今回は出荷調整で対応を苦しめられたウロカルン(成分名:ウラジロガシエキス)についての記事です。
処方箋がきたら、不足分を集める対応を何度かしたのですが、「集まらなさすぎて業務効率が悪い!」と感じました。
代替薬への変更疑義で対応するしかないと考え、調査したので、その内容をまとめます。
暗記が苦手な薬学部生にみてほしい。
薬学部では勉強量が多く時間が足りないと感じることが多い
でしょう。ゴロはキーワードに強引に意味を与えるので、ハマれば暗記も早いし忘れにくい。
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「限定出荷に関するお詫びとお知らせ」での記載
日本新薬株式会社さんからの「ウロカルン錠225mgの限定出荷に関するお詫びとお知らせ」では、残念ながら代替医薬品の欄にて
同一成分:なし
同効薬:なし
と記載があるだけでした。
そこでウロカルン錠の効能又は効果は、「腎結石・尿管結石の排出促進」なので
同じ目的で使用される薬剤がないか調査しました。
ガイドラインの記載と筆者の見解
調べたのは「尿路結石症診療ガイドライン 2023年版 第3版」(以下ガイドライン)です。
ガイドラインには以下の記載がありました。
・1970年代より結石の排石促進目的にウラジロガシエキスや漢方製剤などが使用されてきた。これらの薬剤は尿路結石症に適応があるが、その結果についてエビデンスレベルの高い報告はなく、排石促進効果の正確な評価は困難であるが、その効果を否定するものではない。
・MET(薬剤による排石促進療法)に使用される漢方製剤として猪苓湯と記載あり。
・ウラジロガシエキスおよび猪苓湯どちらも保険適応ありとされている。
個人的な解釈になりますが、「どちらの薬も保険適応はあるため効果を否定はしないけど、エビデンスレベルの高い報告はなかったよ」ということかな。
それなら、医師もウロカルンに強くこだわらなさそう・・比較的安定してお渡しできる猪苓湯を提案する価値はありそうだと思いました。
エビデンスと推奨について評価が得られた薬もあるけど・・
ちなみにガイドラインではには、以下の記載がある。
・結石の排出促進を目的とした薬物はα1受容体遮断薬で報告が多く、そのなかでもタムスロシンのみ比較的質の高いエビデンス報告が多い。(中略)また、α1受容体遮断薬は結石の排出促進を目的とした保険適応がないため、患者からインフォームドコンセントを得る必要がある。
ガイドラインにおいて、「結石の排出促進を目的として、α1受容体遮断薬の投与を実施することを条件付きで推奨」しているが、尿路結石の保険適応はない。
そのためα1受容体遮断薬を保険適応ありのウロカルン錠の代替薬として、調剤薬局の薬剤師から変更を提案するのは適切ではないと思われます。
ただし、薬剤師としてα1受容体遮断薬が尿路結石で使用される可能性があることを知っておくことは重要と思われます。
ウロカルン錠と猪苓湯に効果に差はないか?
ガイドラインにおいてエビデンスレベルの高い報告はないとあるが、それでも参考情報として各効果を比較した報告があるので紹介します。
文献は「尿管結石の自然排出について とくにツムラ猪苓湯の影響についての検討」で、以下のような旨の記載があります。
・(猪苓湯は)ウロカルンよりも排石に要する期間がかかることを示しているものの、まったく有意な差はない。
・現在一般的に使用されている薬剤の効果とくらべてツムラ猪苓湯の効果は遜色ない有効なものである。
・最長245日にもわたり、このツムラ猪苓湯を与えたが、長期間の投与にもかかわらず各症例とも特記すべき副作用は認められなかった。(ちなみに症例数は60例)
この文献だけで結論づけるのは良くないのかもしれませんが、感覚的には猪苓湯は安全性も高そうだし、効果もウロカルンと差がなさそう(ガイドライン的には評価できる報告もなさそう)。
そのため、ウロカルン錠の在庫がなく患者に提供困難な場合には、ウロカルン錠の代替薬として猪苓湯を提案する価値はありそう。
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