今回は視床下部ホルモンとその関連薬について、ゴロや覚え方を交えて簡単にまとめていきます。
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視床下部ホルモンは脳下垂体前葉ホルモンの分泌を制御しており、下垂体前葉ホルモンの放出を促進する放出ホルモン(RH:releasing hormone)と放出を抑制している放出抑制ホルモン(RIH:releasing-inhibiting hormone)がある。
<覚え方ポイント>
名前に「和名は放出」「略語ではR」があると視床下部ホルモンです。
※ただし、略語に関してプロラクチン(PRL)は下垂体前葉ホルモンなので例外注意!
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)
→下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌促進
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの関連薬 覚え方
●コルチコレリン(商:ヒトCRH)
→視床下部・下垂体・副腎皮質系ホルモン分泌機能検査に用いられる。
<覚え方ポイント>
このあともそうですが「~レリン」は放出ホルモンと基本同じ働き方。
放出するホルモンはその前のワードで判断できることが多い、
今回は「コルチコ」。副腎皮質から放出されるホルモンをコルチコイドということを覚えれば、副腎皮質関連と分かる。
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)
→下垂体前葉からの甲状腺刺激ホルモン(TRH:チロトロピン)とプロラクチン(催乳ホルモン)の分泌促進
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの関連薬 ゴロ・覚え方
●プロチレリン(商:TRH)
→「~レリン」なので「~を放出するホルモン」ですね。
では何をか?
プロラクチンとチロトロピンを放出するから プロチレリンです。
和名からだと、プロラクチンが忘れやすいので注意してください。
●タルチレリン(商:セレジスト)
→「チ」があるのでチロトロピンを放出促すホルモン。脊髄小脳変性症(SCD)における運動失調改善に用いる。
性腺刺激ホルモン放出ホルモン
(GnRH:Gnはゴナドトロピン)
黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)
・GnRHの中で存在が確定しているのはLH-RHのみなので、LH-RHともよばれる。
・下垂体前葉からの黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を促進。
性腺刺激ホルモン放出ホルモンの関連薬 覚え方
ゴナドレリン(商:LH-RH、ヒポクライン)
・ゴナドトロピンを放出するホルモン(~レリン)でゴナドレリンと覚えよう。
GnRH誘導体 ゴロ
・単回投与では、ゴナドトロピン遊離を促進する
・反復投与では、下垂体GnRH受容体への持続刺激により脱感作およびダウンレギュレーション(受容体数減少)を起こして、ゴナドトロピンの遊離を抑制し、性ホルモン分泌を抑制する。
※~レリンだが、単純に放出ホルモンのように働くわけではにので注意!!
・子宮内膜や、一部の薬は閉経前乳がんや前立腺がんに用いる
(ゴロ)ガンぶっ放す誘い、「なぶりごろせ」
「ガンぶっ放す誘い」GnRH誘導体は以下のイニシャルに~レリン
「な」ナファレリン(商:ナサニ―ル)
「ぶ」ブセレリン(商:スプレキュア)
「り」リュープロレリン(商:リュープリン)→前立腺がん・閉経前乳がんの適応あり
「ごろせ」ゴセレリン(商:ゾラデックス)→前立腺がん・閉経前乳がんの適応あり
「なぶりごろせ」で何度も痛めつけて倒すので 反復投与でゴナドトロピンの遊離が抑制されるイメージ
GnRH受容体遮断薬 ゴロ
(ゴロ)リスクあるのでガンぶっ放すの断る
「リスク」語尾:~リクス
「ガンぶっ放すの断る」GnRH受容体遮断(→下垂体からのゴナドトロピンの分泌抑制)
・デガレリクス(商:ゴナックス)→前立腺がん
・セトロレリクス(商:セトロタイド)→調整卵胞刺激下における早発排卵の防止
・ガニレリクス(商:ガニレスト)→調整卵胞刺激下における早発排卵の防止
・レルゴリクス(商:レルミナ)→・子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善 過多月経、下腹痛、腰痛、貧血・子宮内膜症に基づく疼痛の改善
※レルミナは調剤薬局でも出る薬です。食前投与であることに注意しよう!
練習問題(参考:第107回薬剤師国家 問164)
次の文章の正誤を答えよ。
デガレリクスは、視床下部のエストロゲン受容体を遮断して、排卵を誘発する。
【解答と解説】誤
デガレリクスは、GnRH受容体遮断→下垂体からのゴナドトロピンの分泌を抑制する
成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)
→成長ホルモン(GH)の分泌促進
プラルモレリン(商:GHRP科研100)
→成長ホルモン分泌促進物質(GHS)受容体に結合し、下垂体からの成長ホルモン分泌を促進する。
(ゴロ)プラモで成長 ※レリンで放出ホルモン
「プラモ」プラルモレリン
「成長」成長ホルモン レリンがあるので成長ホルモン放出ホルモンの作用
プロラクチン放出抑制ホルモン(PRIH)
・PRIHの主体はドパミン(DA)である。
・DAは漏斗―下垂体系のD2受容体を刺激する→プロラクチン分泌を抑制する。
プロラクチン放出抑制ホルモン(PRIH) 関連薬 ゴロ・覚え方
パーキンソン病と同じゴロになります。
(ゴロ)どんなに指摘しても、壁をゴリゴリ、栗をプチプチ、馬鹿がする
「どんなに指摘」D2刺激
「壁をゴリ」カベルゴリン(商:カバサール)→乳汁漏出などにも用いる
「ゴリ」ペルゴリド(商:ペルマックス)※パーキンソン病のみなのでここでは消しています。
「栗をプチ」ブロモクリプチン(商:パーロデル)→乳汁漏出などにも用いる
「馬鹿が」麦角系
成長ホルモン放出抑制ホルモン(GHRIH):ソマトスタチン
・下垂体からの成長ホルモン(GH)および甲状腺刺激ホルモン(TSH:チロトロピン)の分泌を抑制する。
・また、膵臓ランゲルハンス島D(δ)細胞からも分泌され、グルカゴンやインスリン分泌を抑制する。
関連薬:ソマトスタチン誘導体 ゴロ
(ゴロ)成長・向上への刺激がないお粗末スターの落ち度
「成長・向上への刺激がない」成長ホルモンや甲状腺刺激ホルモンを分泌抑制
「粗末なスター」ソマトスタチン誘導体
「オチド」成分名:~(レ)オチド
オクトレオチド(商:サンドスタチン)
ランクレオチド(商:ソマチュリン)
・先端巨大症、下垂体性巨人症に伴う症状の改善などに用いる。
また、以前に成長ホルモン関連薬の作用点をまとめた図をつくったので参考にその図も載せておきます。ちなみに現在、ソマトレリンは薬としての適応はない。
練習問題(参考:第109回薬剤師国家試験 問37)
●ソマトスタチン受容体を刺激して、消化管ホルモン産生腫瘍に伴う諸症状を改善するのはどれか。1つ選べ。
1.オクトレオチド
2.ソマトレリン
3.ソマトロピン
4.プロチレリン
5.ペグビソマント
【解答と解説】正解は1
2.ソマトレリン→レリンは放出ホルモン。成長ホルモンを放出を促す
3.ソマトロピン→遺伝子組み換えヒト成長ホルモン。GH受容体を刺激
4.プロチレリン→プロラクチンとチロトロピン(甲状腺刺激ホルモン)の放出を促す。
5.ペグビソマント→GH受容体の遮断