ベセルナクリーム5%(一般名:イミキモド)は、用法に多くの特徴があり、疑問もあったので今回記事にしました。
暗記が苦手な薬学部生にみてほしい。
薬学部では勉強量が多く時間が足りないと感じることが多い
でしょう。ゴロはキーワードに強引に意味を与えるので、ハマれば暗記も早いし忘れにくい。
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効能・効果
適応のある効能効果は以下の2つです
●尖圭(せんけい)コンジローマ(外性器又は肛門周囲に限る)
●日光角化症(顔面又は禿頭(とくとう)部に限る)
この2つの病気について簡単にまとめておきます。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス6、11型などが原因となるウイルス性性感染症で、生殖器とその周辺に発症する。ピンク色ないし褐色の刺々しく角化した隆起性病変が特徴的(乳頭状、鶏冠状あるいはカリフラワー状などと表現される)。
参考:NIID国立感染症研究所 尖圭コンジローマとは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/428-condyloma-intro.html
日光角化症
日光(紫外線)を浴び続けることによって発症する皮膚疾患。とくに紫外線ダメージが蓄積した60歳以上の方で多く認められる。
症状としては、紅斑、皮膚表面のカサカサ、色素沈着、疣状(ゆうじょう:皮膚表面が角化し、イボのような皮疹がみられる)がある。
参考:
シミと日光角化症(持田製薬株式会社)
http://www.mochida.co.jp/nikko-kakukasho/about/
用法・用量
治療部位に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布する。塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用い、水又は温水で洗い流す。
[以下は日光角化症のみ]
4週間塗布後、4週間休薬し、病変が消失した場合は終了とし、効果不十分の場合はさらに4週間塗布する。
(ちなみに、追加の4週間で効果が得られなった場合には、さらなるベセルナクリームの塗布を行わず、他の治療法に切りかえる)
なぜ隔日の週3回なのか?
持田製薬株式会社さんのベセルナクリーム5%の製品Q&Aホームページに以下の記載があります。
尖圭コンジローマに対する海外の臨床試験で、塗布部位の皮膚障害及び重度の皮膚障害の発現率が週3 回塗布した試験に比べ連日塗布した試験で高いことから、塗布頻度の増加により、塗布部位の皮膚障害及び重度の皮膚障害の発現頻度が高まると考えら。なお、疣贅完全消失率は海外での報告によると週3 回塗布で50 %、連日塗布で52 %であった。
以上より、国内における本剤の用法・用量は安全性を重視し海外と同様、「1日1 回、週3回」としました。
どうやら、週3回と比較して、連日使用しても治療効果は大して上がらないのに副作用が増えると思われるから、この用法のようですね。
週3回の隔日使用でも副作用は多い
これを調べた時に週3回塗布試験でも副作用が多かったので、添付文書上の副作用をまとめておきます。
尖圭コンジローマの国内臨床試験において本剤を使用した64例中、53例(82.8%)に副作用が認められている。その主なものは紅斑(54.7%)、びらん(34.4%)、表皮剥離(32.8%)、浮腫(17.2%)等の塗布部位の皮膚障害及び疼痛(28.1%)等の塗布部位反応であった。
日光角化症の国内臨床試験において週3回本剤を使用した63例中、57例(90.5%)に副作用が認められている。その主なものは紅斑(68.3%)、痂皮(57.1%)、浮腫(46.0%)、落屑/乾燥(44.4%)、びらん/潰瘍(44.4%)、湿潤/滲出(39.7%)等の塗布部位の皮膚障害及びそう痒感(27.0%)等の塗布部位反応であった。
紅斑は二人に一人は起きると考えると皮膚障害の可能性は高いと思われます。
よって副作用が出た時の対応方法を指導するのは大切です。
皮膚障害が出た時の指導箋の対応内容は以下にまとめます(少し内容を割愛・省略しています)、
お薬をぬると、ぬった部分やその周辺に皮膚障害が高い頻度であらわれることがあります。皮膚障害の症状が強い場合は、お薬を石けんと水やお湯で洗い流し、すぐに医師等にご相談ください。
使い忘れた場合の対応方法
これも持田製薬株式会社さんのベセルナクリーム5%の製品Q&Aホームページに記載がありました。
使い忘れた場合、次の日の就寝前に使用してください。その後2日連続で使用しないよう注意してください
なぜ就寝前なのか?
これも持田製薬株式会社さんのベセルナクリーム5%の製品Q&Aホームページに記載がありました。
個人的に勉強になったのは、各病気によって理由が異なることです。それぞれの病気でそれぞれの理由を説明必要があるので今回まとめていて本当に良かったです。
●「尖圭コンジローマ」
尖圭コンジローマの場合、日中の活動期に塗布すると、本剤がクリーム剤で伸展性が良いために尿道や腟口など近隣の粘膜組織に付着する可能性が高くなることが危惧されます。こういったことから、最も活動性が低いと考えられる就寝前に塗布と設定されています。
●「日光角化症」
本剤では光線過敏性反応が発生することが知られており、塗布部の光線過敏症の副作用を防ぐ意味で、就寝前に塗布と設定されています。
起床後に薬剤を洗い流す理由
これは添付文書に記載があります。
本剤塗布後6〜10時間を目安に必ず洗い流すこと。(塗布時間の延長により、重度の皮膚障害があらわれやすくなる。)
ベセルナクリームは副作用の発現率が高いため、患者さんにはその旨と適切な使用方法を説明し、理解してもらうのが重要と思われます。
参考:
ベセルナクリーム5%の製品Q&A
http://www.mochida.co.jp/dis/qa/bes-h.html
ベセルナクリーム5% 添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6290701N1028_1_06/
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