仕事の選択は、今後の人生に大きな影響を与えると思います。
私は、製薬企業の開発職(5年以上)を経て、チェーンの調剤薬局に転職しました。その際、転職にはすごく悩みましたし、今でも本当に良かったのだろうか考える時もあります。
就職・転職で悩んだ原因の1つとして、情報不足(特に実例)を感じ、これから転職・就職を考えている人の参考になればと思いこの記事を書きました。
なお、情報はあくまで私が経験した会社の情報ですので、すべての会社に該当するものではないことをご了承ください。
薬局薬剤師と製薬企業の労働条件の比較
各職種のメリット
チェーンの調剤薬局薬剤師 | 製薬企業の開発職 |
・全国どこでも働ける。
・退職金は、10年勤務で満額もらえる。 ・平日休みが作れる。 ・勤務時間をずらせる。 ・働き方改革後、残業代が全てでるようになった。薬局は患者さん対応なので残業必須業務が発生し、その分お金を稼げる。(これは以前からいる薬剤師さんから聞きました。) ・管理薬剤師(店長)になると、自分の城を持てる(そうなると上司が同じ職場にいないので、厳しく言われる機会は少ない) ・店舗間での異動は、希望すれば結構できる(人が合わないなどの理由で異動して、次の店舗では何の問題もなく働けていました)。 ・時短勤務やパート制度での勤務時間の自由度が高い(週2回、3時間/日なども可能) |
・生涯賃金が高い (ボーナスや退職金が高い、退職金は具体的に調剤薬局薬剤師の2倍の2000万はかたい) ・土日がしっかりと休み・終わりの時間が早い(筆者経験会社では、9:00~17:30、間45分休憩) ・働き方改革後、サービス残業が無くなった ・今後テレワーク・リモートワークが普及し、在宅での仕事の可能性がある(私が会社を辞めた後、同期の話を聞くとコロナ対策で取り入れたようでした。)・有給休暇がとりやすい・家賃補助が手厚い ・社員食堂があり昼食が安い(筆者経験会社では1食350円) ・関係会社との接待(食事打合せ)で、自分では食べられないような高級な食事ができる。 |
各職種のデメリット
チェーンの調剤薬局薬剤師 | 製薬企業の開発職 |
・生涯賃金が少ない。
・土曜日があいている薬局だと、勤務がシフト制になり、休みが不定期(週休2日ではありますが・・) ・人数の少ない店舗は有給休暇がとりづらい(あくまで感情の話です。一人いなくなると負担が大きくなるので、なんとなく取っていない人が多い感じです)。 ・家賃補助はイマイチ(始めは手厚いが、年数とともに少なくされる)。 ・店長になると、厳しく言われる機会が少なく、会社からの指示も広がりにくいせいか、考え方が偏りやすそう(これはあくまで筆者の感想です)。 ・患者さんが理不尽(いちおう調剤薬局のデメリットに書きましたが、これは会社なら上司が理不尽な可能性があり、上司が理不尽な方が毎日顔を合わすので辛いです)。 ・同期はいても、同じ職場にはいないので、あまり仲良くならない。 |
・勤務地は、製薬部門の本拠地があるところに限られる(東京・大阪が多い)
・退職金を満額もらうのに30年勤務が必要 ・出勤は、どうしても電車が混む時間(フレックス制度があるところが羨ましかったです)。 ・出世しても、更に上の上司がフロアにいるので、役職が上の人も結構怒られている。 ・上司が理不尽だと地獄(異動はなかなかありません)。 |
どういう人に適しているか?
上記のメリット・デメリットや筆者の経験考慮し、どんな人がどっちに向いているかまとめたいと思います
チェーンの調剤薬局薬剤師 | 製薬企業の開発職 |
・(製薬企業のない)地元で働きたい。
・自分の考えをもって、職場をマネージメントしたい(責任はあります)。 ・一つの会社に固執する気がない。 ・家庭の状況次第では、週2回、3時間/日などで働きたい。 |
・臨床試験を経験したい。
・一生を通して多くのお金を稼ぎたい。 ・プライベートな時間を充実させたい。 ・20代は同期と仕事の悩みなどを話したい。 |
特に筆者が思う就職先を検討する重要なポイントですが、「これから自分はどこで一生を過ごすのか」ということです。
製薬企業から調剤薬局への転職は、正直30代でも難しくありません。ただし、製薬企業で働き、その土地でパートナーを見つけると今後はその土地を動きにくくなります。
地元なら親に子供を預かってもらうことも可能ですし、親の介護の必要性なども出てくると兄弟姉妹も関係してくるかと思います。
今やりたいことだけでなく、一度将来のプランを考えて、就活に臨むことをオススメします。
就活生に伝えたいこと
私が就活で後悔していることは、一つ内定をもらってから就活をやめたことです。
研究が忙しく、早くそちらに注力したいというのを言い訳にして、内資の製薬に受かったからとそこで辞めてしまいました。
就活では格上の会社ほど選考日程が後ろだったりします。
製薬企業は格上の方が、労働条件が良好なイメージです(これは聞いた話ですが、いわゆる有名企業では、フレックス制度、高い家賃補助、3年目で夏・冬のボーナス各100万越など)。
就活時の私は、「内定をいただいた会社をけるのは失礼だし、ここに決めよう」などと途中で自分の将来をイメージすることを放棄しました。
確かに内定をもらった会社をけるのは失礼かもしれませんが、そんなことを気にしない方が良いです。あなたの人生がかかっているのですから、キープしてより良い会社に受かれば断ればいいんです。実際に会社側も、新型コロナなどで状況が変わると内定を取り消したりします。断る際に、人事部から毒をはかれるかもしれませんが、気にはしないことです。
転職希望者に伝えたいこと
まずは、「3年我慢しろ」は信じるなということです。
個人的には、この言葉は3年離職率を気にする会社側に都合の良い言葉です。
※3年離職率は四季報などにも載ります。
実際に就職して1年や2年でも、製薬企業→製薬企業、製薬企業→薬剤師になんの問題なく転職しています。
とはいえ、なかなか気軽には転職できず、すごく悩むと思います。
現状の方が、良い条件ということも往々にしてありえます。
しかし、転職を考えるということは、少なからず現状に疑問を感じているのだと思います。
そこで、自分の状況を整理するために第三者と話をすることをオススメします。
そこで転職サイトのエージェントと話をしてみましょう。
ここで注意するのは、エージェントを信用しすぎないこと(少し疑うくらいでもいいと思います)。
彼らは転職を斡旋することで報酬が発生するので、どうしても転職を勧める方に考えが偏っています。
それでも、あなたも会社の影響を受けすぎている可能性もあるので、自分の現状とどういう条件で働きたいかを整理する機会になると思います。
(しっかりエージェントに話を聞いてもらうため、登録時には3ヶ月以内・6ヶ月以内の転職希望とすることをオススメ)
絶対転職しないというわけではありません。現状の労働条件が恵まれていることを認識することで、働くときの気持ちが変わり働きやすくなる可能性もあります。