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ファンギゾンシロップの使い方(特に口腔内カンジダ症)

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今回はファンギゾンシロップ(一般名:アムホテリシンB)についての記事です。
消化管におけるカンジダ異常増殖に用いる薬ですが、患部が口腔内である場合には、普通に飲み込むだけでは不十分なので注意が必要です。

効能・効果

効能・効果は「消化管におけるカンジダ異常増殖」

カンジダ症は、カンジダ・アルビカンス Candida albicansをはじめとする数種類のカンジダ属 Candida真菌によって引き起こされる感染症。
最もよくみられる病型は、口、腟、皮膚の表面に感染が起きるもの。
カンジダ Candidaは、正常な場合でも皮膚、腸管、女性の陰部に存在する。通常は、カンジダ Candidaがこのような部位で症状を引き起こすことはありません。しかし、この真菌がときに皮膚、口(粘膜が侵されます)、腟に感染症を起こす場合があります。

今回は、ファンギゾンシロップの話なので、口腔内で生じた場合の症状をまとめたいと思います
【口腔内カンジダ症の症状】
・口の中にできるクリーム状の白くて痛みのある斑点
・口の端のひび割れ(口唇炎)
・舌が赤くなって痛みが生じ、滑らかになる

参考:メルクマニュアル(カンジダ症のページ)

口腔内への使用方法

用法用量を確認すると
「通常小児に対し1回0.5〜1mL〔アムホテリシンBとして50〜100mg(力価)〕を1日2〜4回食後経口投与する。」
とあります。

ちなみに、成人にもよく使用されます。よく処方されるので、気にしてなかったのですが、「通常小児」なので成人に出た場合には、指導対策的にも疑義した方がいいのかな?
そこで、「日本医真菌学会 侵襲性カンジダ症の診断・治療ガイドライン(以下ガイドライン、http://www.jsmm.org/pulic_comment2-1.pdf)を調べてみました。
ガイドラインでは、口腔咽頭カンジダ症のページに
――――――――――――――――
アムホテリシンB シロップ 1 回 1-2 mL 1 日 3~4 回 経口投与(内服または含嗽)
内服投与の場合は数秒間口に含んだ後嚥下(保険適応)
含嗽の場合は蒸留水で 50-100 倍に希釈して投与(B-Ⅲ)(保険適応外)
――――――――――――――――
という記載があります。
1回1~2mLなので小児を想定した量ではないと思われます。そこに内服の場合は保険適応とあるので、疑義なくても問題ないかと思われます

この用法用量だけだと、「その量を食後に服用して下さい。」と説明するだけになるかもしれませんが、口腔内カンジタ症に対しては、別途適用上の注意が添付文書に書かれています。
内容は「舌で患部に広くゆきわたらせ,できるだけ長く含んだ後,嚥下させること。」とのこと。
これで、患部が口腔内の患者さんにより良い指導ができると思ったのですが、「できるだけ長く含んだ後」というワードが気になりますね。どれくらいなのか?
これもガイドラインに記載がありました。
ガイドラインでは、「数秒間口に含んだ後嚥下」とあるので、10秒あればガイドラインの内容を順守できると思われます
※ちなみに他のネット記事では15~30秒という内容を確認しました。もちろんその時間でもガイドラインの内容は順守できると思われます。

まとめ

ファンギゾンシロップの指導する場合、患部の確認は重要です。
特に口腔内である場合には、普通に内服するだけは不十分ですので、「舌で患部に広くゆきわたらせ,10秒程度口に含んで,のみこんでください。」と指導することが必要になると思います。