抗不安薬を数種類飲んでいる患者さんから、調整するにあたって目安があれば教えてほしいという質問があったので、比較の目安となる情報をまとめました。
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ベンゾジアゼピン系抗不安薬は作用時間の長さによって「短時間型」「中間型」「長時間型」「超長時間型」の4つに分類されます。
成分と作用時間により分類は以下の通りです。
成分名 | 商品名 | |
短時間型 | クロチアゼパム | リーゼ |
エチゾラム | デパス | |
フルタゾラム | コレミナール | |
中間型 | アルプラゾラム | コンスタン ソラナックス |
ロラゼパム | ワイパックス | |
ブロマゼパム | レキソタン セニラン | |
長時間型 | ジアゼパム | セルシン |
クロキサゾラム | セパゾン | |
フルジアゼパム | エリスパン | |
クロルジアゼポキシド | コントール バランス | |
オキサゾラム | セレナール | |
メダゼパム | レスミット | |
メキサゾラム | メレックス | |
クロラゼプ酸二カリウム | メンドン | |
超長時間型 | ロフラゼプ酸エチル | メイラックス |
フルトプラゼパム | レスタス |
※赤字は、筆者の経験上よく処方されている薬です。
作用時間の短い成分のほうが、依存性を形成するリスクが高いといわれており、終日不安となる場合には長時間型を使用する。一方で、短時間型の薬物は発作を止めたり苦手な状況にさらされる時などの頓用に適している。【参考:今日の治療薬2018】
もし、患者さんが薬を調整したい場合には、(医師との相談が前提であるが)減量は短時間型からが望ましいと思われます。また、短時間型の回数を増やして調整している患者さんには、短時間の回数を増やすのではなく長時間型を強くする旨を医師に提案するのが良いと思われます
また、以前にそれぞれの作用時間型のメリット・デメリットをまとめたものも載せておきます。
離脱症状は、不眠、不安、焦燥感、頭痛、嘔気・嘔吐、 せん妄、振戦、痙攣発作など。
持ち越し効果は、薬物が体内に蓄積し、翌日まで眠気や中枢抑制作用が持ち越されることです。
ジアゼパム換算量による比較
それぞれの不安障害に対する治療効果を、ジアゼパムに換算した量です。
(注意:厳密には副作用などの評価ではないですが、参考にはなると筆者は考えています。)
成分名 | 商品名 | 錠剤の最小規格 | 最小規格の ジアゼパム換算量 |
|
短時間型 | クロチアゼパム | リーゼ | 5mg | 2.5mg |
エチゾラム | デパス | 0.25mg | 0.83mg | |
フルタゾラム | コレミナール | 4mg | 1.33mg | |
中間型 | アルプラゾラム | コンスタン ソラナックス |
0.4mg | 2.5mg |
ロラゼパム | ワイパックス | 0.5mg | 2.08mg | |
ブロマゼパム | レキソタン セニラン |
1mg | 2mg | |
長時間型 | ジアゼパム | セルシン | 2mg | 2mg |
クロキサゾラム | セパゾン | 1mg | 3.33mg | |
フルジアゼパム | エリスパン | 0.25mg | 2.5mg | |
クロルジアゼポキシド | コントール バランス |
5mg | 2.5mg | |
オキサゾラム | セレナール | 5mg | 1.25mg | |
メダゼパム | レスミット | 2mg | 1mg | |
メキサゾラム | メレックス | 0.5mg | 1.5mg | |
クロラゼプ酸二カリウム | メンドン | 7.5mg | 5mg | |
超長時間型 | ロフラゼプ酸エチル | メイラックス | 1mg | 2.99mg |
フルトプラゼパム | レスタス | 2mg | 5.99mg |
処方された薬のジアゼパム換算量を計算した場合には
投与量/錠剤の最小規格×錠剤最小規格のジアゼパム換算量で計算できます。
(複数ある場合には、各ジアゼパム換算量を足して合計してください。)
なお、ジアゼパム換算量として10mg/日や15mg/日におさえるべき旨をネット上ではみかけましたが、書籍や公的文書では見つけられておりません。
見つけられ次第、記事を更新したいと思います。
なお、ジアゼパム換算量の計算ツールとして、
全国ベンゾジアゼピン薬害連絡協議会のHPに「主なベンゾジアゼピン系薬物の処方力価の換算表」があるのでリンクを貼っておきます。
各成分の特徴
また、各成分の特徴をまとめます。【参考:今日の治療薬2018】
・ロラゼパム(商:ワイパックス):
P450 に関わらずグルクロン酸抱合されるため、薬物相互作用が少ない。よって、肝疾患や他剤併用している患者に使用しやすい。
・エチゾラム(商:デパス)、ジアゼパム(商:セルシン):
筋弛緩作用も強く、緊張型頭痛や肩こりにも使用される。
・アルプラゾラム(商:ソラナックス、コンスタン)、クロナゼパム(商:リボトリール、ランドセン):
パニック発作が強い場合に使用される。
参考
・今日の治療薬2018
向精神薬の等価換算(2017年版)
http://jsprs.org/toukakansan/2017ver/antianxiety-hypnotic.php