今回は利尿薬について、ゴロを中心に記事にしたいと思います。
なお、一般名の後ろに「商:」で記載しているのは商品名です。
暗記が苦手な薬学部生にみてほしい。
薬学部では勉強量が多く時間が足りないと感じることが多い
でしょう。ゴロはキーワードに強引に意味を与えるので、ハマれば暗記も早いし忘れにくい。
だから、勉強時間の短縮に役立つ!!
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チアジド系利尿薬・チアジド類似薬のゴロ
→適応に高血圧あり。
腎血流低下作用があり、腎機能低下例(血清クレアチニン≧2mg/dL)には用いない。
副作用:低カリウム血症、高カルシウム血症、高血糖、高尿酸血症、血中脂質濃度上昇
イメージとして、尿が出て体から水分がなくなるので、多くの成分濃度が高くなる(低カリウムは例外)。
●アジト遠くてナックル
「アジト」~(チ)アジドおよびチアジド類似
「遠くて」遠位尿細管の
「ナックル」Na-Cl共輸送体を阻害し、(Na+、Cl‐の再吸収抑制)
チアジド系・類似薬は、Na-Cl共輸送体を阻害する。しかし、遠位尿細管には、Na-K交換系があり、Na-Cl共輸送体でのNa再吸収が抑制された分、こちらでのNa再吸収K排泄が促進することで、低カリウム血症が起こると考えられている。
<チアジド系>
ヒドロクロロチアジド(商:ニュートライド)
トリクロルメチアジド(商:フルイトラン)
ベンチルヒドロクロロチアジド(商:ベハイド)
<チアジド系類似>
メチクラン(商:アレステン)(2020年3月販売中止)
インダパミド(商:ナトリックス、テナキシル)
トリパミド(商:ノルモナール)
メフルシド(商:バイカロン)
練習問題(参考:第109回 問33)
●メフルシドの利尿作用の機序はどれか。1つ選べ
1.心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体刺激
2.バソプレシンV2受容体遮断
3.上皮性Na+チャネル遮断
4.Na+-Cl–共輸送体阻害
5.Na+-K+-2Cl–共輸送体阻害
【解答と解説】正解は4
なお、メフルシドはヘンレループ上行脚でNa+と水の再吸収抑制作用もある。
1.ANP受容体刺激はカルペリチド
2.バソプレシンV2受容体遮断は成分名~バプタン
3.上皮性Na+チャネル遮断はトリアムテレン
5.Na+-K+-2Cl–共輸送体阻害は成分名~セミド、~タニド
ループ利尿薬のゴロ
→利尿作用は強力。ただし、降圧作用は弱く、高血圧に用いるのは一部。
チアジド系と異なり、腎血流量を減少させないので、腎障害時にも適する。
副作用:低カリウム血症、高カルシウム血症、高血糖、高尿酸血症、聴力障害(アミノグリコシド系抗菌薬などの併用例で報告あり)
●セミとタニシは、プール水面上や中にくるな
「セミと」語尾:~セミド
「タニシ」語尾:~タニド
「プール水面上」ヘンレループの上行脚の
「中(NaKa)にくる(Cl)な」Na-K-2Cl共輸送体を阻害(し、Na+、Cl‐の再吸収抑制)
※副作用は、チアジド系と似ている。異なる点の一つとして、セミはすごくうるさいので聴力障害と覚える。
フロセミド(商:ラシックス、オイテシン)→高血圧の適応あり
アゾセミド(商:ダイアート)
トラセミド(商:ルプラック)
ブメタニド(商:ルネトロン)
ピレタニド(商:アレリックス)
K保持性利尿薬のゴロ
→Kを保持するので、副作用として高カリウム血症。
また、多くの薬は性ホルモンの副作用(女性化乳房、月経不順、陰萎)に注意
●狩りで保持しても遠くて集合できず、需要ある仲間と交換できない
「狩りで保持」K保持性利尿薬
「遠くて集合」遠位尿細管や集合管で
「需要ある」アルドステロン受容体(を遮断)
「仲(NaKa)間と交換できない」Na-K交換反応を抑制(し、Na+再吸収抑制)
※トリアムテレンはアルドステロン受容体を遮断することなく、Na-K交換反応を抑制する。
●すっぴんで彼のエプロン取り合う
「すっぴん」スピロノラクトン(商:アルダクトンA)→心性浮腫(うっ血性心不全)の適応あり
「彼の」カンレノ酸(商:ソルダクトン)
「エプロン」エプレレノン(商:セララ)→上2つと比較して性ホルモンの副作用少ない
「取り合う」トリアムテレン(商:トリテレン)→ホルモン作用無し
練習問題(参考:第109回 問165)
スピロノラクトンに関する記述として正しいのどれか。2つ選べ。
1.上皮性Na+チャネルの発現を増加させる。
2.アルドステロン誘導タンパク質の生合成を抑制する。
3.腎尿細管におけるNa+,K+-ATPaseの発現を増加させる。
4.腎尿細管におけるK+分泌を促進する。
5.抗アンドロゲン作用を示す。
【解答と解説】2と5
※5は特徴的な副作用の女性化乳房と結びつけて覚える!
1.上皮性Na+チャネルの発現を増加抑制させる。
3.腎尿細管におけるNa+,K+-ATPaseの発現を増加抑制させる。
4.腎尿細管におけるK+分泌を促進抑制する。→高K血症になる
炭酸脱水酵素阻害薬
アセタゾラミド(商:ダイアモックス)
→近位尿細管で、炭酸脱水酵素を阻害し、Na再吸収を抑制し、尿量を増やす。
副作用で、代謝性アシドーシスや低カリウム血症。
(ゴロ)そらみろ、近くの炭酸で脱水なし
「そらみろ」成分名:~ゾラミド
「近く」近位尿細管で
「炭酸で脱水なし」炭酸脱水素酵素を阻害
心房性ナトリウム利尿ペプチドのゴロ
カルペリチド(商:ハンプ)
→適応症:急性心不全
作用機序:血管平滑筋と腎臓の心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体であるGC-A受容体を刺激し、膜結合型グアニル酸シクラーゼ活性化によりcGMP生成を増加し、Na利尿作用や血管平滑筋弛緩作用を有している。
(ゴロ)ルーペ律儀に、具合シックか
「ルーペ律儀に」カルペリチド
「具合シックか」グアニル酸シクラーゼ活性化(→細胞内cGMP濃度が上昇し、血管拡張や利尿作用を示す。)
バソプレシン拮抗薬のゴロ
(ゴロ)(麻雀するため)集合して罰符でたんと点数排出、勝利のVにはならない
「集合」腎集合管で
「排出」(水の再吸収抑制で)水の排泄を促進 ※電解質は排泄しない
「罰符たんと」語尾:~バプタン
「Vにならない」V2受容体の遮断
・トルバプタン(商:サムスカ)→ループ利尿薬などの他の利尿薬で効果不十分な心不全や肝硬変における体液貯留などに用いる。
【備考】
<低カリウム血症>
症状は、筋力低下、麻痺、多尿、テタニー(手足の筋肉が伸びにくい、筋肉痛)など。
※β受容体刺激薬などでも現れる可能性あり。
<高カリウム血症>
心毒性が現れるまで通常は無症状である。たまに筋弛緩作用がある。
心毒性の参考となるサイトは見つかりませんでしたが、動悸や倦怠感などの症状が予想されます。
なお、高カリウム血症は、血清カリウム濃度が5.5mEq/Lを上回ることです。
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