病態・薬物治療 PR

【病態・薬物治療】緑内障 ゴロ・覚え方

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今回は、眼疾患の緑内障について、病態・薬物治療についてゴロ・覚え方交えてまとめました。

緑内障の病態

概要

緑内障は、眼房水の産生と排出のバランスが崩れて相対的に眼圧が上昇し、視神経が障害されて脳に光刺激の情報が伝わらなくなり、視力低下や視野狭窄を起こす疾患であ る。眼球は内側から外側に向かってほぼ均等に圧力がかかっている。この圧力を眼圧と いい、眼球の形を維持している。 正常眼の眼圧は10~20mmHgであるが、眼圧が正常範囲内にあるにもかかわらず相対的にその人にとって高い場合、正常眼圧であっても同様の症状を呈する場合がある。これを正常眼圧緑内障といい、 現在では高眼圧による 緑内障よりも患者数が多い。
眼房水は、毛様体に分布する血漿成分に類似した成分から成り、毛様体突起で炭酸脱 水酵素により産生される。その後、後眼房から前眼房に流れ、 大部分 (約90%)は前房隅角 (虹彩の根部と角膜の後角との境) の線維柱帯を通過した後、静脈洞であるシュレム 管から眼外に流出する(線維柱帯 シュレム管流出路)。 約10%の眼房水は、 ぶどう膜強膜 流出路 (後方流出路)から流れる。

分類

緑内障は、大きく開放隅角緑内障閉塞隅角緑内障に分けられる。ともに他の眼疾患がなく、隅角が正常に発達していて虹彩に異常がなく、原因不明の場合を原発緑内障、さまざまな眼疾患や薬物、疾患などが原因である場合を続発緑内障とよぶ。 また、まれであるが、遺伝的な要因や眼の発達異常により眼圧の高い状態で生まれてくる先天性緑内障がある。

●緑内障の分類
原発緑内障>
開放隅角緑内障
→隅角は正常であるが、 高分子物質などが貯留することで線維柱帯が目詰まりして眼房水が流出できなくなって眼圧が上昇し、 視神経を 圧迫する。 原因は不明である

・閉塞隅角緑内障
虹彩の癒着やその他の原因で虹彩が膨隆し、 隅角が閉塞した結果、 眼房水の流出が妨げられて眼圧が上昇し、 視神経を圧迫する

続発緑内障>
糖尿病、薬剤(副腎皮質ステロイド性薬など) が原因で起こる

<先天性緑内障>
遺伝的要因や眼の発達異常により乳幼児に起こる

(ゴロ)スカスカの線維。しっかり閉じた虹
「スカスカ」開放隅角緑内障
「線維」線維柱体の目詰まりが原因
「閉じた」閉塞隅角緑内障
「虹」虹彩の癒着や膨隆が原因

症状

急性発作型は原発閉塞隅角緑内障に発生しやすい(可及的かつ速やかな処置が必要)。
・急性発作時には激しい眼痛、頭痛を伴う
視力低下、失明などの視野障害をきたす。 中心視野の障害は比較的少ないため、未
期まで視野異常を自覚しにくい

検査

検査 特徵
眼圧検査 ・角膜に空気を高速に吹きつけ角膜の変形速度により眼圧を測定するノンコ ンタクト眼圧計と、角膜の一定の面積を平らにするのに必要な圧力をもと に眼圧を測定する圧平式眼圧計が一般に多く用いられている
・正常眼圧は10~20mmHg
隅角検査 隅角検査は開放隅角緑内障や閉塞隅角緑内障などの緑内障の各病型を決める 上で必須
眼底検査 眼底鏡による直接観察や眼底写真による評価などがある
視神経乳頭あるいは網膜神経線維層の形態学的変化の検出は重要である。 眼底検査による視神経所見の観察には以下がある
①検視鏡
②細隙灯顕微鏡
③眼底写真撮影
④無赤色眼底検査
⑤眼底三次元画像解析
視野検査 視神経線維が局所的に脱落し、そこに一致する位置の視野の知覚感度が低下する

緑内障の治療

薬物治療

原発開放隅角緑内障は、薬物治療を第一選択とする。 薬物治療を行う場合は、患者の症状により、眼圧の目標値を設定することが重要である。 薬物治療は、眼圧降下作用を期待して、眼房水流出促進作用や眼房水産生抑制作用のあるものを選択する。 眼房水排泄促進作用をもつプロスタグランジン製剤や眼房水産生抑制作用をもつアドレナリン β受容体遮断薬を用いることが多い。 目標値に達しないときには、プロスタグランジン製剤にアドレナリンβ受容体遮断薬や炭酸脱水酵素阻害薬を追加するなど、多剤併用療法に切り替える。

なお薬理作用についてはゴロと一緒に別ページにまとめていますので、そちらを参考にしてください。

[薬理ゴロ]緑内障治療薬(眼房水排出促進)今回は緑内障治療薬の眼房水排泄促進薬について、ゴロを中心に記事にしたいと思います。 なお、一般名の後ろに「商:」で記載しているのは商品...
[薬理ゴロ]緑内障治療薬(眼房水生成抑制)今回は緑内障治療薬の房水産生抑制薬について、ゴロを中心に記事にしたいと思います。 なお、一般名の後ろに「商:」で記載しているのは商品名...

外科的手術

原発閉塞隅角緑内障の第一選択はレーザー虹彩切開術である。 虹彩の一部を円形に切り取り、眼房水の流路を確保する。 術前に高浸透圧薬を投与して、眼圧を低下させるこ とがある。

練習問題

今回の練習問題は107回薬剤師国家試験の問189です。

1は正常眼圧緑内障があるので誤り
2は低下した視力は回復しないため誤り
3は虹彩が関与するのは閉塞隅角緑内障。よって誤り。
4は正しい
5は正しい