今回はモンテルカスト(商:キプレス、シングレア)やレボセチリジン(商:ザイザル)がよく処方されており、どうして就寝前なのだろうか疑問に思ったので、それらの就寝前服用の理由を調査したいと思います。
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モンテルカストが就寝前服用の理由
キプレスやシングレアのインタビューフォーム(以下:IF)には以下のような記載があります。
<IF記載内容抜粋>
・喘息の症状は早朝に最も悪化することから、早朝の血漿中薬物濃度を高く維持するために就寝前投与とした。
・アレルギー性鼻炎患者は喘息を合併する率が非アレルギー性鼻炎患者より高いため。第Ⅱ相試験において喘息患者に対する用法と同様に就寝前とし(た)
IF内容によると、症状をより抑えることを期待して就寝前服用にしていると思われます。
モンテルカストの食後服用について
保険適用上の用法は「就寝前」です。しかし、夕食後で処方されていることも多いため、夕食後服用について考えたいと思います。
情報が長いので結論から書きますが「モンテルカストの夕食後の服用は問題なし」と筆者は判断しました。
まず、食事の影響について調べました。(参考:キプレス錠 インタビューフォーム)
<モンテルカストフィルムコーティング錠10mg>
国内の臨床試験で空腹時及び食後経口投与したとき、 Cmax及びAUC0-∞は食後投与により各々1.24 倍増加し、いずれも有意差が認められた。
海外臨床試験でも検討されており、軽食摂取後のCmax及びAUCは各空腹時の0.95 倍及び 0.99倍となり、いずれにおいても有意差は認められなかった。
<モンテルカストチュアブル錠5mg>
海外の臨床試験では、モンテルカストチュアブル錠5mgを食後投与することにより空腹時に比べてTmaxは2.3±0.9時間から4.0±1.9時間に遅延した。また、Cmaxは 488±66ng/mLから256±82ng/mLに48%減少し、AUC0-∞は 2730± 743ng・hr/mL から 2386±498ng・hr/mLに13%減少した。
<モンテルカスト細粒剤4mg>
モンテルカスト細粒剤4mgを食後(和食)単回経口投与したとき、空腹時に比べてTmax(平均)は1.6 時間から5.0時間に延長し、Cmax(平均)は251.6ng/mLから154.2ng/mL に39%減少した。AUC0-∞は空腹時 1449.1ng・hr/mL 及び食後 1444.9ng・hr/mLであった。
海外では、モンテルカスト細粒剤4mgをアップルソースとともに単回経口投与したとき、本剤単独投与時に比べてTmax(平均)は2.1 時間から3.4 時間に遅延した。単独投与時及びアップルソース併用投与時のCmax(平均)はそれぞれ198.8ng/mL及び182.8ng/mL、AUC0-∞(平均)は1223.1ng・hr/mL 及び1225.7ng・hr/mL であった。
これだけを見ると、モンテルカスト錠10mgでは食後で吸収量は増えているし、モンテルカストチュアブル錠5mgでは吸収量は落ちており、モンテルカスト細粒4mgでは国内の試験ではCmaxは落ちている。これは食事の影響を受けているのでは・・と印象を受けました。
しかし、上記の剤形の「適用上の注意」には「食事の有無にかかわらず投与できる」ことが記載されている。
その理由としては、
<モンテルカストフィルムコーティング錠10mg>
モンテルカストフィルムコーティング錠 10mgは食後投与において、空腹時投与と比較して約20%のAUC増加が認められたが、国内外で実施された高用量投与試験(国内400mg の7 日間 、海外200mgの22 週間、海外800mg単回投与)においても忍容性が確認されていることから、この増加は臨床的に有意なものではなく、安全性上問題ないものと考えられた。したがって、食事の有無にかかわらず投与できるとした
<モンテルカストチュアブル錠5mg>
モンテルカストチュアブル錠5mgは、海外で実施されたチュアブル錠を用いた食事の影響試験において、AUCに対する食事の影響は小さかったことから、食事の有無にかかわらず投与できるとした。
<モンテルカスト細粒剤4mg>
モンテルカスト細粒剤4mgを食後投与したとき、AUC0-∞は食事の影響を受けなかったことから、食事の有無にかかわらず投与できることとした。
今回の調査の本筋と少しずれるが有益な情報があったのでメモとして残しておきます。
細粒では「本剤は口に直接入れるか、スプーン1杯程度の柔らかい食物(室温以下)と混ぜて服用することができる。またスプーン1 杯(約5mL)の調製ミルク又は母乳(室温以下)と混ぜて服用することもできる。本剤服用後は水などの飲み物を摂取してもよい」と記載があることです。
もし子どもへのモンテルカスト細粒で、何か混ぜて飲ませてよいかとの質問があれば、上記情報を根拠として、「スプーン1杯程度の食べ物となら混ぜてよい」と回答したいと思います。
それでは、結論です。
「これらの情報」および「これまでに筆者が業務上モンテルカストの夕食後服用の症例において返戻をくらっていないこと」から「夕食後服用」は問題ないと判断します。
しかし、モンテルカストチュアブル錠では、食後服用で吸収が落ちるので、就寝前服用の方が好ましいのではと思う反面、疑義照会をするほどではないと考えています。
【レボセチリジンが就寝前服用の理由】
ザイザルのIFには、特に理由は記載されていませんでした。
そこで、ザイザル錠5mgの審査報告書を確認しました。
申請段階では、製薬メーカーであるグラクソ・スミスクラインさんは、服用タイミングを就寝前に設定していませんでした。
製薬メーカーとしては、海外第Ⅳ相試験では1日1回朝投与で有効性と安全性が確認され、夜投与と比較して大きな差異はなかったため、投与時間の制限は不要と考えていたようです。
しかし、PMDAとしては、レボセチリジンとセチリジン(商:ジルテック)ともに、有効性及び安全性のエビデンスはほとんどが夜投与により実施された臨床試験成績に基づき裏付けられていることを踏まえると、上記のデータのみで、レボセチリジン(商:ザイザル)の有効性および安全性が投与時間による影響を受けないとする十分なエビデンスが示されたとまでは言えないため、成人は就寝前とすることが適切と判断しているようです。
ちなみに、セチリジン(商:ジルテック)のIFにも特に理由は記載されておりませんでした。なお、ジルテックは申請段階ですでに就寝前の制限をつけていたようです。
以上よりザイザルが就寝前服用の理由は、「臨床試験は夜服用で実施されているものが多く、現状のデータでは有効性および安全性が投与時間による影響を受けないとは言えないため」とまとめられるかと思います。
参考
キプレスIF:2025 年 1 月改訂(第 47 版)
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/medicine/pdf/i_kipresif.pdf
ザイザル錠5mg 審査報告書(2010年10月27日)
http://www.pmda.go.jp/drugs/2010/P201000063/34027800_22200AMX00949_A100_1.pdf