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緑内障禁忌薬剤は、緑内障と診断されていない患者さんこそ注意が必要かも?

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<2019年8月4日追記>
抗コリン薬に関して、禁忌であった「緑内障」が「閉塞隅角緑内障」に改訂されました。
以下にも記載していますが、閉塞隅角緑内障の方は、緑内障の中でも少ないと思われるので、多くの方の薬剤選択の幅が広がるのは、良いことと思われます。

今後、緑内障患者の方には、閉塞隅角緑内障か否かを眼科医に確認しておくと今後の薬剤選択の参考となることを説明し、眼科医に確認しておくよう促すことも患者様への薬学的教育になると思われます。

参考:
抗コリン作用を有する薬剤における禁忌「緑内障」等にかかる添付文書の「使用上の注意」改訂について. 薬生安発0618第2号 令和元年6月18日
https://www.mhlw.go.jp/content/000518489.pdf

今回は「緑内障と緑内障禁忌の薬」について記事を書きたいと思います。


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【緑内障で禁忌薬剤が処方されても意外と服用可能である】

緑内障にも色々種類がありますが、一般に影響を受けるのは閉塞隅角緑内障と言われています。
さらに、閉塞隅角緑内障でも薬物治療や外科的処置(レーザー治療など)で眼圧がコントロールされていたら、薬剤などによる散瞳が生じても、緑内障の発作が起こりにくいと言われています。
一方で、開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障は、ほとんど影響を受けないと言われている。なお、正常眼圧緑内障は、緑内障の7割と言われ多数を占めている

緑内障の患者さんで、緑内障禁忌の薬が出て、眼科医さんに相談すると「飲んでもらって大丈夫」と回答をよくもらいます。

以下に緑内障の患者さんに緑内障禁忌の薬剤が処方された時の対処フローを示します。
(参考とした資料の書籍名までは確認できませんでした、下にリンクを貼ります。「緑内障患者への投与に注意が必要な薬剤」という資料になります。)

図:緑内障患者さんに緑内障禁忌薬剤が処方された時の対処法

このように、眼科に通っていて緑内障と分かっている人に緑内障禁忌の薬が出ても、服用可能であることが多い

【本当に注意が必要なのは緑内障と診断されていない人かも】

40歳以上4000人(54165人より無作為に抽出)を対象とした疫学調査では、緑内障の人は5%、そのうち原発閉塞隅角緑内障は0.6%、さらに新規で原発閉塞隅角緑内障と分かった人は0.375%のようです。
40歳以上で緑内障禁忌薬剤が処方された患者さん1000人のうち、3~4人は原発閉塞隅角緑内障であると考えられます。

緑内障は、視野障害や失明につながる病気であるため、確率は低いかもしれないが、眼科医に通っていない患者さんに緑内障禁忌薬剤が処方された場合、一度眼科医に通うよう促すのも、服薬指導の内容として良いのではないかと考えます。

【閉塞隅角緑内障の症状】

もし、眼科に通っていない患者さんで、知らずに閉塞隅角緑内障が悪化していた時に眼科への受診を勧められるように、閉塞隅角緑内障の症状をまとめたいと思います。
閉塞隅角緑内障には急性慢性があり、それらを分けて記載します。
急性では、眼圧は急激に上昇し、発作性で、激しい頭痛、眼痛、悪心・嘔吐、虹視症(電灯のまわりに虹がかかったように見える)、霧視、結膜充血などの症状が現れる。
慢性では、無症状や間欠性、発作時には一過性の霧視、虹輪、軽度の頭痛、球結膜の軽度発赤などがあります。
頭痛、かすみ目、光を見て虹が見えるなどを患者さんが訴えた時は、大事をとって眼科医への受診を勧めるのも大切かと思います。

【緑内障禁忌の薬一覧】

緑内障禁忌の薬の一例としては、以下のようなものがあります。
<禁忌:緑内障>
※抗コリン作用を有するために緑内障禁忌であったものは、2019年6月13日より閉塞隅角緑内障禁忌に改訂となった。
●三環系抗うつ薬、例:アモキサピン(商:アモキサン)など
●パーキンソン病治療薬の抗コリン薬、例:トリヘキシフェニジル(商:アーテン)など
●消化器官用の抗コリン薬、例:ブチルスコポラミン(商:ブスコパン)など
●抗不整脈のジソピラミド(例:リスモダン)
※ジソピラミド(リン酸塩含む)以外の抗不整脈薬Ia群は禁忌ではない。
●気管支拡張剤の抗コリン薬、例:アトロベント(商:イプラトロピウム)
●第一世代の抗ヒスタミン薬、例:d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(商:ポララミン)
※ヒドロキシジン(商:アタラックス)は禁忌ではない
●総合感冒薬のPL配合顆粒
など

<禁忌:急性狭隅角緑内障>
※狭隅角緑内障は現在では、閉塞隅角緑内障と呼ばれている。
●ベンゾジアゼピン系の抗不安、催眠薬、抗てんかん薬
●非ベンゾジアゼピン系の催眠薬

<禁忌:閉塞隅角緑内障>
●抗パーキンソン薬のレボドパ製剤、例:レボドパ+カルビドパ(商:メネシット)
●頻尿・過活動膀胱治療薬のフェソテロジンフマル酸塩(商:トビエース)、コハク酸ソリフェナジン(商:ベシケア)、イミダフェナシン(商:ウリトス)、プロピベリン(商:バップフォー)など
●狭心症治療薬の硝酸薬、例:硝酸イソソルビド(商:フランドルテープ)など

<原則禁忌:緑内障>
●副腎皮質ステロイドのプレドニゾロン(商:プレドニン)など
ステロイドは全身投与よりも点眼などの局所投与の方が眼圧上昇作用が強いと言われている。

参考
緑内障診療ガイドライン
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/glaucoma4.pdf

緑内障患者への投与に注意が必要な薬剤
https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/15.pdf

日本緑内障学会HP(疫学の情報)
http://www.ryokunaisho.jp/general/ekigaku/tajimi.html