脂質異常症などの生活習慣病に関して、肥満傾向であるなら標準体重を目指して減量する必要があると言われています。
では食事量を具体的にどの程度にするべきなのか?患者さんに提示するのはなかなか難しいと思います。
今回は、食事量をどの程度減量すべきなのか調査したのでその内容をまとめます。
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メルカリへのリンクはコチラ【最終的な目標食事量の算出】
最終的な目標食事量を算出するのに便利な式を「日本人の食事摂取基準(2015年版策定検討会)報告書 各論 エネルギー」で見つけました。
ΔW=0.712×ΔE
ΔW:体重(kg)の変化を初期値からの変化の割合で表現したもの(%)
ΔE::エネルギー 消費量(kJ/日)の変化を初期値からの変化の割合で表現したもの(%)
この式を使って、BMIが30の人が、標準BMIである22に減量するために食事量をどの程度減らすべきなのか算出したいと思います。
BMIは体重/身長/身長であるため、ΔWをΔBMIに置き換えても上記式は成り立ちます。
(30-22)/30×100=0.712×ΔE
ΔE=8/30×100/0.712=37.45%
以上より、BMI30の人がBMI22に落とすには、理論的には食事量を約37.45%ほど減らす必要があります。
(別の言い方をすると、今の食事量から62.55%にするということです。)
以下にBMI毎の目標食事制限率(今の食事量から何%減らすべきかの目安)早見表を載せておきます。
【減量しすぎも注意:1ヶ月で減量するべきペース】
減量は急激にではなく、1か月間で現在の体重の5%の減量から始めるべきであると言われています。
それでは体重5%減らすのに、必要な食事量の減少はいくつなのか?
5%=0.712×ΔE
ΔE=5%/0.712=約7.02%
この式は、いつか体重が5%減量するための食事量変化量の式なので、このペースなら1カ月で5%以上の減量が起きる可能性は低いと思います。
さらに別の考え方で、1ヶ月の食事減少量を考えたいと思います。
「日本人の食事摂取基準(2015年版策定検討会)報告書 各論 エネルギー」では、4ヶ月でおよそ最終的な減量の半分強の効果が得られると言われています。
先ほどのBMI30の人がBMI22に減量するために食事量を約37.45%ほど減らすのが目標という話をしましたが、4ヶ月ではおよそBMI26になることが予測されます。
この時に体重の減少量は4/30×100=13.3%
4ヶ月間は比例的に減量すると仮定すると(おそらくは初めの1カ月の方が減量ペースは速いと思われますが情報がないため)、1か月間の減量ペースは約3.33%となり、5%未満となるため、BMI30の人がいきなり食事量を約37.45%ほど減らしても安全に食事制限をする許容範囲と思われます。
ではBMIいくつの人が、いきなり目標食事量で食事制限を始めると許容範囲を超えてしまうのかしっておきたいと思います。
4ヶ月の減量ペースが20%となるのが境目なので、目標減量が40%となる場合。
ΔBMI=40%
(現状BMI-22)/現状BMI×100=40
(1-0.4)・現状BMI=22
現状BMI=36.66・・
つまりBMIが36.6を超える場合は、食事量を段階的に減らす必要があると思われます。
ちなみにその際の目標食事量制限率は
ΔE=(現状食事量-目標食事量)/現状食事量=約56.18%
いきなり56%以上の食事制限を行うことは危険と思われます。
ただし、今回の計算では、
「4か月間で目標減量の半分強の効果が得られる→計算上では半分の効果で計算」したり「4か月間は比例的に減量すると仮定」しているので、より安全性を考慮するとBMI36以上の人でもいきなり40%を超えた食事制限はしない方がよいかもしれません。
参考:
脂質異常症の食事療法((社)日本栄養士会全国病院栄養士協議会)
https://www.dietitian.or.jp/data/guide/eiyo-kanri-leaflet-H23.pdf
脂質異常症(日本臨床内科医会)
http://www.japha.jp/doc/byoki/020.pdf
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2015年版策定検討会)報告書 各論 エネルギー
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083871.pdf
国立循環器病研究センターHP 脂質異常症といわれたら
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/obesity/pamph85.html#s4