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速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) 特徴まとめ

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糖尿病治療薬を詳しく勉強したい薬剤師・薬学部生向けに
糖尿病標準診療マニュアル2022(以下マニュアル)
糖尿病診療ガイドライン(以下ガイドライン)
を参考に糖尿病治療薬の情報をまとめています。

今回は速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)になります。


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速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)の特徴

成分として
ナテグリニド(商:ファステック、スターシス):透析患者禁忌
ミチグリニド(商:グルファスト):透析患者は慎重投与
レパグリニド(商:シュアポスト):透析患者は慎重投与
などがある。

SU薬と同様にβ細胞のSU受容体を介してインスリン分泌を促進するが、SU薬に比べて作用発現時間が速く、作用持続時間は短い(3~4時間)ため、一般に常用量での相対力価は弱い。その機序から、SU薬とは併用しない

1型糖尿病や膵疾患に伴う糖尿病など、β細胞機能が高度に低下した症例では使用してはならない。

食後高血糖がみられる患者に、特に適した薬物である。

食後に服用すると吸収が阻害されて効果が十分に得られず、また食前30分では低血糖の危険性が増すため、食直前の服用が必要である。

●日本ではナテグリニドとミチグリニドが使用されてきたが、2011年から使用可能になったレパグリニドは、海外の報告によると増量によりSU薬と同等のHbA1c低下効果を示すとの報告がある。

●日本でのナテグリニドとの比較試験において、HbA1c低下効果はレパグリニドが有意に大きかった。この効果には、食後血糖改善に加えて食前血糖の低下効果が寄与したと考えられている。

グリニド薬は副作用として低血糖が起こりうるが、SU薬より頻度は少ない。しかし、肝・腎障害のある患者では低血糖リスクが高まるため慎重に使用する。透析患者にはナテグリニドは禁忌、ミチグリニドとレパグリニドは慎重投与となっている。

レパグリニドはナテグリニドより効果の面でも優秀で、透析患者でも慎重投与ではあるが使用できるため優秀。それもあってか臨床現場ではよく見ます(というか、ナテグリドをみない)

各速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)の基本情報

ミチグリニド(商:グルファスト)添付文書抜粋

効能又は効果

2型糖尿病

効能又は効果に関連する注意

●本剤の適用においては、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
●本剤を投与する際は、空腹時血糖が126mg/dL以上、又は食後血糖1又は2時間値が200mg/dL以上を示す場合に限る。

用法及び用量

通常、成人にはミチグリニドカルシウム水和物として1回10mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。

用法及び用量に関連する注意

●本剤は、食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱する。効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食直前(5分以内)とすること。また、本剤は投与後速やかに薬効を発現するため、食前30分投与では食前15分に血中インスリン値が上昇し食事開始時の血糖値が低下することが報告されており、食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
●高齢者では、状況に応じて低用量(1回量5mg)から投与を開始することが望ましい

レパグリニド(商:シュアポスト) 添付文書抜粋

効能又は効果

2型糖尿病

効能又は効果に関連する注意

●本剤の適用においては、糖尿病治療の基本である食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。
●本剤を投与する際は、空腹時血糖が126mg/dL以上、又は食後血糖1時間値又は2時間値が200mg/dL以上を示す場合に限る。

用法及び用量

通常、成人にはレパグリニドとして1回0.25mgより開始し、1日3回毎食直前に経口投与する。維持用量は通常1回0.25~0.5mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1回量を1mgまで増量することができる。

用法及び用量に関連する注意

●本剤は食後投与では速やかな吸収が得られず効果が減弱する。効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の投与は毎食直前(10分以内)とすること。また、本剤は投与後速やかに薬効を発現するため、食事の30分以上前の投与では食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。
●重度の肝機能障害のある患者には低用量(1回0.125mg)から投与を開始するなど、慎重に投与すること。

同じグリニド薬でも、ミチグリニドとレパグリニドを比較すると、レパグリニドは用法・用量に上限があったり、食直前は10分前と定義されていたりと細かい違いがある。

参考

糖尿病診療ガイドライン2019(http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-05.pdf

糖尿病標準診療マニュアル2022 一般診療所・クリニック向け
https://human-data.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/DMmanual_18.pdf

グルファスト錠5mg/10mg 添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3969008F1029_1_22/

シュアポスト錠0.25mg/0.5mg 添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3969013F1020_1_15/