糖尿病治療薬を詳しく勉強したい薬剤師・薬学部生向けに
・糖尿病標準診療マニュアル2022(以下マニュアル)
・糖尿病診療ガイドライン(以下ガイドライン)
を参考に糖尿病治療薬の情報をまとめています。
今回はビグアナイド薬になります。
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成分として
・メトホルミン(商:メトグルコ、グリコラン)
・ブホルミン
などがある。
●肝臓からのブドウ糖放出の抑制および筋肉を中心とした末梢組織でのインスリン感受性を高める作用を有している。
●SU薬やチアゾリジン薬と同等あるいはそれ以上の血糖降下作用を示すが、単剤では低血糖を起こしにくく、また体重も増えにくいという利点がある。
●TG(triglyceride)やLDL-C(low-densitylipoproteincholesterol)を低下させる効果も認められている。
メトホルミン 特徴まとめ
ここからは、ビグアナイド薬のなかでも主に使用されるメトホルミンについてまとめていきたいと思います。
用法・用量
※2型糖尿病部分のみ抜粋
・通常、成人にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、通常1日750~1,500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2,250mg
・通常、10歳以上の小児にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、通常1日500~1,500mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日最高投与量は2,000mgまでとする。
ちなみに、グリコラン錠は1日最高投与量が750mgです。
一般名ではメトグルコ錠ではメトホルミンMTと記載され、グリコラン錠ではメトホルミンGLと記載され、明確に分けられています。
2019年6月には添付文書が改訂され,eGFRごとのメトホルミン最高用量の目安が示された(45≦eGFR<60;1,500mg,30≦eGFR<45;750mg)。さらに、eGFRが30~60(mL/分/1.73m2)の患者では、ヨード造影剤検査の前あるいは造影時にメトホルミンを中止して48時間後にeGFRを再評価して再開することが推奨されている
特徴
●肥満2型糖尿病患者に対する大血管症抑制のエビデンスがある。
※大血管症とは脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、腹部大動脈瘤等、文字通り太い血管が詰まったり、破れたりすることから起こる疾患のこと
(参考:医療法人慈恵会グループHP:https://www.jmks-med.or.jp/column/%e7%b3%96%e5%b0%bf%e7%97%85%e5%a4%a7%e8%a1%80%e7%ae%a1%e7%97%87/)
●経済性にも優れるため、欧米の主要なガイドラインの第一選択薬として推奨されている。
●中国でもメトホルミンの心血管イベント抑制作用が報告された
●日本人においても十分な血糖改善効果が認められ、また日本人対象の観察研究で心血管イベントが有意に抑制される可能性が示唆されている。
●メトホルミンは用量依存性に効果を発揮することが知られている.
●少量から開始して徐々に増量することで、副作用として出現することのある胃腸障害による治療中断を避けることができる。
※メトグルコの添付文書において消化器系の副作用で報告が多いのは、
下痢(40.5%)、悪心(15.4%)、食欲不振(11.8%)、腹痛(11.5%)である。
●まれに重篤な乳酸アシドーシスを起こる危険があるため全身状態が悪い患者には投与しないことを大前提とし、
・eGFRが30(mL/分/1.73㎡)未満
・透析患者
・脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
・過度のアルコール摂取者
・高度の心血管・肺機能障害のある患者
・外科手術前後の患者→休薬は手術当日+前後2日間(計5日間)
参考:http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/pdf/syujyutsuki_cyuushiyaku_ichiran.pdf
への投与は禁忌とされている。
●メトホルミンを長期に使用するとビタミンB12が不足する場合がある。抹消神経障害や貧血を認める患者では注意が必要である。
参考資料
糖尿病診療ガイドライン2019(http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-05.pdf)
糖尿病標準診療マニュアル2022 一般診療所・クリニック向け
(https://human-data.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/DMmanual_18.pdf)
メトグルコ錠 添付文書
(https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3962002F2027_1_21/)