今回は骨粗しょう症治療薬について、ゴロを中心に記事にしたいと思います。
なお、一般名の後ろに「商:」で記載しているのは商品名です。
<エストロゲンとカルシトニンの働く順序>まずはこれを覚える。
①女性ホルモン(エストロゲン)が働く→②カルシトニンが分泌→③カルシトニン受容体に作用→④破骨細胞を抑制することで骨吸収を抑える。
一部の薬でこの流れを用いての説明になります。
自分が学生の時にややこしいと感じたのが、骨吸収です。
吸収は「●●から血中に吸収される」ことです。骨吸収は「骨から血中にカルシウムが吸収される」つまり骨のカルシウムは減ることです。
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メルカリへのリンクはコチラビスホスホネート製剤のゴロ
●ドロンジョさんは細い骨とタイトな服が似合うが、破られたくはない。
「ドロンジョさん」語尾:~ドロン酸
「細い骨」ビスホスホネート製剤、また細い骨で骨粗しょう症に使うイメージ
「タイトな服が似合う」ヒドロキシアパタイトに高親和性
「破られたくない」破骨細胞を抑制(し骨吸収抑制)
※ドロンジョはヤッターマンのキャラ。スレンダーでお色気担当、最後は爆発でよく服が破ける。
<その他の特徴>
・起床時(空腹時)服用:食後に服用すると金属イオンとキレート形成し吸収率が低下
・多めの水で服用し、服用後30分は横にならない(食道局所での副作用発現防止)
※イバンドロン酸は服用後60分は横にならない
・ビスホスホネート製剤(以下、BP製剤)使用経験のある方が抜歯などの顎骨に刺激が加わる治療を受けると顎骨壊死が発生する場合がある(そのため歯科医に伝えるべき薬である)
エチドロン酸(商:ダイドロネル)
パミドロン酸(商:アレディア)
アレンドロン酸(商:ボナロン、フォサマック)
リセドロン酸(商:ベネット、アクトネル)
ミノドロン酸(商:リカルボン、ボノテオ)
イバンドロン酸(商:ボンビバ):月1回
ゾレドロン酸(商:ゾメタ、リクラスト)
選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)のゴロ
(ゴロ)紙片(しへん)からストロー調達。骨のあご弱い乳飲み子のあんた。
「紙片」:語尾:~シフェン ※ストローの入っている紙袋をイメージ
「ストロー調達」エストロゲン受容体調整薬
「骨のあご」骨にはアゴニスト
「乳飲み子のあんた」子宮や乳房にはアンタゴニスト(→乳がん、子宮内膜がん発症のリスク低下)
※調整薬はその成分が多いと、アンタゴニストとして働いてしまいます。つまり、内因性の女性ホルモンが分泌されている未閉経の骨粗しょう症には使えない。
適応は、「閉経後骨粗しょう症」である。
ラロキシフェン(商:エビスタ)
バセドキシフェン(商:ビビアント)
カルシトニン製剤のゴロ
●蚊と忍者は、破れても骨に痛みなく
「蚊と忍者」語尾:~カトニン(カルシトニン製剤)
「破れ」破骨細胞のカルシトニン受容体に作用(し、骨吸収抑制)
「骨に痛みなく」骨粗しょう症の疼痛に用いる。
<エストロゲンとカルシトニンの働く順序>の③から働きます。
エルカトニン(商:エルシトニン)
女性ホルモン製剤のゴロ
(ゴロ)Sとオールし、子供産む骨太女に
「Sとオール」成分名:エスト~オール
「子供産む」子供を産む準備:乳腺の発育、子宮内膜の増殖、卵胞ホルモンが黄体ホルモンより優位になるとオキシトシンの作用を増強する※骨粗しょう症のページなのでここは消しています。
「骨太」骨吸収抑制作用
「女に」女性ホルモン
<エストロゲンとカルシトニンの働く順序>の①から働きます。
エストラジオール(商:エストラーナ)
エストリオール(商:ホーリン、エストリール)
活性型ビタミンD3製剤のゴロ
●どうせ雨も超軽いし、パラソル出さない
「どうせ」ビタミンD製剤
「軽いし」成分名に カルシ がある。(サケカルシトニンは違うので注意)
「超軽いし」腸でCa(カルシウム)の吸収促進
「パラソル出さない」パラトルモン分泌抑制
アルファカルシドール(商:ワンアルファ)
カルシトリオール(商:ロカルトロール)
マキサカルシトール(商:オキサロール)
ファレカルシトール(商:ホーネル、フルスタン)
エルデカルシトール(商:エディロール)
●(パラソルモンのゴロ)服工場がパラソルと傘を出す。
「服工場」副甲状腺ホルモン
「パラソル」パラトルモン
「傘を出す」Caを血中に出す。(骨吸収を起こす。)
ビタミンK2製剤のゴロ
●「けつを舐めてと」グルで皆ボッキし、オス犯す形勢(下品なゴロですいません)
「けつ」ビタミンK2製剤
「舐めてと」メナテトレノン(商:グラケー)
※1文字目と2文字目をひっくり返す
「グルで皆ボッキし」グルタミン酸残基のカルボキシ化を促進し、
「オス犯す」オステオカルシン(へのカルシウム沈着を促進)
「形勢」骨形成を促進
※脂溶性ビタミンのため食後服用
練習問題(参考:第109回薬剤師国家試験 問30)
●オステオカルシンのグルタミン酸残基のγ-カルボキシ化を促進するのはそれか。1つ選べ
1.メナテトレノン
2.エルカトニン
3.カルシトリオール
4.テリパラチド
5.イプリフラボン
【解答と解説】正解は1
他の成分の薬理作用は以下の通り
エルカトニン→破骨細胞のカルシトニン受容体に作用し、骨吸収抑制
カルシトリオール→腸でCa(カルシウム)の吸収促進。パラトルモン分泌抑制。
テリパラチド→骨芽細胞のアポトーシス抑制で骨形成促進
イプリフラボン→エストロゲンによるカルシトニン分泌促進作用を増強し骨吸収抑制
イプリフラボン製剤
イプリフラボン(商:オステン)
→エストロゲン様作用を有している。
<エストロゲンとカルシトニンの働く順序>の①から働きます。
抗RANKLモノクローナル抗体
デノスマブ(商:プラリア)
→破骨細胞分化誘導因子(RANKL)のヒト型モノクローナル抗体で、骨吸収を抑制する。
プラリアは、6カ月に1回皮下注射する。
副作用として、低カルシウム血症(症状:痙攣、テタニー、しびれなど)や顎骨壊死に注意。
※低カルシウム血症予防のため、カルシウムとビタミンD3を補給できるデノタスチュアブルが発売されている。
副甲状腺ホルモン剤のゴロ
テリパラチド(商:テリボン、フォルテオ)
→骨芽細胞の分化促進とアポトーシス抑制作用により、骨形成を促進する。
(ゴロ)パパラッチのコツがアポとらず記事作る
「パパラッチ」テリパラチド
「コツが」骨芽細胞の
「アポとらず」アポトーシス抑制で
「作る」骨つくる(骨形成促進)
※続発性骨粗鬆症の原因の1つに副甲状腺機能亢進症があり、副甲状腺ホルモンと聞くと骨粗鬆症に使用できなさそうなイメージがつきやすいので試験では注意!
常に副甲状腺ホルモンがある場合では骨吸収が継続して骨がもろくなる。しかし、副甲状腺ホルモンを断続的に途切れ途切れで投与し、 “一時的に”副甲状腺ホルモンの濃度を高めると骨芽細胞の機能が活性化し、骨形成が促進されることが確認されている。
参考:
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf82e8.html
練習問題(参考:第107回薬剤師国家試験 問32)
骨粗しょう症治療薬テリパラチドの作用点はどれか。1つ選べ。
1.ヒドロキシアパタイト
2.オステオカルシン
3.カルシトニン受容体
4.副甲状腺ホルモン受容体
5.エストロゲン受容体
【解答と解説】4
1.ヒドロキシアパタイト→ビスホスホネート製剤:~ドロン酸
2.オステオカルシン→メナテトレノン
3.カルシトニン受容体→直接的に作用するのはエルカトニンとかかな。
5.エストロゲン受容体→SERM:~シフェン
【備考】
抗RANKLモノクローナル抗体には別の適応があるので備考に載せました。
商品名は変わるので要注意!
[抗RANKLモノクローナル抗体]
デノスマブ(商:ランマーク)
<効能または効果>
多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変
<作用機序>
特異的かつ高い親和性でヒトRANKLに結合するヒト型 IgG2 モノクローナル抗体である。 RANKLは膜結合型あるいは可溶型として存在し、骨吸収を司る破骨細胞及びその前駆細胞の表面に発現する受容体である RANKLを介して破骨細胞の形成、機能及び生存を調節する必須の蛋白質である。多発性骨 髄腫及び骨転移を有する固形癌の骨病変においては、RANKLによって活性化された破骨細胞が骨破壊の主要な因子である。デノスマブは RANK/RANKL 経路を阻害し、破骨細胞の活性化を抑制することで骨吸収を抑制し、がんによる骨病変の進展を抑制すると考えられる。