糖尿病治療薬を詳しく勉強したい薬剤師・薬学部生向けに
・糖尿病治療のエッセンス 2022年版
・糖尿病診療ガイドライン(以下ガイドライン)
を参考に糖尿病治療薬の情報をまとめています。
今回はインスリン療法になります
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メルカリへのリンクはコチラインスリン療法の適応
インスリン療法は絶対的適応と相対的適応がある。
・1型糖尿病など生存のために必要な場合
・重症感染症や外傷
・中等度以上の外科手術時
・薬物療法の必要な糖尿病合併妊婦
などが絶対的適応であり、
2型糖尿病であっても著明な高血糖(空腹時血糖値が250mg/dL以上、随時血糖値が350mg/dL以上)がみられる場合や経口血糖降下薬で良好な血糖コントロールが得られない場合などが相対的適応である。
インスリン製剤の種類
インスリンには
・ペン型注入器に装着して使用するカートリッジ製剤、
・製剤・注入器一体型のキット製剤、
・バイアル製剤
がある。
インスリン製剤は大きく分けて以下の表に示すように6種類がある。
ちなみにはその他の簡単な分類の見分け方は、
「R」が付いたら、速効型!
「N」がついたら、中間型!
「数字」があれば、中間型+(超)速効型の混合製剤!
あわせて、中間型(を含む混合製剤も)は、手技として転倒混和が必要となる。
また、インスリンとGLP-1受容体作動薬が配合された製剤も販売されている
なお、専門施設では、注射器を用いない持続皮下注入ポンプによるインスリン療法も広く行われている。
持続皮下注入ポンプによるインスリン療法(CSII)とは?
持続皮下インスリン注入療法(CSII)は、小型のポンプにより持続的にインスリンを皮下注入して血糖コントロールを行う治療法です。このポンプをインスリンポンプと言い、皮下に留置したカニューレという細い管を通して自動的にインスリンが注入されます。
インスリンポンプでは、(超)速効型インスリンを基礎インスリンとして24時間持続的に注入するとともに、食事に合わせて単位調節しながら追加インスリンをボタン操作で注入することができます。(ちなみに、追加インスリンのことを専門用語で「ボーラス」といいます。)
※使用されるのはインスリンのバイアル製剤です。
ちなみに、一度インスリンポンプの使い方をみておくと、すごく参考になるので一つ使い方のリンクをはっておきます。
「はじめてみよう!インスリンポンプ」
https://www.medtronic-dm.jp/620g/pdf/download/22_150903S.pdf
さらに、CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続血糖測定:お腹などの皮下組織に専用のセンサを装着し、 連続的に皮下のグルコース(ブドウ糖)濃度を記録する検査方法)を搭載したインスリンポンプ(SAP)療法というものもあり、血糖日内変動に合わせたリアルタイムの対応や、低血糖の予防などきめ細かい血糖コントロールが可能となっています。
インスリン療法の実際
健常者では常に少量のインスリンが分泌されており、これを基礎インスリン分泌と呼び、食事をすることによって起こるインスリンの分泌を追加インスリン分泌と呼ぶ。インスリン分泌が枯渇した患者では、インスリン製剤を組み合わせて、できるだけ健常者のインスリン分泌パターンに近づくように治療を行う。
インスリン分泌が枯渇していない患者では、個々の血糖変動のパターンに従って、食前・食後血糖の両方が低下するように、基礎または/および追加インスリンの補充を行う。
1型糖尿病患者のような内因性インスリン分泌が枯渇した患者では、例え食事がとれなくても基礎インスリン補充のためのインスリン注射は決して中断してはいけない。
2型糖尿病患者で、経口血糖降下薬を併用しても十分な血糖コントロールが得られずにインスリン療法への移行を考慮する際には、経口血糖降下薬を使用したまま、基礎インスリンを補充する方法がある。基礎インスリンは体重1kgあたり0.1単位前後から開始し、血糖自己測定(SMBG)によって得られた空腹時の血糖値をモニターしながら用量を調節する。インスリン療法を開始し、血糖コントロールが安定してきたら経口血糖降下薬の減量も考慮する。また、複数の経口薬を併用している場合は、一部の薬剤の中止も検討する。
基礎インスリン補充療法は持効型溶解インスリンを用いて行うことが多く、添付文書の用法に従って、朝食前、夕食前、就寝前などに1日1回投与する。基礎インスリン補充療法だけでは、食後の高血糖が十分に抑制されない場合、GLP-1受容体作動薬の併用や速効型あるいは超速効型インスリンを用いた追加インスリン補充療法を考慮する。
病態や血糖変動パターンによっては、基礎インスリンの補充療法なしに、追加インスリン
補充療法のみを行うこともある。
複数回のインスリン注射によってインスリン療法が行われている場合、インスリン投与量の調節は、その時点の血糖値に影響を及ぼしている「責任インスリン」を増減する。例えば夕食前の血糖値が高いときは、その前に注射したインスリン(昼に注射した超速効型インスリン、ないしは速効型インスリン、ないしは朝の混合型インスリンなど)が少ないためかどうかを判断し、用量を調節する。投与されているインスリン量の増減は、1~2単位程度にとどめ、血糖のコントロール状況をモニターしながら時間をかけて調節する。
SMBGを行う際には、各食前・食後、就寝時の7ポイントから、「責任インスリン」の概念をもとにインスリン投与量の決定に重要なポイントを1日1~3回測定する。血糖推移の把握のために24時間持続血糖モニター(CGM)が使われることもある。
インスリンは腹部に打つことが一般的であるが、大腿、上腕、臀部などに打つ場合もある。同一部位に継続して注射すると皮下に硬結ができて吸収が悪くなるので、前回の注射部位から2cm程度離して重ならないように注射する。