今回は消化性潰瘍治療薬の中でも攻撃因子抑制薬について、ゴロを中心に記事にしたいと思います。
なお、一般名の後ろに「商:」で記載しているのは商品名です。
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メルカリへのリンクはコチラプロトンポンプ阻害薬(PPI)のゴロ
●語尾:~プラゾール(例外はボノプラザン)
●パパの墓に行かん
「パパ」PPI
「墓」H+,K+-ATPase阻害
このH+,K+-ATPase(プロトンポンプ)は胃酸分泌の最終段階。以下に示すH2受容体遮断薬や選択的ムスカリン受容体遮断薬も結果としてH+,K+-ATPaseの阻害につながる。
PPIは直接H+,K+-ATPase阻害するため、胃酸抑制効果が強力。
「行かん」肝臓代謝型の薬剤
副作用:便秘、下痢、頭痛、めまい、AST上昇、ALT上昇、ガストリン上昇
特徴:胃酸分泌抑制が強力。疾患によって、処方期間に制限がある。
・胃潰瘍、吻合部潰瘍、維持療法を除く逆流性食道炎:8週間まで
※吻合部潰瘍、維持療法を除く逆流性食道炎の適応有無は薬によって異なる。
・十二指腸潰瘍:6週間まで
オメプラゾール(商:オメプラール、オメプラゾン)
ランソプラゾール(商:タケプロン)
ラベプラゾール(商:パリエット)
エソメプラゾール(商:ネキシウム)
ボノプラザン(商:タケキャブ)→新しい機序のPPI(カリウム競合型)。
<ボノプラゾンの特徴>
従来のPPIは、血中に吸収された後、血中から胃壁細胞に移行する。その後、酸性条件下で活性体になることで、効果を発揮する。しかし、PPIは酸性では不安定であり、効果を発揮するのに4~5日服用が必要である。そして以下のような課題があった。
①効果発現に時間がかかる(PPIを十分に阻害するのに4~5日)。
②夜間の酸分泌を十分に抑制できない。
③肝薬物代謝酵素CYP2C19による代謝の影響があり、薬物動態の個人差が大きい。
それに対し、ボノプラザンは、酸性で不安定を解消、PPIへの結合時間の延長、また代謝の影響が少ないことが特徴であり、上記の課題を解消している。
ここからは、筆者がIF、文献やネット情報を読んでの感想です。
これらの特徴に新しい作用機序(カリウム競合型)はあまり関係ないのでは?と感じています(酸の活性化が必要ないため、PPIより胃内pHを上げやすいというのは納得しています)。ただ、ボノプラザンが「酸に安定」で、「PPIに長く結合できる」という性質を有しているから従来のPPIの課題を解消できたのではと思っています。(もっと乱暴に書くと、従来の機序でも、成分の性質として「活性体が酸に安定」で、「PPIに長く結合できる」なら課題を解消できたのでは?)
こんなことを書いたのは、一部の情報で「新しい作用機序だからこんな特徴があるよ」と私が解釈してしまいそうになった文章があったからです。結局、私の知識や読解力では、正しい見解をまとめることすらできませんでした。分かる人は誰かコメントいただけたら幸いです。
練習問題(参考:第109回薬剤師国家試験 問162)
次の文章の正誤を答えよ。
・ランソプラゾールは、K+に競合してプロトンポンプを阻害することで、胃酸分泌を抑制する。
【解答と解説】誤
「K+に競合してプロトンポンプを阻害することで、胃酸分泌を抑制する」のはボノプラザン
H2受容体遮断薬のゴロ
●H2は知人が多い。
※H2はあだち充先生の野球漫画
「H2」H2受容体遮断薬
「知人(ちじん)」語尾:~チジン
「じんが多い」腎排泄型の薬が多い。ただし、ラフチジンは例外でCYP3A4や2D6で代謝される。
※あだち充先生の漫画に「ラフ」という水泳漫画があります。
ファモチジン(商:ガスター)
ラニチジン(商:ザンタック)
シメチジン(商:タガメット)→腎排泄型だが、CYP2D6,3A4などの阻害作用が強い。
ロキサチジン(商:アルタット)
ニザチジン(商:アシノン)
ラフチジン(商:プロテカジン)
練習問題(参考:第109回薬剤師国家試験 問162)
次の文章の正誤を答えよ。
・ラニチジンは、胃の壁細胞に存在するヒスタミンH2受容体を遮断することで、プロトンポンプの活性化を抑制する。
【解答】正
選択的ムスカリン受容体遮断薬のゴロ
●マイ絶品チキン
「マイ」M1受容体遮断
→M2やM3の遮断は弱いので、頻脈や口喝の副作用が少ない。
「絶品」ピレンゼピン(商:ガストロゼピン)
「チキン」チキジウム(商:チアトン)→禁忌:緑内障、前立腺肥大に伴う排尿障害、重篤な心疾患
抗コリン薬 ※ゴロなし
臭化ブチルスコポラミン(商:ブスコパン)
プロパンテリン(商:プロ・バンサイン)
<禁忌>
緑内障、前立腺肥大に伴う排尿障害、重篤な心疾患
制酸薬 ※ごろなし
炭酸水素ナトリウム→吸収によりアルカローシス
※他の制酸薬は吸収されないので、アルカローシスは生じない。
沈降炭酸カルシウム→禁忌:甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症
合成ケイ酸アルミニウム
乾燥水酸化アルミニウムゲル
※アルミニウム系は、禁忌:透析中患者(アルミニウム脳症が起きやすいため)
水酸化マグネシウム(商:ミルマグ)→禁忌:牛乳アレルギー
酸化マグネシウム
※マグネシウム系は、下剤としても用いられる。よって副作用として下痢に注意。
抗ガストリン薬のゴロ
●プログループがガストを閉める
「プログループ」プログルミド(商:プロミド)
「ガストを閉める」ガストリン受容体を遮断(→胃酸分泌を抑制)
【備考】
<アルカローシス>
pHは高値またはほぼ正常範囲内である。一般的な原因には,遷延性の嘔吐,循環血液量減少,利尿薬の使用,および低カリウム血症などがある。重症例では頭痛、テタニー、痙攣発作などが現れることがある。
<アルミニウム脳症>
認知症の症状をきたす。