性アカシジア:すでに3ヶ月以上原因薬剤が投与されており、その中断により6週間以内に発症
●慢性アカシジア:アカシジアの症状が3ヶ月以上続いたもの
【アカシジアを引き起こす可能性のある薬剤】
<抗精神病薬>
●フェノチアジン系:
プロクロルペラジン(商:ノバミン)、クロルプロマジン(商:ウインタミン、コントミン)、ペルフェナジン(商:ピーゼットシー、トリラホン)など
●ブチロフェノン系:
ハロペリドール(商:セレネース)、ブロムペリドール(商:インプロメン)、チミペロン(商:トロペロン)など
●ベンザミド系:
スルピリド(商:ドグマチール、アビリット、ミラドール)、スルトプリド(商:バルネチール)、チアプリド(商:グラマリール)など
●非定型抗精神病薬:
リスペリドン(商:リスパダール)、オランザピン(商:ジプレキサ)、クエチアピン(商:セロクエル)、ペロスピロン(商:ルーラン)、アリピプラゾール(商:エビリファイ)、ブロナンセリン(商:ロナセン)
<抗うつ薬>
●三環系:
アミトリプチリン(商:トリプタノール)、アモキサピン(商:アモキサン)、イミプラミン(商:トフラニール)、クロミプラミン(商:アナフラニール)など
●四環系:
マプロチリン(商:ルジオミール)、ミアンセリン(商:テトラミド)など
●その他:
トラゾドン(商:レスリン、デジレル)
●SSRI:フルボキサミン(商:デプロメール、ルボックス)、パロキセチン(商:パキシル)、セルトラリン(商:ジェイゾロフト)など
●SNRI:ミルナシプラン(商:トレドミン)など
<抗不安薬>
タンドスピロン(商:セディール)
その他にも多くの領域の薬で可能性がありますが、今回は精神科でよくみられる薬のみ抜粋しました(他の領域の薬も確認したい方は「重篤副作用疾患別対応マニュアル アカシジア」をご確認お願いいたします)。また、厚生労働省が情報を出しているのが平成22年なので、そこまでの薬しか記載がありませんが、上記分類の新しい薬もアカシジアを起こす可能性のある薬を考えてよいと思います。
また、抗精神病薬においては、非定型抗精神病薬は定型抗精神病薬に比較してアカシジアの発症リスクは低いと考えられています。
非定型のなかでも、リスペリドンやアリピプラゾールなどはアカシジアの頻度がやや高いようである。
【アカシジアの治療薬】
薬剤誘発性の急性アカシジアが発症してしまった場合には、救急対応として以下の薬剤を使用します。
<中枢性抗コリン薬>
トリヘキシフェニジル(商:アーテン)
ピペリデン(商:アキネトン)
<ベンゾジアゼピン系薬剤>
クロナゼパム(商:リボトリール、ランドセン)
ジアゼパム(商:ダイアップ)
【現場において】
この記事を書く前に、調べた内容を踏まえて、服薬指導時にアカシジアの症状が出ていないか確認しました。「足のムズムズを感じる」と回答したのが2名おられました。どちらも苦痛はないとのことでしたが、医師には伝えていないとのことであったので、次回受診時に医師に報告するよう促しました。
参考:
重篤副作用疾患別対応マニュアル アカシジア(平成22年3月 厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j09.pdf