薬局実務中疑問 PR

医療用麻薬の副作用とその対策

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今回は、がんの痛みなどに使用する医療用麻薬の代表的な副作用とその対応についてまとめました。

医療用麻薬の使用者さんは、副作用の症状があれば必ず医師に報告してください。
しかし、すぐに次の受診があるわけではないため、可能な限り使用者さん自身ができる対策もまとめておきます。
また、ここでは代表的な副作用だけを挙げており、ここの症状以外も副作用の可能性があることに留意してください。

暗記が苦手な薬学部生にみてほしい。

薬学部では勉強量が多く時間が足りないと感じることが多いでしょう。
ゴロはキーワードに強引に意味を与えるので、ハマれば暗記も早いし忘れにくい
だから、勉強時間の短縮に役立つ!!
しかし、1つ1つスマホで調べていたら大幅なタイムロスです。
そこで、ブログの薬理ゴロや衛生ゴロを収集して書籍(薬理ゴロは紙も電子書籍版もあり)にしました
より効率的に勉強して、別分野の勉強時間や趣味の時間をつくりましょう
Time is money! お金で時間を買ってください
しかも当ブログなら購入前にゴロを確認でき、自分に合っているか否かを試せます
多くのゴロでビビッとフィーリングが合えば、書籍をオススメします。(個人的には紙書籍の方が勉強しやすいですが、電子書籍の方が印刷コストの兼ね合いでお安いです)

悪心・嘔吐

悪心とは気持ちわるくなることです。
医療用麻薬による悪心・嘔吐は、医療用麻薬の投与初期と増量時に発現することが多く、持続する悪心は数日か1週間で耐性が生じ、消失することが多いです。
そのため原則として制吐薬の予防投与は行いません
ただし、悪心が生じやすい患者では予防投与を行ってよいとされています。
第一選択薬は抗ヒスタミン薬かドパミン受容体拮抗薬を投与し、効果がなければ異なる作用機序のものを投与することとなっています。

<使用者ができる対応>

悪心は、次第に消失する可能性があるため、使用者さん自身が気になる程度で生活に困らない場合あれば、しばらく様子をみてください。
悪心が続く場合には、悪心の出るタイミングや持続時間を整理しましょう(例:起き上がる時、歩行時、食後など)。薬の選択の参考になります。
そして、悪心が続く場合には医師に報告しましょう。

ちなみに、体動に伴い悪心・嘔吐が悪化する場合やめまいを伴う場合、乗り物酔いのように感じる場合に使用される薬に医療用トラベルミンがあります。
ちなみに、市販薬のトラベルミン(大人用)も同じ成分になります。
しかし、市販薬の効能は「乗物酔いよる症状」と明記されているので、ここでは勧めることができないです。

一般論になりますが、悪心時には食事量が減りやすくなります。そのため以下のような対応で食事量が減りすぎないようにしましょう。
・少量で食事回数を増やす。
・おかゆやうどんなど消化のよいものを食べる。

便秘

便秘に関して、耐性が生じることは少ないと言われています(つまり、便秘の副作用が発現したら、医療用麻薬を使用している間は便秘が続きます)。
そのため、医療用麻薬の投与開始時には予防的な便秘対策を心にとめ、必要時には緩下剤の継続的な併用を検討する

<使用者ができる対応>

まずは、排便状況や食事の状況(量や回数)を整理する(医療機関に伝えるため)。
特に症状として、お腹のはる感じの便秘や3日以上排便がない場合には医師に報告しましょう。

●市販薬
次回の受診までに間隔があき、便秘が辛い場合に対処できるよう、医療用と同じ有効成分の市販薬を紹介しておきます。
しかし、必ず使用した薬とその薬の効果の有無を医師に伝えてください
なんなら医師に電話して先に許可をとってもいいと思います。

<酸化マグネシウム>
腎臓の機能低下を指摘されている人は使用を避けたほうがいいです。
・医療用は1日3回で使用できるが、市販薬は1日1回の商品しか現在はない。
※2026年8月19日PMDA添付文書検索調べ

<センノシド>
長期使用はオススメできないが、次の受診までの対応であればアリ。
・ただし市販品は有効成分センノシドのみの商品はなく、他の有効成分との配合剤になる。
※個人的には他の成分は余計なものに感じる・・

●腹部マッサージ
おへそを中心に「の」の字を書くようにマッサージをして、からだの外側から腸を刺激します。

●温罨法 ※熱傷(やけど)に注意
温かいタオルでおなかや腰を温め、腸のはたらきに関係する神経を活性化させます。

●食事
→食べ物がお腹に入ると、その刺激で腸は活動を開始します。食欲がないときは少量でもよいので、腸のはたらきを助ける食物繊維を多く含む食品(海藻類、コンニャク、果物、野菜)を食べる。朝食は排便を促すのに最適です。寝起き後の腸を刺激するので、排便の習慣をつけやすくなります

●トイレでの姿勢
排便時に前かがみの姿勢をこころがけましょう。あるいは足台に足をのせると、直腸から肛門のラインがまっすぐになり、便を出しやすくなります

眠気

医療用麻薬による眠気は投与開始初期や増量時に出現することが多いが、耐性が生じ、数日以内に自然に軽減ないし消失することが多いです。
医療用麻薬が原因の不快な眠気がある場合は医療用麻薬を減量するか、痛みのために減量の困難な場合は別の医療用麻薬を検討することになっています。

<使用者がすべき対応>

まず、眠気は開始時や増量時は出やすいが、数日で消失することが多いことを知っておいてください。
また、痛みで不眠が続いていた人は、痛みが軽くなるに伴い眠気が出やすくなります。この眠気も数日程度の一時的なものです。

もし、痛みがなく眠気が持続する場合には、過量投与の可能性を考える重要な情報ですので、かならず状況を医師に伝えましょう

そして、怪我や事故防止のため自動車などの運転を服用中は避けてください

せん妄

がん患者においては、様々な要因でせん妄などの認知機能障害が出現すると言われており、原因を鑑別する必要があります。
医療用麻薬による幻覚・せん妄は投与開始初期や増量時に出現することが多いです。
医療用麻薬によるせん妄は、原因薬剤の投与を中止により、数日から1週間で改善する場合が多いです。

<使用者ができる対応>

まず、せん妄とは周囲を認識する意識の清明度が低下し、記憶力、見当識障害、言語能力の障害などの認知機能障害が起こる状態です。
具体的には、
・今日が何月何日かわからない
・昼か夜か区別がつかない
・幻覚が見える
・昼間眠って、夜眠れない
・過去のことを現在のように話す
・現実と違うことを話す
・怒りっぽくなる
・落ち着きがない
・くり返し、どこかへ行こうとする

使用者さん自身が気付くのはなかなか難しいかもしれないため、家族にこのような副作用があることを理解・認識してもらいましょう。

なお、薬剤性せん妄は、薬剤の中止により数日から1週間で改善する場合が多いため、特に開始時や増量時には、症状が出ていないか注意して、症状があれば医師に報告してください。
ただし、せん妄はさまざまな要因で出現することがあるため、一概に薬が原因とは限らないです。

また、基本的な注意として、転倒や転落には気をつけてください

ここからは、せん妄の原因が明らかにならなかった場合の話です。
せん妄には以下のような促進因子(せん妄の発症や悪化につながるもの)があります。
予防にも治療にもこれらの要因と取り除くことが大切です。
<せん妄の促進因子例>
・不眠
・痛み
・不安
・脱水
・便秘
・身体拘束
・視力低下や聴力低下
など

<ケアの例>
・カレンダーや時計を設置し、日付時間を意識しやすくする。
・睡眠リズムを整えるために、昼夜のメリハリをつける。
例としては、日中はカーテンやブラインドをあけ日光を取り入れる。ただし、夜は真っ暗だと転倒などのリスクを上げるため、薄明りが推奨されている。
・視力や聴力の低下はせん妄をきたしやすくなる。眼鏡や補聴器を適切に使用する。
・脱水状態にならないように、唇が渇いていないか気にする。また、起床時、毎食時、入浴前後、就寝前など定期的な水分補給を心掛ける。
・本人が落ち着けるものがあれば、身近なところに飾る。

呼吸抑制

一般的にはがん疼痛の治療を目的とした医療用麻薬を適切に投与する限り呼吸数は低下しないか、または呼吸数が低下しても1回換気量が増加するので低酸素血症になることは稀です。
ただし、急速静注などの投与法で血中濃度急激に上昇させた場合や疼痛治療に必要な量を大きく上回る過量投与を行った場合は起こりうる副作用です。
従って、過量投与とならないように、効果と副作用を確認しながら増量を行う必要があります。
オピオイドによる呼吸抑制を生じることがあるため、眠気が生じた段階で鎮痛手段の見直しと評価を行うことが重要です。

<使用者ができる対応>

眠気は呼吸抑制の初期症状と考え、症状がでれば医師に伝える
ただし、眠気は開始時や増量時に発現しやすく、しだいに消失しやすいため、開始後や増量後1週間以内の眠気は心配しすぎなくてよい

その他にも以下の過量投与の目安を理解し、症状があれば医師に報告する。
<過量投与の目安>
痛みがなく強い眠気が持続する。
何もせずにいるウトウトする。
昼間の睡眠が増える。
黒目が小さくなる(縮瞳)。
安静にしていても1分間の呼吸が10回より少ない

また、他の病院で薬剤追加になったときなどは、医療用麻薬の効果を強める可能性がありますので、他の薬が追加になったときに症状が出ればメモをとり、医師や薬剤師に伝える。
例えば、CYP3A4阻害薬は、オキシコドンやフェンタニルの作用を強めやすい