過活動膀胱の治療に使われる抗コリン薬であるソリフェナシン(商:ベシケア)とβ3受容体作動薬であるビベグロン(商:ベオーバ)の違いについて今回はまとめました。
※おまけ程度にミラべグロン(商:ベタニス)も比較しています。
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ソリフェナシンは膀胱の平滑筋におけるムスカリンM3受容体拮抗作用により膀胱の過緊張状態を抑制し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁を改善する。1)
ビべグロンは膀胱平滑筋におけるβ3受容体を刺激し膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し症状を改善する。1)
ちなみに、過活動膀胱に対する抗コリン薬とβ3受容体作動薬の有効性はほぼ同等とされており、過活動膀胱診療ガイドラインにおいても推奨グレードは同一である。1)
副作用の違い
ソリフェナシンは抗コリン作用による副作用が特徴的。口内乾燥、便秘、霧視などに注意が必要である。また膀胱選択性の高いソリフェナシンは認知機能への影響が少ない事が報告されているが、高齢者はもともとコリン分泌能が低下しており、副作用が顕在化しやすいことや3年以上抗コリン薬を内服すると認知症のリスクが増加する2)事を理解する必要がある。その他重大な副作用としてはQT延長にも注意する必要がある。1)
一方ビベグロンは口内乾燥や便秘などの抗コリン作用に基づく副作用は少ない。1)
参考として、ビベグロンより先に開発されたβ3受容体作動薬ミラベグロン(商:ベタニス)は動物実験の段階で精嚢や子宮など生殖器への影響が報告されており、若い人の投与はできる限り避けるべきと警告されています。3)
しかし、ビベグロンはその警告もありません。
ビべグロン(商:ベオーバ)のデメリットを調べたが、筆者では特に見つけることができなかった。
まあ、無理矢理あげるなら、用量が調節できないのと2023年9月25日現在後発医薬品がないことくらいかな・・・
ちなみに筆者の働いている薬局での2023年7月~9月の3か月間の処方件数をみるとベオーバ18件、ベシケア6件でやはりベオーバが選ばれがちです。(ベシケア処方件数はジェネリック含む)
相互作用の違い
副作用の違いから、併用注意の薬剤も異なる。
ソリフェナシンは QT延長のリスクがあるため、同様のリスクのある薬剤は相互作用の懸念があり、併用注意に指定されている。また、先日の通り抗コリン作用を有する薬剤の併用で副作用のリスクが上昇するためこちらも併用注意となっている。1)
両剤は代謝に CYP3A4が関与しているため CYP3A4阻害・誘導する薬剤は併用注意となっている。1)
ちなみに、ビベグロンより先に開発されたβ3受容体作動薬ミラベグロンは、CYP2D6を阻害する作用を有するため、CYP2D6が代謝に関係する薬なども併用禁忌・併用注意に設定されている。なお、ミラべグロンと併用禁忌である薬剤はフレカイニド酢酸塩(商:タンボコール)、プロパフェノン塩酸塩(商:プロノン)である。4)
CYP3A4を阻害する薬剤の例としては、
アゾール系抗真菌薬(成分名:~ナゾール)やHIVプロテアーゼ阻害薬(成分名:~ナビル)などである。
また、CYP3A4を誘導する薬剤としては、リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピンなどである。5)
オススメの書籍
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参考
1)患者に合わせた処方意図がわかる!同効薬・類似薬のトリセツ「監修:稲森正彦、日下部明彦」
2)高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20170808_01.pdf
3)薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100[著:児島悠史]
4)ベタニス錠 添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2590014F1021_1_13/
5)ベオーバ錠 添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2590017F1025_3_01/