今回は局所麻酔薬について、ゴロを交えてまとめたいと思います。
なお、一般名の後ろに「商:」で記載しているのは商品名です。
薬学部では勉強量が多く時間が足りないと感じることが多いでしょう。ゴロはキーワードに強引に意味を与えるので、ハマれば暗記も早いし忘れにくい。だから、勉強時間の短縮に役立つ!!しかし、1つ1つスマホで調べていたら大幅なタイムロスです。そこで、ブログの薬理ゴロを収集して紙ベース(フルカラー)にしました。より効率的に勉強して、別分野の勉強時間や趣味の時間をつくりましょう。Time is money! お金で時間を買ってください。しかも当ブログなら購入前にゴロを確認でき、自分に合っているか否かを試せます。多くのゴロでビビッとフィーリングが合えば、紙ベースをオススメします。
メルカリへのリンクはコチラ作用機序
投与された局所麻酔薬の一部は非イオン型となり、リポイド層である神経細胞膜を通過する。その後、神経細胞質内で陽イオン型となり、内側から電位依存性 Na+チャネルを遮断することによりNa+流入を抑制する。その結果、活動電位の発生が阻止されるので、知覚神経における興奮伝導は遮断される。
(ゴロ)局所マッサージを内側からはなっちゃんもお断り
「局所マッサージ」局所麻酔薬
「内側から」神経細胞質内の内側から
「なっちゃんお断わり」Naチャネルを遮断する
練習問題(参考:第108回薬剤師国家試験 問28)
メピバカインの局所麻酔作用の機序はどれか。1つ選べ。
1.ATP感受性K+チャネルの刺激
2.アセチルコリンNN受容体の遮断
3.電位依存性Na+チャネルの遮断
4.セロトニン5-HT1A受容体の遮断
5.電位依存性T型Ca2+チャネルの遮断
【解答】3
特徴
a) 感覚の消失順
遮断作用は細い→太い線維の順に現れる。 自律神経や運動神経の興奮も遮断される。感覚麻痺は痛覚(無髄C線維) 、温覚(有髄Aδ線維) (冷感→温感)、 触覚・圧覚(有髄 Aβ 線維)の順に起こり、無髄線維は有髄線維より感受性が高い。
(ゴロ)感覚麻痺の順番は「つおし」で覚える(痛覚→温覚→触覚)
b) 血管拡張作用
局所麻酔薬には、血管拡張作用を有するものがある。血管が拡張すると、注射局所の血管網から速やかに吸収されるため、①局所における薬物濃度が急速に低下し、効力が消失する、②速やかに全身に吸収されて中毒症状発現の原因となる。
そのため、血管収縮作用をもたない局所麻酔薬には、血管収縮薬 (アドレナリン、 フェニレフリン) が併用される。 併用することによって、①麻酔作用の増強、②作用持続時間の延長、③全身性副作用 (中毒症状)の軽減、が起こる。なお、コカインやメビバカイン、ブピバカインなどには血管収縮薬を併用しなくてもよいが、必要に応じて添加することがある。
ただし、高血圧や糖尿病のある患者では、血圧上昇作用、 血糖上昇作用を示すため、アドレナリンの併用は禁忌である。
c)pHの影響
局所麻酔薬のほとんどは第二級、第三級アミンのために弱塩基性で、溶解性、安定性をもたせるために、その塩酸塩が水溶液として用いられる。
酸性部位 [炎症部位 (炎症巣) 胃内など]では、細胞外にイオン型が多くなり、 局所麻酔薬が細胞膜を通過できないため、 効力が弱まる。
具体的な局所麻酔薬
局所麻酔薬は、その構造からエステル型とアミド型に分類される。
エステル型は、血漿コリンエステラーゼによって分解されやすいため、作用持続時間が短い。また、代謝物によるアレルギー反応も起こしやすい。
アミド型は、血漿コリンエステラーゼによる分解を受けにくく、 代謝物を生成しにくいため、アレルギー反応は起こしにくい。 なおアミド型は、肝臓でP450により代謝される。
<ゴロ・暗記術>
そのエステル型とアミド型の見分け方は、
「~カイン」の直前が濁音であればアミド型(アミドも濁音あるよね)
<アミド型>
リドカイン(商:キシロカイン)
ジブカイン(商:ネオビタカイン)
メピバカイン(商:カルボカイン)
ブピバカイン(商:マーカイン)
オキセサゼイン(商:ストロカイン):胃液内の強酸性(pH1)条件下でも作用する。胃粘膜局所麻酔薬として、胃炎、胃潰瘍などの鎮痛に内服で用いられる。
※オキセサゼインは見分けルール例外なので注意!ゼインという濁音がはいっているのでアミド型と覚える
<エステル型>
コカイン(商:コカイン塩酸塩):麻薬
プロカイン(商:ロカイン):組織浸透性が低く、表面麻酔には用いない
オキシブプロカイン(商:ラクリミン):分泌性流涙症や眼科領域の表面麻酔で用いる
テトラカイン(商:テトカイン)
アミノ安息香酸エチル(商:アミノ安息香酸エチル)
局所麻酔薬の適用法
知覚を鈍麻させるためには、求心性知覚神経を麻痺させ、インパルスの伝導を遮断すればよい。局所麻酔薬は次のような方法で適用される。
●局所麻酔薬の適用法
①表面麻酔法:粘膜 (口腔、 結膜、 角膜)に表面から塗布あるいは点眼して麻酔する方法。 組織浸透性のよい薬物 (脂溶性の高い薬物)が用いられる→眼・粘膜、麻酔 (気管支鏡などの挿管のために行う)、創傷部・胃粘膜鎮痛 (コカイン、リドカイン、テトラカイン、ジブカインなど)
②浸潤麻酔法:手術部位の周囲に皮内又は皮下注射し、知覚神経の一番末端の細い線維を 麻痺させる方法→抜歯・眼科・耳鼻科の小手術に用いられる (プロカイン、リドカイン、メピバカインなど)
③伝達麻酔法:神経幹周囲に注射して麻酔する方法。神経が太いので②より高濃度が必要 →三叉神経痛、骨折整復などに用いられる(リドカイン、テトラカイン、メビバカインなど)
④脊椎麻酔法:くも膜下腔に注入する方法。薬液が第4胸椎以上に達すると肋間筋に至る運動神経も抑制されて、呼吸麻痺が起こるので、脊髄液 (比重1.00~1.01) と局所麻酔薬 の比重によって体位を決める(低比重液のときは頭を下に)→下半身の手術に用いられる (リドカイン、テトラカインなど)
⑤硬膜外麻酔法:硬膜外腔に注入して、 脊髄神経の麻痺を起こす方法。 胸部、腰部、仙骨麻酔が選ばれる (リドカイン、メビバカイン、プロカインなど)