糖尿病治療薬を詳しく勉強したい薬剤師・薬学部生向けに
・糖尿病標準診療マニュアル2022(以下マニュアル)
・糖尿病診療ガイドライン(以下ガイドライン)
を参考に糖尿病治療薬の情報をまとめています。
今回はチアゾリジン薬になります。
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メルカリへのリンクはコチラチアゾリジン薬の特徴
成分として
・ピオグリタジン(商:アクトス)
がある。
●チアゾリジン薬はPPARγ(peroxisomeproliferator-activatedreceptorγ)と呼ばれる核内受容体型転写因子のアゴニストである。脂肪細胞の分化を促して白色脂肪細胞における脂肪蓄積を促進させ、これにより、肥満に伴う骨格筋や肝臓の異所性脂肪蓄積を改善する。またPPARγの活性化は脂肪組織の質を改善して炎症性サイトカインの分泌を抑制し、アディポネクチンの分泌を促進して、インスリン抵抗性を改善させる
●ピオグリタゾンは、HDL-Cを上昇させ、TGを低下させる効果を有している
●インスリン抵抗性のある非糖尿病患者への投与で脳卒中の再発抑制効果が認められており、糖尿病患者への投与で大血管症の二次予防効果とともに動脈硬化進行抑制の効果も示唆されているが、日本人を対象としたランダム化比較試験(randomizedcontrolledtrial:RCT)では、大血管症の抑制効果は認められていない
●副作用として体液貯留作用と脂肪細胞の分化を促進する作用があるため、体重がしばしば増加し、ときに浮腫を認める。こうした副作用のため少量からの投薬開始が望ましい。
●循環血漿量の増加により心機能を悪化させる可能性があり、心不全やその既往がある場合は投与禁忌である。
●再現性をもって骨折の増加が認められており、女性のほうがより起こしやすいことを示唆する結果もあるため、特に閉経後の高齢女性では使用の可否を慎重に検討する必要がある。
●重篤な肝・腎機能障害がある場合は投与禁忌である。
●さらにピオグリタゾン高用量の長期使用で膀胱癌発生率が高くなる可能性が示唆されてきた。最近のデータではその可能性は否定的であるが、膀胱癌治療中の患者では使用を避け、リスクの高い場合は慎重に検討する必要がある
ロシグリタゾン(日本未承認、商品名アバンディア)ではむしろ心血管死を増やすことが判明した。この結果を受けて,米国食品医薬品局(FoodandDrugAdministration:FDA)は新規の糖尿病治療薬にCVD(cardiovascular disease:心血管疾患)に対する臨床研究を課すこととなった。
(参考:糖尿病治療薬による心血管疾患予防効果:日本内科学会雑誌106巻5号:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/5/106_1029/_pdf)
上記のロシグリタゾンの騒動があり、心血管イベントに関する記載がガイドラインの中にも多くある。特に、比較的に新しい薬の「DPP-4阻害薬」「SGLT2阻害薬」に対しては、心血管イベントに関する記載が多いのはこういう背景がある。
ピオグリタゾン(商:アクトス)添付文書抜粋
効能又は効果
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られずインスリン抵抗性が推定される場合に限る。
1.①食事療法、運動療法のみ
②食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
③食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
④食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
2.食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用
効能又は効果に関連する注意
本剤を使用する場合は、インスリン抵抗性が推定される患者に限定すること。インスリン抵抗性の目安は肥満度(Body Mass Index=BMI kg/m2)で24以上あるいはインスリン分泌状態が空腹時血中インスリン値で5μU/mL以上とする。
用法及び用量
<食事療法、運動療法のみの場合及び食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤又はα-グルコシダーゼ阻害剤若しくはビグアナイド系薬剤を使用する場合〉
通常、成人にはピオグリタゾンとして15~30mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、性別、年齢、症状により適宜増減するが、45mgを上限とする。
〈食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用する場合〉
通常、成人にはピオグリタゾンとして15mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、性別、年齢、症状により適宜増減するが、30mgを上限とする。
用法及び用量に関連する注意
・浮腫が比較的女性に多く報告されているので、女性に投与する場合は、浮腫の発現に留意し、1日1回15mgから投与を開始することが望ましい。
・1日1回30mgから45mgに増量した後に浮腫が発現した例が多くみられているので、45mgに増量する場合には、浮腫の発現に留意すること。
・インスリンとの併用時においては、浮腫が多く報告されていることから、1日1回15mgから投与を開始すること。本剤を増量する場合は浮腫及び心不全の症状・徴候を十分に観察しながら慎重に行うこと。ただし、1日量として30mgを超えないこと。
・高齢者では、1日1回15mgから投与を開始することが望ましい。
参考
糖尿病診療ガイドライン2019
(http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-05.pdf)
糖尿病標準診療マニュアル2022 一般診療所・クリニック向け
(https://human-data.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/DMmanual_18.pdf)
アクトス錠 添付文書
(https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3969007F1024_2_02/)