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スタチン系薬剤による脱毛の副作用

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よく脂質異常症で処方されるロスバスタチン(商品名:リピトール)。
そのロスバスタチンに関して、インターネットの検索予測を調査していると
「ロスバスタチン 脱毛」の組み合わせが目につきました。

調べてみるとスタチン系の薬剤の副作用で脱毛が起きる可能性があります。
予測検索でも出てくることから副作用経験者や悩んでいる人が多いのかもしれません。
そこで今回スタチン系薬剤による脱毛の副作用について情報をまとめました。

結論としては、スタチン服用時の脱毛によってスタチン系を中止する割合も多いです。
見た目に関わり患者さんの気持ちを考慮して中止しているのかもしれません。
しかし、今回の調査範囲で「ロスバスタチンによる脱毛」の症例は発見できなかったです。


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スタチン系薬剤の具体例

まずは、スタチン系薬剤に該当する薬を羅列したいと思います。

アトルバスタチン(商:リピトール)
ピタバスタチン(商:リバロ)
ロスバスタチン(商:クレストール)
シンバスタチン(商:リポバス)
フルバスタチン(商:ローコール)
プラバスタチン(商:メバロチン)

スタチン系使用中の脱毛の発生件数

調査日2024年8月8日:
調査方法:PMDAの「副作用が疑われる症例報告に関する情報」を用いて、各スタチン系薬剤の脱毛発生症例を調査しました。
※ただし併用薬がある症例もあり、スタチン系が原因ではない可能性もある。

アトルバスタチン:5件(うち併用薬あり1件)
ピタバスタチン:2件(うち併用薬あり0件)
ロスバスタチン:報告なし
シンバスタチン:3件(うち併用薬あり3件)
フルバスタチン:2件(うち併用薬あり1件)
プラバスタチン:2件(うち併用薬あり1件)

また、スタチン系を開始して脱毛が発現した時期に関して、早いものは1か月弱の症例もあれば、2年以上経過して発現した症例もあります。

スタチン系により脱毛が発生しやすい年齢・性別

また、閉経後の女性に発現しやすいという情報参考:全日本民医連 副作用モニター情報〈232〉スタチン系薬剤による脱毛)を見つけました。
そこで、今回集めた症例でも年齢性別を確認したいと思います。

女性 男性
50歳代 3 3
60歳代 1 1
70歳代 3
80歳代 2

※年齢性別不明が1件あり

確かに女性の方が多いです。
しかし、個人的な感想としては「男性の方が加齢で禿げていることも多く、気にしないケースが多く報告が上がってこないだけでは?」と思いました。

脱毛に対する対応(薬剤の中止・継続)

次に脱毛が発生した症例がスタチン系の薬剤を中止したか、継続したかを確認していきたいと思います。
※不明・非該当と記載された症例については省略しております。

アトルバスタチン:発生5件(中止:2件)
ピタバスタチン:2件(中止1件、減量1件)
ロスバスタチン:報告なし
シンバスタチン:3件(中止2件、投与量変更なし1件)
フルバスタチン:2件(中止2件)
プラバスタチン:2件(中止2件)

脱毛が発生した症例で対応方法が分かるのが11件
そのうち中止が9件、減量1件、投与量変更なし1件
になります。

脱毛が発生した場合にはスタチン系を中止した例も多いようです。
この結果は正直予想外でした。
命に関わるような副作用でもないので継続かなと予想していましたが、患者さんの生活の質・容姿に関わることを考慮されているのかもしれません。

ロスバスタチンは脱毛の報告がない

今回調査してみて驚いたのが、「まさかのロスバスタチンで脱毛の報告がない」こと。
更に各薬剤の添付文書を調べたら、ロスバスタチンの副作用欄に脱毛がありませんでした。

しかし、ないことの証明は難しいと言われています。

脱毛が生じるメカニズムとしては「皮膚のHMG-CoA還元酵素阻害作用が強くなり、栄養 となるべきコレステロールの不足によって毛質が変化、脱毛するのでしょう」と言われています。(参考:全日空民医連 副作用モニター情報〈414〉 スタチン系薬剤による脱毛

そのため、HMG-CoA還元酵素阻害薬であるロスバスタチンで脱毛が発生する可能性はあると思います。
しかし、自分の調査範囲では「ロスバスタチンでの脱毛」は発見できませんでした