病態・薬物治療 PR

【病態・薬物治療】片頭痛

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今回は、片頭痛の病態・薬物治療についてまとめます。

片頭痛の病態

概要

片頭痛は、「原因不明の慢性頭痛で発作性に発症し、片側性、拍動性で中等~強度の頭痛が 4~72時間持続し、日常生活に支障をきたすもの」と定義される。眼症状、運動感覚異常、情緒不安定、うつ状態、空腹などの前兆あるいは前駆症状、嘔気・嘔吐、羞明(光をまぶしく感じること)などの随伴症状を伴う血管性頭痛である。原因や基礎疾患が明確でない一次性頭痛に分類される。
思春期頃から発症することが多く、成人の約8%が罹患している。中でも20~40歳代の女性に多い。
片頭痛の発症機序については三叉神経仮説、血管仮説がある

●片頭痛の成因

成因 特徴
三叉神経仮説 何らかの要因で血管周辺部の三叉神経が刺激され三叉神経からCGRP(カルシトニン関連遺伝子関連ペプチド)が放出され、血管拡張と血管透過性亢進による炎症を伴う頭痛が起こる。
血管仮説 片頭痛発作後、血小板のセロトニン(5-HT)濃度が低下し、セロトニンの代謝産物である5 HIAAの尿中濃度が増加し、セロトニンの静注により頭痛が改善することが知られているそのため片頭痛にセロトニンが関与すると考えられている。閃輝暗点などの前兆が生じ、その後血管が拡張する時に頭痛が起こる

●片頭痛の誘発・増悪因子

誘発・増悪因子
精神的因子 ストレス、疲れ、睡眠の過不足
内因性因子 月経
環境因子 天候、気温、音、臭い
食事性因子 空腹、アルコール

●片頭痛の病期

病期 特徴
第1期
(前兆期)
血小板からのセロトニンの放出により当該血管が収縮する。
第2期
(発作時)
セロトニンがMAOにより代謝され減少し、頭蓋内外の血管が拡張し拍動性頭痛が起こる。
第3期 血管透過性が亢進して当該動脈壁に浮腫が起こり、持続性頭痛が生じる。
第4期 反射性の筋収縮が頭・頸の筋肉に発生しより広い部位に持続性の鈍痛を感じる。

症状

頭部の片側または両側に急激に起こる拍動性の頭痛であり、日常生活動作や入浴により痛みが増悪することが多い。随伴症状として悪心、嘔吐、羞明、発汗、光・音・臭過敏などが見られることがある。

●片頭痛の症状

前兆期がある場合 ・前兆後1時間以内に症状が発現し、数時間痛みが続く。
・前兆症状として視覚症状、感覚症状、言語症状が典型的前兆である。
・視覚症状として閃輝暗点(目の前にチカチカと光が見えたり、星が見えたりする症状)、半盲(視野の半分が見えなくなる症状)などが見られる。
前兆期がない場合 じわじわと症状が出現して数日間持続することが多い。

検査

片頭痛は検査で診断できない。患者への問診と医師の医学知識を照らし合わせることによって初めて性格な診断ができる。

片頭痛の治療

治療の基本は薬物治療である。片頭痛の治療薬は大きく2種類に分類される。1つは頭痛を未然に防ぐための予防薬であり、もう1つは頭痛発作の発症時に痛みそのものを軽減させる発作時の治療薬である。

予防薬

<Caチャネル遮断薬>
・ロメリジン(商:ミグシス)

発作時の治療薬

<麦角アルカロイド>
・エルゴタミン
「エルゴタミン+無水カフェイン+イソプロピルアンチピリンの配合剤」(商:クリアミン)がある。

<5-HT1B/1D受容体作動薬(トリプタン系)>
・スマトリプタン(商:イミグラン)
・ゾルミトリプタン(商:ゾーミッグ)
・エレトリプタン(商:レルパックス)
・リザトリプタン(商:マクサルト)
・ナラトリプタン(商:アマージ)

なお、片頭痛治療薬の薬理(ゴロあり)は別ページにまとめているのでそちらをご確認ください。

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