ビラノア錠20mg（成分名：ビラスチン）は1日１回空腹時にのむ薬です。
薬の服用において「空腹時」というのは「食事の1時間以上前、食事の2時間以上後」です。
しかし、多くの薬は食後に飲むことを指示されるため、誤ってビラノアを食後に飲んでしまうことがあるかもしれません。
そこで今回は、「ビラノアを食後に飲んでしまった」場合について考えたいと思います。
結論としては、
食後服用でも多少の効果は得られるため、症状が辛くなければ基本的には飲みなおしの必要はなく、翌日から空腹時に服用してください。
ただし、症状が辛い場合には、空腹時にビラノア20mgをもう1錠飲みなおしても大きな問題になる可能性は低いので、空腹時にもう1錠飲んでもいいと思います。
ビラノアを食後に飲むとどうなる？
ビラノアは高脂肪食の食後に飲んだ場合、空腹時に比べてAUC0-tが約40%、Cmaxが約60%低下することが確認されております。
AUCとは、体内に取り込まれた薬の量を示す指標の一つ
Cmaxとは、薬が血の中で一番濃くなった時の濃度
です。
簡単に言うと、ビラノアを食後に飲むと、体に吸収される量が少なくなってしまい、空腹時に飲むより効果が減ってしまう可能性があります。
食後に服用してしまったビラノアは効果あるの？
これに関しては、食後服用の効果を試した臨床試験はないので正確なことは不明です。
そのため、ここからは推測になります。
まず、上に記載した通りビラノア20mgを食後服用したら空腹時と比べると吸収が大体半分くらいなります。
また、ビラノア10mgを空腹時に服用したら臨床試験（10055020試験）では以下の結果でした。
薬を投与して0～３時間時点と２２～２３時間時点において、無治療（プラセボ）と比べてビラノア10mgはスギ花粉曝露による総合鼻症状（鼻汁、くしゃみ、鼻閉、鼻のかゆみなど）を改善しています。
一方で（薬力学的試験：単回投与試験）、ビラノア20mgの効果は24時間持続したが、ビラノア10mgの効果は24時間持続しなかったという結果もあります。
食後にビラノア20mgを服用するのと、空腹時にビラノア10mgを服用するのとでは、薬物動態（体に吸収される量や排出される時間など）は全く同じという訳ではないですが、ビラノア20mgを食後に服用しても多少の効果は得られると思われます。
参考：ビラノアの薬物動態のパラメーター
| Cmax | AUC0-t | ｔ1/2 | |
| ビラノア10ｍｇ空腹時 | 153.13 | 707.6 | 1.4 |
| ビラノア20mg空腹時 | 274.87 | 1366.2 | 1.4 |
| Cmax | AUC0-t | t1/2 | |
| ビラノア20mg空腹時 | 277.86 | 1283.53 | 1.03 |
| ビラノア20mg食後 | 120.18 | 770.59 | 3.03 |
ビラノアを食後に飲んだらどうすればいい？
まず、薬剤師として無難な回答をすると、
「１日1回の薬であること、食後服用でも多少効果は出ると思われること、使用目的がアレルギー性鼻炎や蕁麻疹などであることを考慮すると、症状が辛くなければ基本的には飲みなおしの必要はなく、明日から空腹時服用を守ってください」となります。
もしもビラノア食後服用後に症状が辛い場合
ただし、ビラノアに関しては50mgまで忍容性が確認されています。
（副作用は、
単回20mg投与で９例中２例：浮動性めまい2例、
単回50mg投与で９例中１例：下痢１例、
14日間20mg投与で９例中２例：下痢１例、口内炎１例（有害事象による中止：胃腸炎１例あり）
14日間50mg投与で９例中２例：舌炎、鼻出血、湿疹各１例
14日間プラセボで６例中１例：下痢、湿疹各１例
です。
そのため、ビラノア20mgを食後に服用し、その2時間後（空腹時）にもう20mg1錠を服用しても大きな問題になる可能性は低く、症状が辛い場合には空腹時に1錠飲みなおしてもいいと思います。
