今回は抗悪性腫瘍薬(微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬)について、ゴロを中心に記事にしたいと思います。
なお、一般名の後ろに「商:」で記載しているのは商品名です。
今回の薬のほとんどは、細胞周期に特異的に作用するため、まずは各薬が作用する周期を以下の図で覚える
微小管阻害薬はM期、トポイソメラーゼ阻害薬はS期とざっくり覚える
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【ビンカアルカロイド】
●小さいことに敏感で、骨の髄まで神経質
「小さい」微小管重合阻害(→細胞分裂抑制)
(※後に記載したタキサン系とは、結果は同じだが途中の薬理作用は真逆で注意)
「敏感で」ビンカアルカロイド、一般名は頭ビ末尾ン「ビ~ン」
「骨の髄まで」(副作用)骨髄抑制
「神経質」(副作用)末梢神経障害
ビンクリスチン(商:オンコビン)
ビンブラスチン(商:エクザール)
ビンデシン(商:フィルデシン)
ビノレルビン(商:ナベルビン)
練習問題(参考:第109回薬剤師国家試験 問40)
●抗悪性腫瘍薬のうち、チュブリンに結合し微小管の重合を阻害するのはどれか。1つ選べ。
1.シスプラチン
2.メトトレキサート
3.ビンクリスチン
4.フルオロウラシル
5.ブレオマシイン
【解答と解説】正解は3
1.シスプラチン→白金製剤。DNAの内に架橋を形成し、DNA合成を阻害。
2.メトトレキサート→ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害し、活性型葉酸の合成を阻害し、DNA合成を阻害する。
4.フルオロウラシル→チミジル酸合成酵素を阻害し、DNA生合成を阻害する。
5.ブレオマシイン→活性酸素を発生させ、非酵素的にDNA鎖を切断する。
練習問題(参考:第107回薬剤師国家 問167)
次の文章の正誤を答えよ。
ビンクリスチンは、チュブリンの重合を促進して、微小管を安定化させる。
【解答と解説】誤
ビンクリスチンは、チュブリンの重合を促進阻害して、微小管を安定化崩壊させる。
【タキサン類】
●たくさんの管集めるのは、骨の髄までくる
「たくさん」タキサン類、語尾:~タキセル
「管集める」微小管蛋白質の重合促進(→微小管安定化→細胞分裂抑制)
「骨の髄までくる」(副作用)骨髄抑制
パクリタキセル(商:タキソール)
ドセタキセル(商:タキソテール、ワンタキソテール)
トポイソメラーゼ阻害薬のゴロ・覚え方
【トポイソメラーゼⅠ阻害薬】
※ゴロなし
→1本鎖DNAに作用するトポイソメラーゼⅠを阻害し、DNAの合成を阻害する。
副作用は骨髄抑制で、イリノテカンでは重度の下痢も有名。
(覚え方)イリノテカンの「イ」はⅠの「イ」と覚える。
友人にこの覚え方を聞いて、自分自身は本当にど忘れ無くなりました。
イリノテカン(商:トポテシン、カンプト)
ノギテカン(商:ハイカムチン)
【トポイソメラーゼⅡ阻害薬】
●ハクビシンは干支ポジションに見染められず
「ハクビシン」(アントラサイクリン系)語尾:~ビシン
※語尾例外で、ミトキサントロン
「干支ポジション」エトポシド(商:ラステット、ペプシド)
「に見染ら」Ⅱ、トポイソメラーゼ阻害
<アントラサイクリン系>
・アントラサイクリン系は、「トポイソメラーゼⅡ阻害作用」の他にも「DNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼ阻害作用」「活性酸素生成によるDNA切断」などの作用を有しているため、細胞周期非特異的に作用する。
ドキソルビシン(商:アドリアシン、ドキシル)
※代表例ドキソルビシンから「ドキドキ心臓、(副作用)心毒性」と覚える。
ダウノルビシン(商:ダウノマイシン)
ピラルビシン(商:テラルビシン、ピノルビン)
エピルビシン(商:ファルモルビシン)
イダルビシン(商:イダマイシン)
アラクルビシン(商:アクラシノン)
アムルビシン(商:カルセド)
ミトキサントロン(商:ノバントロン)