今回は、センノシド(商:プルゼニド)やセンナを含む薬(商:アローゼン顆粒など)、大黄を含む漢方薬(防風通聖散など)を長期で服用することで発現する可能性がある大腸メラノーシスに関する記事です。
ちなみに、上記薬剤の含むアントラキノン誘導体が大腸メラノーシスを起こすと言われています。
大腸メラノーシス(別名:大腸黒皮症)に関して、上記の薬で大腸が黒く色素沈着することは知っているが、①何か危険なの?②どのくらい継続すると発現するの?③治るの?などいくつか疑問があったので調査しました。
薬学部では勉強量が多く時間が足りないと感じることが多い
でしょう。ゴロはキーワードに強引に意味を与えるので、ハマれば暗記も早いし忘れにくい。
だから、勉強時間の短縮に役立つ!!
しかし、1つ1つスマホで調べていたら大幅なタイムロスです。
そこで、ブログの薬理ゴロや衛生ゴロを収集して書籍(薬理ゴロは紙も電子書籍版もあり)にしました。
より効率的に勉強して、別分野の勉強時間や趣味の時間をつくりましょう。
Time is money! お金で時間を買ってください。
しかも当ブログなら購入前にゴロを確認でき、自分に合っているか否かを試せます。
多くのゴロでビビッとフィーリングが合えば、書籍をオススメします。(個人的には紙書籍の方が勉強しやすいですが、電子書籍の方が印刷コストの兼ね合いでお安いです)
大腸メラノーシスは危険なの?
漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン 日本東洋医学会 EBM 委員会 診療ガイドライン・タスクフォース(慢性便秘診療ガイドライン2017から漢方製剤に関する記述を抽出したもの)を参考とすると、
<大腸メラノーシスに直接関係ある内容>
・大腸メラノーシスはアントラキノン誘導体の長期投与で見られる内視鏡所見であり、過量連用服用の指標となる。
・大腸メラノーシスでは大腸運動異常が認められることもあるが、必ずしも連動しない。
・大腸メラノーシスは必ずしも神経叢障害と連動しない。
・大腸メラノーシスは、腸腺腫や癌が高頻度で見い出された多数症例による検討があるため、大腸腺腫や大腸癌のリスクになる可能性も指摘されており、短期間はともかく、長期間のアントラキノン誘導体の服用は推奨されていない。
<大腸メラノーシスに直接的な関係を有しない記載>
・アントラキノン系生薬の長期間連用では腸管運動の低下や腸管拡張・伸長が、手術症例や 実験動物を含めしばしばみられる。腸管運動の低下は筋層の障害ではなく結腸壁内神経叢 の障害によるものとされ、進行すると不可逆となり手術を要する場合もある。
・アントラキノン誘導体が長期間、大量に投与されれば、大腸腫瘍のリスクを高め、壁内神経叢の障害と大腸運動異常を引き起こす可能性は否定できない。
ちなみに、PMDAの副作用が疑われる症例報告に関する情報(2026年2月22日の段階)において、「副作用/有害事象名:胃腸粘膜色素沈着」で検索すると、
・センノシドで7件(うち5件は投与中止、1件は継続不明、1件は非該当)
・防風通聖散で2件(2件とも投与中止)
・アローゼン顆粒で1件(その後の投与状況は不明)
となっており、見つかれば投与中止となっている割合も高い。
どのくらい継続すると大腸メラノーシスになるの?
福岡県薬剤師会の質疑応答(2013年12月)を参考とすると、
カスカラ(アントラキノン系下剤)を用いた実験で、大腸メラノーシスは最短4ヶ月、最長13ヶ月、平均9ヶ月で出現したとの報告があるとのこと。
大腸メラノーシスは治るの?
福岡県薬剤師会の質疑応答(2013年12月)を参考とすると、
カスカラ(アントラキノン系下剤)を用いた実験で、大腸メラノーシスは休薬後9~12ヶ月で消失した報告がある。
全日本民医連 副作用モニター情報(485)2017.09.05を参考にすると、
大腸メラノーシスは可逆性の症状なので、原因となるアントラキノン系緩下剤を中止すれば回復します。しかし、回復まで半年~1年程度かかると記載がある。
公的な資料ではないが、複数のクリニックのホームページでも「薬を中止すれば1年くらいで色素沈着は戻ってくる」旨の記載が確認されました。
まとめ
上記の内容から個人的な見解をまとめると、
大腸メラノーシス自体が何か危険な状態というわけでなく、あくまでアントラキノン誘導体の過量長期服用の指標となるだけ。
ただし、アントラキノン誘導体の長期間連用は、大腸腫瘍のリスク、壁内神経叢障害のリスクなどがあり、長期間の服用は推奨されていない。
そのため、過量長期服用の目安になる大腸メラノーシスがみつかると基本投与中止となっていると思われる。
アントラキノン誘導体を含む薬剤を4ヵ月続けると、大腸メラノーシスが発現する可能性がある。
薬を中止すると色素沈着自体は治ることが確認されているが、腸管運動の低下などは進行しすぎると不可逆的である。
その他の情報
最後に、今回のテーマは直接的には関係ないが、アントラキノン誘導体を含む刺激性下剤で得た情報を羅列しときます。(主に参考は、慢性便秘の治療 ―大腸刺激性下剤の種類と その使い方― 2019)
・アントラキノン系薬剤は、妊婦においては子宮収縮を誘発し、流早産の危険性もあり、大量に投与しないように注意が必要
・授乳婦に対して投与した例では、乳児に下痢がみられたとの報告もあり、授乳を避けることが望ましい
→ただしこれに対しては、「国立成育医療研究センターの授乳中に安全に使用できると考えられる薬」にセンノシドは含まれるため、筆者は授乳婦さんに薬が出ても止めないかな。特にセンノシドは血中に吸収されないと思いますので。
・筆者が認識していなかった副作用の例として、電解質異常(低カリウム血症、低ナトリウム血症など)や過度の攣縮のため虚血性腸炎などがある。